サグレスターノ/ムジチ・デ・プラハのトランペット、ホルン協奏曲、ハープシコードとヴァイオリンのための協奏曲
室内楽の中休み第2弾です。かなり久しぶりの協奏曲。

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ルイジ・サグレスターノ(Luigi Sagrestano)指揮のムジチ・デ・プラハ(Musici de Praga)の演奏によるハイドンのトランペット協奏曲、ホルン協奏曲、ハープシコードとヴァイオリンのための協奏曲の3曲を収めたアルバム。ソロはトランペトはベルナルト・スーストロ(Bernard Soustrot)、ホルンがヨーゼフ・ブラズダ(Joseph Brázda)、ハープシコードがマーティン・ディラングス(Martin Derungs)、ヴァイオリンがヴァーツラフ・フデチェク(Václav Hudeček)。収録は1984年6月、チューリッヒのアルトシュテッテンでのセッション録音。レーベルはリステンパルトなどのアルバムをリリースしているACCORD。
ACCORDのアルバムにはなぜかいいものが多いので、見かけたら即ゲットです。昨日のアルバム同様ディスクユニオンで見つけたもの。長谷川等伯の幽玄な世界のような背景に音楽を楽しむ家族を描いたような絵のジャケット。ジャケットを見た途端霊気を感じました。
オケのムジチ・デ・プラハは1966年設立の室内管弦楽団。設立以来チェコでは指折りの室内オーケストラで、指揮はヴァーツラフ・スメターチェクやリボール・ペシェクなどチェコの名のある指揮者と共演してきました。最近のメンバーはプラハ交響楽団のメンバーがつとめ、バロック音楽から20世紀の現代音楽まで幅広いレパートリーを持っているようです。ソリストで知っている人はいませんが、名前からチェコのひとが多いようです。
まさに未知のアルバムですが、ジャケットから漂う霊気は只者ではないと予感させます。果たして予感は的中するでしょうか。
Hob.VIIe:1 / Concerto per il clarino [E flat] (1796)
年代なりの音響ですが、冒頭からとろけるようなオケの序奏。久々のトランペット協奏曲のメロディーに感情が高まります。ハイドンの古典の真髄をえぐるようななオケの響きがぐっときます。スーストロのトランペットは落ち着き払って、まずは伴奏と完全に一体化するようなマナーのいいトランペット。とろけるようなフレージングで名曲をさりげなく吹き抜いていきます。落ち着いて演奏を楽しむような余裕たっぷりの演奏。オケの方も力む事なく美しい響きに寄っているよう。流石ACCORDの録音。後半に来てオケの響きの刻みのキレが良くなってきます。スーストロのカデンツァは朗々と会場内に響き渡る堂々としたもの。トランペットの美音を欲しいままにするような孤高の響き。
2楽章のアンダンテはさらにリラックス。オケもトランペットも十分にリラックスしてゆったりと聴き慣れたメロディーを奏でていきます。赤く焼ける夕焼けのような情感を伴ったアンダンテ。ロマンティックというよりは古典的な優しさを感じる演奏。
ちょっと意外な入りなのがフィナーレ。なんととろけるような音色はそのまま、ザクザク刻むような荒々しい入り。テンポはこれまでオーソドックスでしたがフィナーレははっきりと遅めを狙っているよう。堂々としたオケと朗々と吹き抜けるトランペットがとろけるように絡み合う楽章。クライマックスは気品ある迫力を見せます。見事。
Hob.VIId:3 / Concerto per il corno [D] (1762)
トランペット協奏曲も見事でしたが、それを上回る出来。冒頭からワクワク感に包まれるような流麗さと緊張感。ホルンのブラズダは天才的なフレージング。もしかしたらデニス・ブレインよりもいいかもしれません。ブレインの図太い存在感にはかないませんが、緻密なテュナミークのコントロールと抑えた音量の部分のコントロールは絶品。カデンツァに至ってはアルペンホルンのような深い響きと軽々としたフレージング、そして心に触れるような低音域の音色。いやこれは凄い。オケも程よいテンポと推進力で万全のサポート。
