作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【600記事記念】オイゲン・ヨッフム/ロンドンフィルの「ロンドン」

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今日30日から年末年始休暇に。今年もよく働きました。27日に聴いたスクロヴァチェフスキの第九があまりによかったので、年末にはハイドンの最後の交響曲をと思い、CDラックの前でうろうろ。ここは定番の演奏をということでセレクトしたのが今日の1枚。

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オイゲン・ヨッフム(Eugen Jochum)指揮のロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏でハイドンのザロモン・セットを収めた4枚組。今日はこの中から104番「ロンドン」を取りあげます。収録は1971年10月、ロンドン近郊のアッセンブリーホールでのセッション録音。レーベルはDeutsche Grammophone。上のアルバムジャケット写真は手もとのものですが現行盤ではありませんので、現行盤も紹介しておきましょう。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

こちらのアルバムのほうは5枚組で、上のアルバムに加えて別の演奏も入っているので手に入れたいところ。

軽いノリで当アルバムを選びましたが、ちょっと御託を並べたくなりました。ベートーヴェンの最後の交響曲第九を聴いて一年を終わるのはもはや日本の風習。ハイドンの音楽の普及啓蒙を旨とする当ブログがその流れに乗ってしまっている状況はやはりそのままで年を越す訳には参りません。ということでハイドン最後の交響曲104番ロンドンを年末に聴くと言う風習を世界に10年くらいかけて定着させようと言う壮大なプロジェクトを立ち上げるという事としました(笑)

ベートーヴェンの第九は歓喜を歌ったもので、その音楽は今や日本人なら誰でも知っているほどポピュラーになりました。それに勝るとも劣らないハイドンの曲と言えば天地創造なんでしょうが、大曲すぎてハードルが高いので、交響曲の人気が高い日本ではロンドンの方が合うのではとの読みです。

まあ、戯言はこのくらいにして、演奏の方に触れましょう。

ヨッフムのハイドンの交響曲はこれまでいろいろ取りあげていますが、おそらく一番ポピュラーであろうロンドンは一度も取りあげていません。過去に取りあげた記事はこちらをご覧ください。

2011/06/07 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ロンドンフィルの93番
2011/05/28 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ドレスデン・シュターツカペレの93番
2010/12/29 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ロンドン・フィルの軍隊、時計ライヴ

比較的速めのテンポでタイトかつ流麗にコントロールするのがヨッフムのハイドンの魅力。燻し銀の味わいもあり、ハイドンのザロモンセットの代表的名盤だと思います。現代楽器によるザロモンセットのファーストチョイスとしても広くお薦めできるアルバムです。

Hob.I:104 / Symphony No.104 "London" 「ロンドン」 [D] (1795)
冒頭の序奏はヨッフムのハイドンのとしては異例の迫力。一撃から気合い漲ってます。ヨッフムのロンドン、ここまで響きが充実していたという記憶はありませんでした。主題に入るとヨッフムならではの流麗軽々とした推進力あるメロディーが流れます。特にヴァイオリンのフレーズの適度なキレと他の楽器のリズムを先に打つような絶妙なやりとりが生気を生んでいるようですね。ダイナミックさやメリハリは適度な範囲に抑えて活き活きとしたリズム感を聴かせどころにするあたりがヨッフムの個性。序奏では圧倒的な存在感を聴かせたヨッフムですがやはり彼の真骨頂は流れるようなメロディーだと再確認。1楽章は進むにつれ徐々にヨッフムのフレージングのポイントが鮮明になってきました。
2楽章のアンダンテはあくまでも自然なフレージングが聴き所。弦は安定してフレーズを刻み、木管楽器は瑞々しい音楽を奏でます。弦は時折粗さも見せますが生成りの布ような肌触りが帰ってテクスチャーを感じていい意味で変化を感じます。流石ヨッフム抜群の安定感です。
続くメヌエットも速めのテンポでサクッと入ります。こういったところが力が抜けていて他の演奏とは比べ物にならない自然なフレージング。メヌエットでもリズムをことさら強調することなく流れで聴かせます。
フィナーレに入りヴァイオリンのキレが一段と良くなります。全体の音響から浮かび上がってクッキリと音階を聴かせます。フィナーレでは流麗さだけではなくあえてリズムを強調してメリハリをつけてきますが、それがごり押しではなくスマートに聴こえるのがヨッフムらしいところ。どこにも力みはなく予定通りに盛り上がります。フィニッシュも爽やかなもの。

巨匠オイゲン・ヨッフムとロンドンフィルによるハイドン最後の交響曲ロンドン。迫力でもなく古典の均衡でもなく個性的な演奏でもなく、ヨッフムらしい円熟の味わいを感じる流麗かつ自然なロンドン。長年聴かれ続けてきた素晴らしい演奏だと思います。このザロモンセットも演奏には少々ムラがあり、スキのないこのロンドンの演奏に対して緊張感がすこし薄れる演奏もあります。わずかな違いですが、ヨッフム自身の気合いのムラのような気もしなくはありません。もちろんこのロンドンは[+++++]とします。

さてさて、今年も明日で終わり。このところ1年1年があっという間に過ぎてしまいます。
ブログの管理画面を確認したらこの記事で600記事ということになりました。また12月はこのブログを始めてちょうど2年目になります。長いようであっという間でしたが、最近は仕事が忙しく更新のピッチのすこしゆったり目になってしまっています。あまり無理をすると長続きしませんので、のんびりやらせていただこうと思います。

明日は月末ゆえ、今年最後のHaydn Disk of the Monthとなりますね。
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2 Comments

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ライムンド

No title

Daisyさん、こんにちは。600回記念おめでとうございます。ハイドンの交響曲といえば今年、京都市交響楽団の定期で軍隊を聴けました。年末なら、第九の後、仮にアンコールを演奏するとすれば、ハイドンのテ・デウムはどうかと思えます。合唱もオーケストラも参加でき、時間も短いので物理的には可能なはずです。一年間お疲れさまでした、よいお年を。

  • 2011/12/31 (Sat) 11:31
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Daisy

Re: No title

ライムンドさん、いつもコメントありがとうございます。
私はまだ生で軍隊を聴いた事がありません。2楽章の鳴りものはアルバムで聴くのとは迫力が違うでしょうね。先日聴いたスクロヴァチェフスキ/N響の第九のあと、スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケンのCDを聴きましたが、演奏のベースには共通するエネルギーは感じられるものの迫力は段違い。やはり生はいいですね。
ハイドンのテ・デウムもいいですね。もっと演奏されていい曲ですね。
本年は大変お世話になりました。来年もライムンドさんにとっていい年でありますように。

  • 2011/12/31 (Sat) 12:30
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