東京クヮルテットの太陽四重奏曲No.2ライヴ

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東京クヮルテットの演奏によるハイドンの太陽四重奏曲のNo.2、ヤナーチェクの弦楽四重唱奏曲「クロイツェル・ソナタ」、ベートーヴェンのラズモフスキー第2番の3曲を収めたアルバム。収録は1979年12月13日、東京上野の石橋メモリアルホールにおけるコンサートの模様を収めたライヴ。レーベルはTDK。
東京クヮルテットは1969年に設立された弦楽四重奏団。ニューヨークのジュリアード音楽院で結成された四重奏団ですが、結成当時のメンバーは皆、桐朋学園の出身で小沢征爾の師として有名な斎藤秀雄の門下生であった人。日本人がまだまだ国際的な名声を得られない中、万博の年である1970年にミュンヘン国際音楽コンクールの室内楽部門で優勝し、一躍世界の檜舞台に躍り出ることになった。この演奏当時のメンバーは下記のとおり。
第1ヴァイオリン:原田 幸一郎(koichiro Harada)
第2ヴァイオリン:池田 菊衛(Kikuei Ikeda)
ヴィオラ:磯村 和英(Kazuhide Isomura)
チェロ:原田 禎夫(Sadao Harada)
この後メンバーも変わって現在は2人が外人となっていますが、東京クヮルテットの名前でアルバムなどをリリースし続けています。今日取り上げるアルバムは最近ディスクユニオンで見かけて手に入れたもの。東京クヮルテットはハイドンの弦楽四重奏曲をいろいろ演奏していますがいままでレビューで取りあげた事はありません。今日はライヴ好きの私が気になるアルバムということではじめてちゃんと聴きます(笑)
Hob.III:32 / String Quartet Op.20 No.2 [C] (1772)
ライヴらしい暗騒音の中からはじまる明るい旋律。コンサートの1曲目はならし運転に近いものでもありますが、いきなり緊張感溢れる演奏。ヴァイオリンの原田幸一郎の音色はキリッと引き締まったタイトなもの。逆にチェロとヴィオラは豊かな響きで分厚い低音でアンサンブルを支えます。テンポはライヴにしてはゆったりしたものの、一貫した視点の存在を感じさせる揺るぎないもの。
2楽章はアダージョですが、ライヴ独特の緊張感も手伝って激しい慟哭のような表情も見せ始めます。弦楽器の音色はすこしばらついたところもありますがアンサンブルの精度というか気合いの精度は抜群。これぞライヴと言う空気感。途中からこれ以上伸び伸びと弾く事は出来ないような張りのある明るいメロディーラインに移り、ヴァイオリンの圧倒的な存在感。技術を超えた浸透力を感じます。
3楽章のメヌエットはホールで生演奏を聴いているような感慨深いもの。音響として曲を感じるのではなく、当日の会場で直接聞いているような印象が強くなります。録音は1970年代ということで年代なりのものですが、ステージ近くに置かれたマイクがクヮルテットのダイレクトな音を良く捉え、ホールの響きも含めてライヴ感溢れもの。
フィナーレにはいると会場の雰囲気を伝える会場ノイズが増えてはっとさせられます。少し弦楽器のチューニングがズレてきているようにも感じますが、ハイドンの複雑な音符を難なくこなしてクライマックスに至る盛り上がりを素晴らしいテクニックで表現。会場からは万来の拍手が迎えます。いやいや素晴らしいコンサートでしたね。このコンサートを生で聴きたかったです。
1979年の石橋メモリアルホールでの東京クヮルテットのライヴはハイドンが聴いたらきっと喜ぶような生気に満ちた音楽が流れました。評価は[+++++]とします。東京クヮルテットにはまだハイドンの録音がいろいろありますので、今後取りあげなくてはなりませんね。弦楽四重奏曲は交響曲や声楽曲に比べれば音符は単純な方なのでしょうが、奏でられる音楽の深さは劣るものではありませんね。太陽四重奏曲はハイドンの創作に置ける最初のクライマックスであるシュトルム・ウント・ドラング期の名作。東京クヮルテットの名演によって、この曲の深みに一歩近づけた気がします。
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