2楽章のアダージョは磨き抜かれた究極の美しさ。ホルンの低音の安定感は恐ろしいほど。そしてオケの美しさも際立っています。ただただ美しい音色を楽しめと言っていっているよう。
フィナーレはトランペット協奏曲とは異なり、普通に速めのテンポで入ります。抜群の生気とキレ。ホルンはは既に神業の域に。速いパッセージのキレと抜群の安定感にオケも万全のサポートで応えます。カデンツァは神と戯れるような自在さ。完璧です。
Hob.XVIII:6 / Concerto per violino, cembalo e orchestra [F] (1766)
この曲でも生気抜群のオケの序奏。サグレスターノのコントロールは見事の一言。ディラングスのハープシコードはハープシコードの繊細な音色を生かした穏当な演奏。フデチェクのヴァイオリンは中音域に独特の響きが乗った個性的な音色。両者ともにテンポ感がいいので、オケのリズムに乗って非常に自然な曲の流れとなっています。この曲ではオケが完全に主導権を握っています。
2楽章のラルゴに入るとヴァイオリンの音色の美しさが際立ちます。ピチカートのオケに対してヴァイオリンが控えめながら磨き抜かれた演奏を披露。ハープシコードの音色が加わって雅さも引き立ちます。オケは慈しみ深い分厚い音色で支えます。
フィナーレは理性的でもあり耽美的でもあり、ハイドンの協奏曲の最高の演奏の一つでしょう。抜群の生気、覇気、迫力が冷静にコントロールされていると言えば良いでしょうか。この曲のベスト盤といっていいでしょう。
ふと出会ったACCORDの協奏曲を3曲収めたアルバム。期待に違わぬ名盤でした。どの曲も抜群の出来。有名なソリスト、有名オケの演奏ではありませんが、このアルバムの存在を考えると才能あふれる人はまだまだいるのでしょう。トランペットもホルンもヴァイオリンもハープシコードもすべて素晴らしい出来。評価は3曲とも[+++++]とします。ハイドンが好きな方は必聴の素晴らしさです。

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ルイジ・サグレスターノ(Luigi Sagrestano)指揮のムジチ・デ・プラハ(Musici de Praga)の演奏によるハイドンのトランペット協奏曲、ホルン協奏曲、ハープシコードとヴァイオリンのための協奏曲の3曲を収めたアルバム。ソロはトランペトはベルナルト・スーストロ(Bernard Soustrot)、ホルンがヨーゼフ・ブラズダ(Joseph Brázda)、ハープシコードがマーティン・ディラングス(Martin Derungs)、ヴァイオリンがヴァーツラフ・フデチェク(Václav Hudeček)。収録は1984年6月、チューリッヒのアルトシュテッテンでのセッション録音。レーベルはリステンパルトなどのアルバムをリリースしているACCORD。
ACCORDのアルバムにはなぜかいいものが多いので、見かけたら即ゲットです。昨日のアルバム同様ディスクユニオンで見つけたもの。長谷川等伯の幽玄な世界のような背景に音楽を楽しむ家族を描いたような絵のジャケット。ジャケットを見た途端霊気を感じました。
オケのムジチ・デ・プラハは1966年設立の室内管弦楽団。設立以来チェコでは指折りの室内オーケストラで、指揮はヴァーツラフ・スメターチェクやリボール・ペシェクなどチェコの名のある指揮者と共演してきました。最近のメンバーはプラハ交響楽団のメンバーがつとめ、バロック音楽から20世紀の現代音楽まで幅広いレパートリーを持っているようです。ソリストで知っている人はいませんが、名前からチェコのひとが多いようです。
まさに未知のアルバムですが、ジャケットから漂う霊気は只者ではないと予感させます。果たして予感は的中するでしょうか。
Hob.VIIe:1 / Concerto per il clarino [E flat] (1796)
