アルバン・ベルク四重奏団のOp.76のNo.1
ウィーンにゆかりの深いクァルテットで有名どころと言えば、このクァルテットを取りあげない訳にまいりません。

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アルバン・ベルク四重奏団(Alban Berg Quartett)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.76のNo.1、No.5、No.6と名前のない曲3曲を収めたアルバム。収録は1998年6月~7月、スイスのバーゼル近郊のリーエンのLandgashofでのセッション録音。レーベルはEMI CLASSICS。
このところ取りあげている四重奏団はウィーンフィルのコンサートマスターつながり。アルバン・ベルク四重奏団は日本では(世界でも)絶大な人気を誇るクァルテットでしょう。設立は1970年、第1ヴァイオリンのギュンター・ピヒラーはウィーン音楽大学の教授でウィーンフィルのコンサートマスターを数年務めた人です。1971年にウィーンのコンツェルトハウスでデビュー。現代音楽を得意としていたラサール弦楽四重奏団に師事するなどして広いレパートリーを誇りました。人気は衰える事はありませんでしたが2008年の7月に惜しくも解散してしまいました。このアルバムの録音当時のメンバーは下記のとおり。
第1ヴァイオリン:ギュンター・ピヒラー(Günter Pichler)
第2ヴァイオリン:ゲルハルト・シュルツ(Gerhard Schulz)
ヴィオラ:トーマス・カクシュカ(Thomas Kakuska)
チェロ:ヴァレンティン・エルベン(Valentin Erben)
アルバン・ベルク四重奏団の演奏は一度生で聴いています。2006年5月23日、ミューザ川崎シンフォニーホールでのコンサートでした。
ミューザ川崎シンフォニーホール:2006年5月23日アルバン・ベルク四重奏団
この時のプログラムは上のリンク先をご覧いただきたいのですが、モーツァルトのハイドン・セットの2曲とバルトークの弦楽四重奏曲6番でした。この時は前年にヴィオラのトーマス・カクシュカが亡くなり、その弟子のイザベル・カリシウス(Isabel Charisius)が代わりを務めてのコンサート。エッジのキリッと鮮明なモーツァルトに松ヤニ飛び散るバルトークの名演を楽しみましたが秀逸だったのはアンコール。ハイドンの騎士の2楽章だったんですが、最初から最後まで4人の息がピタリと合って絶妙なハーモニー。アルバン・ベルク四重奏団の録音は音像が薄いものが多かったので生で聴く分厚い音色と精妙なハーモニーが新鮮でした。
さて、現代のクァルテットの代表格であるアルバン・ベルク四重奏団のハイドンはどのようなものでしょう。
Hob.III:75 / String Quartet Op.76 No.1 [G] (1797)
いきなり鮮烈な音響。ウィーン系のクァルテットの伝統のパースペクティブ上で捉えると、速めのテンポとくっきりしたフレージングに加えて鮮烈なシャープさが加わり、これがアルバン・ベルク四重奏団の特徴でもあります。キリッとエッジが立っているのがアルバン・ベルク四重奏団特有の音色。意外と第1ヴァイオリンのピヒラーの音色は他の3人より厚みが欠けて鋭さを感じるほどの先鋭さがあり、かえってそれが旋律を浮かび上がらせていることがわかります。いろいろなクァルテットを聴いてきてからアルバン・ベルクを聴いてはじめて感じたことですね。音色の統一感があると思っていましたが、逆に個性的な音色に感じます。
2楽章は沈み込むメロディーからはじまり、ヴァイオリンの美音が徐々に目立つようになります。この楽章も以前は非常に緊密な印象を受けていましたが、実際はかなり自在なフレージングでした。いろいろな演奏を聴き込んではじめてわかる微妙な演奏の特徴。
3楽章のメヌエットはザクザクと刻む感じですが、強音は弦楽器の表現の幅を明らかに越えているような突き抜け方。ハイドンのクァルテットの演奏としてそれが相応しいのかと今聞かれれば、やはり余裕がほしいところ。バルトークなら鋭角的な攻めも合理性がありますでしょうがハイドンではちょっとやり過ぎ感を残してしまいます。
フィナーレは、弓づかいの超絶技巧のショーピースのようです。テクニックは痛快なものの、ハイドンが聴いてどう思うでしょうか。技巧の粋を尽くしたような演奏。リスムとキレの坩堝のような覇気溢れる演奏でしたが以前聴いた印象とは受け取る方もだいぶ変わってきているのも事実ですね。
かなり久しぶりに取り出したアルバン・ベルク四重奏団の演奏は、現代の弦楽四重奏み求められるシャープなメロディと揺るぎないテクニック、そして現代音楽を熟知した奏者の奏でる古典としての様々なこだわりを感じる演奏。これらがすべてそろった名演奏とみなすことができます。ただし、ハイドンのクァルテッットの演奏として「良い」かどうかは、いろいろな演奏を聞いた耳からすると過大な期待があるのも事実です。世評高いアルバン・ベルク四重奏団の演奏、評価は[++++]としておきます。
ここまで弦楽四重奏曲を集中的に取りあげてきましたが、明日からはすこし対象を広げてレビューしたいと思います。