年代なりの音響ですが、冒頭からとろけるようなオケの序奏。久々のトランペット協奏曲のメロディーに感情が高まります。ハイドンの古典の真髄をえぐるようななオケの響きがぐっときます。スーストロのトランペットは落ち着き払って、まずは伴奏と完全に一体化するようなマナーのいいトランペット。とろけるようなフレージングで名曲をさりげなく吹き抜いていきます。落ち着いて演奏を楽しむような余裕たっぷりの演奏。オケの方も力む事なく美しい響きに寄っているよう。流石ACCORDの録音。後半に来てオケの響きの刻みのキレが良くなってきます。スーストロのカデンツァは朗々と会場内に響き渡る堂々としたもの。トランペットの美音を欲しいままにするような孤高の響き。
2楽章のアンダンテはさらにリラックス。オケもトランペットも十分にリラックスしてゆったりと聴き慣れたメロディーを奏でていきます。赤く焼ける夕焼けのような情感を伴ったアンダンテ。ロマンティックというよりは古典的な優しさを感じる演奏。
ちょっと意外な入りなのがフィナーレ。なんととろけるような音色はそのまま、ザクザク刻むような荒々しい入り。テンポはこれまでオーソドックスでしたがフィナーレははっきりと遅めを狙っているよう。堂々としたオケと朗々と吹き抜けるトランペットがとろけるように絡み合う楽章。クライマックスは気品ある迫力を見せます。見事。
Hob.VIId:3 / Concerto per il corno [D] (1762)
トランペット協奏曲も見事でしたが、それを上回る出来。冒頭からワクワク感に包まれるような流麗さと緊張感。ホルンのブラズダは天才的なフレージング。もしかしたらデニス・ブレインよりもいいかもしれません。ブレインの図太い存在感にはかないませんが、緻密なテュナミークのコントロールと抑えた音量の部分のコントロールは絶品。カデンツァに至ってはアルペンホルンのような深い響きと軽々としたフレージング、そして心に触れるような低音域の音色。いやこれは凄い。オケも程よいテンポと推進力で万全のサポート。
2楽章のアダージョは磨き抜かれた究極の美しさ。ホルンの低音の安定感は恐ろしいほど。そしてオケの美しさも際立っています。ただただ美しい音色を楽しめと言っていっているよう。
フィナーレはトランペット協奏曲とは異なり、普通に速めのテンポで入ります。抜群の生気とキレ。ホルンはは既に神業の域に。速いパッセージのキレと抜群の安定感にオケも万全のサポートで応えます。カデンツァは神と戯れるような自在さ。完璧です。
Hob.XVIII:6 / Concerto per violino, cembalo e orchestra [F] (1766)
この曲でも生気抜群のオケの序奏。サグレスターノのコントロールは見事の一言。ディラングスのハープシコードはハープシコードの繊細な音色を生かした穏当な演奏。フデチェクのヴァイオリンは中音域に独特の響きが乗った個性的な音色。両者ともにテンポ感がいいので、オケのリズムに乗って非常に自然な曲の流れとなっています。この曲ではオケが完全に主導権を握っています。
2楽章のラルゴに入るとヴァイオリンの音色の美しさが際立ちます。ピチカートのオケに対してヴァイオリンが控えめながら磨き抜かれた演奏を披露。ハープシコードの音色が加わって雅さも引き立ちます。オケは慈しみ深い分厚い音色で支えます。
フィナーレは理性的でもあり耽美的でもあり、ハイドンの協奏曲の最高の演奏の一つでしょう。抜群の生気、覇気、迫力が冷静にコントロールされていると言えば良いでしょうか。この曲のベスト盤といっていいでしょう。
ふと出会ったACCORDの協奏曲を3曲収めたアルバム。期待に違わぬ名盤でした。どの曲も抜群の出来。有名なソリスト、有名オケの演奏ではありませんが、このアルバムの存在を考えると才能あふれる人はまだまだいるのでしょう。トランペットもホルンもヴァイオリンもハープシコードもすべて素晴らしい出来。評価は3曲とも[+++++]とします。ハイドンが好きな方は必聴の素晴らしさです。
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