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アルバン・ベルク四重奏団(Alban Berg Quartett)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.76のNo.1、No.5、No.6と名前のない曲3曲を収めたアルバム。収録は1998年6月~7月、スイスのバーゼル近郊のリーエンのLandgashofでのセッション録音。レーベルはEMI CLASSICS。
このところ取りあげている四重奏団はウィーンフィルのコンサートマスターつながり。アルバン・ベルク四重奏団は日本では(世界でも)絶大な人気を誇るクァルテットでしょう。設立は1970年、第1ヴァイオリンのギュンター・ピヒラーはウィーン音楽大学の教授でウィーンフィルのコンサートマスターを数年務めた人です。1971年にウィーンのコンツェルトハウスでデビュー。現代音楽を得意としていたラサール弦楽四重奏団に師事するなどして広いレパートリーを誇りました。人気は衰える事はありませんでしたが2008年の7月に惜しくも解散してしまいました。このアルバムの録音当時のメンバーは下記のとおり。
第1ヴァイオリン:ギュンター・ピヒラー(Günter Pichler)
第2ヴァイオリン:ゲルハルト・シュルツ(Gerhard Schulz)
ヴィオラ:トーマス・カクシュカ(Thomas Kakuska)
チェロ:ヴァレンティン・エルベン(Valentin Erben)
アルバン・ベルク四重奏団の演奏は一度生で聴いています。2006年5月23日、ミューザ川崎シンフォニーホールでのコンサートでした。
ミューザ川崎シンフォニーホール:2006年5月23日アルバン・ベルク四重奏団
この時のプログラムは上のリンク先をご覧いただきたいのですが、モーツァルトのハイドン・セットの2曲とバルトークの弦楽四重奏曲6番でした。この時は前年にヴィオラのトーマス・カクシュカが亡くなり、その弟子のイザベル・カリシウス(Isabel Charisius)が代わりを務めてのコンサート。エッジのキリッと鮮明なモーツァルトに松ヤニ飛び散るバルトークの名演を楽しみましたが秀逸だったのはアンコール。ハイドンの騎士の2楽章だったんですが、最初から最後まで4人の息がピタリと合って絶妙なハーモニー。アルバン・ベルク四重奏団の録音は音像が薄いものが多かったので生で聴く分厚い音色と精妙なハーモニーが新鮮でした。
さて、現代のクァルテットの代表格であるアルバン・ベルク四重奏団のハイドンはどのようなものでしょう。
Hob.III:75 / String Quartet Op.76 No.1 [G] (1797)
いきなり鮮烈な音響。ウィーン系のクァルテットの伝統のパースペクティブ上で捉えると、速めのテンポとくっきりしたフレージングに加えて鮮烈なシャープさが加わり、これがアルバン・ベルク四重奏団の特徴でもあります。キリッとエッジが立っているのがアルバン・ベルク四重奏団特有の音色。意外と第1ヴァイオリンのピヒラーの音色は他の3人より厚みが欠けて鋭さを感じるほどの先鋭さがあり、かえってそれが旋律を浮かび上がらせていることがわかります。いろいろなクァルテットを聴いてきてからアルバン・ベルクを聴いてはじめて感じたことですね。音色の統一感があると思っていましたが、逆に個性的な音色に感じます。
2楽章は沈み込むメロディーからはじまり、ヴァイオリンの美音が徐々に目立つようになります。この楽章も以前は非常に緊密な印象を受けていましたが、実際はかなり自在なフレージングでした。いろいろな演奏を聴き込んではじめてわかる微妙な演奏の特徴。
3楽章のメヌエットはザクザクと刻む感じですが、強音は弦楽器の表現の幅を明らかに越えているような突き抜け方。ハイドンのクァルテットの演奏としてそれが相応しいのかと今聞かれれば、やはり余裕がほしいところ。バルトークなら鋭角的な攻めも合理性がありますでしょうがハイドンではちょっとやり過ぎ感を残してしまいます。
フィナーレは、弓づかいの超絶技巧のショーピースのようです。テクニックは痛快なものの、ハイドンが聴いてどう思うでしょうか。技巧の粋を尽くしたような演奏。リスムとキレの坩堝のような覇気溢れる演奏でしたが以前聴いた印象とは受け取る方もだいぶ変わってきているのも事実ですね。
かなり久しぶりに取り出したアルバン・ベルク四重奏団の演奏は、現代の弦楽四重奏み求められるシャープなメロディと揺るぎないテクニック、そして現代音楽を熟知した奏者の奏でる古典としての様々なこだわりを感じる演奏。これらがすべてそろった名演奏とみなすことができます。ただし、ハイドンのクァルテッットの演奏として「良い」かどうかは、いろいろな演奏を聞いた耳からすると過大な期待があるのも事実です。世評高いアルバン・ベルク四重奏団の演奏、評価は[++++]としておきます。
ここまで弦楽四重奏曲を集中的に取りあげてきましたが、明日からはすこし対象を広げてレビューしたいと思います。
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