作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【サントリーホール25周年記念】ホグウッド/N響の第九

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書きかけの記事がいくつかたまっているですが、ほとぼりが冷めないうちに今日のコンサートのレポートを。

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サントリーホール:サントリーホール25周年記念 ベートーヴェン「第九」

今日は以前にチケットをとってあったサントリーホールへ。今日のコンサートは主催がN響ではなくサントリーホール。サントリーホールも知らぬ間にオープンから25年もたったわけですね。

このコンサートは当初指揮者がチェコのイルジー・コウトでしたが怪我で来日できないとして、指揮者がクリストファー・ホグウッドに変わったもの。ホグウッドは以前、同じくN響に客演して、ハイドンのロンドンなどを取りあげたコンサートをNHKホールに聴きにいってます。いまN響のサイトで確認したら、2009年9月26日(土)のコンサートでしたね。このブログを始める前でしたのでレポートはありません。N響のサイトにある当時のプログラムのリンクを張っておきましょう。

NHK交響楽団:アーカイブ:2009年9月

この時のプログラムは、ハイドンの時代のスタイルで書いたプロコフィエフの「古典交響曲」、ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」組曲、モーツァルトの「フリーメイソンのための葬送の音楽」、そしてハイドンの交響曲104番「ロンドン」でした。ホグウッドは昔は古楽器演奏の先駆者でしたが、最近は新古典主義というか現代ものも振っており、新境地を開いているようですね。この時のコンサートも、プロコフィエフとストラヴィンスキーを前半に置いて観客の耳を現代の視点に置いた後、往年のホグウッドのキリッとした刻みのリズムによるモーツァルトとハイドン聴かせる非常に意欲的なブログラム。特にロンドンはホグウッドの面目躍如で、メヌエットのリズムの刻みとフィナーレのキレ、迫力は素晴らしいものでした。古典期の中に宿るリズムの躍動と現代音楽の陰影の深いリズムの共通点をえぐり出すような意図を感じました。

今日はそのホグウッドを指揮者の交代により再び聴く事になりました。しかもプログラムはベートーヴェンの第九。再びホグウッドの世界に浸れるでしょうか。



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今日は祝日なので開演は4:00。まだ明るいうちにサントリーホールに到着です。夜のコンサートのときは軽く食事をしてから聴くのが習わしですが、今日は終演後の食事で十分な時間なのでそのまま場内に。今日はブログラムが第九ということもあり、コンサート前のカラヤン広場はいつものコンサートよりもにぎわっていました。噴水の前には土が盛られて綺麗に花が植えられ華やかになっていました。

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今日の席はお気に入りの指揮者の右真横の2階席。1階席の前列や中列も何回か座りましたが、2階席のほうが全体が俯瞰できるのと、オケの音がダイレクトに聴こえて好みです。30分ほど前に入りましたが、ティンパニをはじめとする何人もの奏者がステージで最後のチェックで楽器を鳴らしていました。観客はほぼ満員。いつもながら開演前の華やいだ雰囲気はいいですね。

ほどなく今日の合唱を担当する東京混声合唱団、二期会合唱団がステージ後ろの普段は客席として使っているエリアに入場、そしてオケが入場し場内の灯りが落ちます。1曲目はモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。今日はサントリーの故佐治敬三さんの命日とのことで演奏されるとプログラムに書かれていました。

ホグウッドが入場。前回よりちょっと恰幅良くなりましたでしょうか。タクトを振り上げた途端、素晴らしい一体感の透明な響き。ヴィブラートを抑えたN響の弦楽器と合唱が渾然一体となった響き。素晴らしかったのは合唱。一体感、力感、透明感の何れも最高の出来。やはりホグウッドは古楽の人と思わせるキリッとした表情と繊細な響き。純粋無垢な楽譜だけに表情付けは抑えて、曲自体の魅力を素直に表現した佳演でした。暖かい拍手が印象的でした。

1曲目のときはオケはステージに用意された席の半数程度の人数。拍手が途切れるとすぐに第九の編成の残りのメンバーとソリストがステージに。ステージ一杯のオケとコーラスは流石に大迫力です。

第九はホグウッドの古楽のスピリットと迸る前衛性がクロスオーバーした、非常に興味深い演奏でした。

1楽章は予想通り、速めのテンポとホグウッド特有のさらりとキレのいいリズムでベートヴェンの力感を存分に表現。素晴らしかったのはオーケストラの俊敏な反応と吹き上がり。1楽章だけで巨大な山脈のような圧倒的な存在感を感じさせました。1楽章後半のクライマックスに至る部分はホグウッドのコントロールの円熟を感じさせます。劇的というよりも俊敏なオケのキレで聴かせる弩迫力な音響。ティンパニ奏者が抜群のキレ。

ホグウッドらしさが最も出ていたのが2楽章のスケルツォ。1度でいいので冒頭のティンパニの渾身の一発を自分で打ってみたいですね。2楽章は諧謔性すら感じさせるリズムの響宴。もちろんベートーヴェンなんですが、ホグウッドが体を上下に揺さぶってことさらリズムのキレを強調し現代音楽のような雰囲気も。ほとんど溜めをつくらずリズムを先に先に打って行くスタイルでぐいぐいすすめて行きます。

3楽章のアダージョも予想通りあっさりと速めにすすめますが、際立っていたのが木管楽器などの音色の色彩感。伝統的なじっくりと一体感ある演奏ではなく、あっさりとしたリズムを刻みながら次々にメロディーを奏でる楽器の音色を際立たせるように強調したコントロール。楽器の音色に対する鋭敏な感覚を感じる楽章。

そして終楽章は驚きの展開でした。前半はほぼ予想通り、速めのテンポですが、ここにきて力感は最高潮に。良く知った第九のフレーズですが、畳み掛けるようにフレーズを速める部分は新鮮さと同時に慣れ親しんだメロディーをかなりデフォルメして聴かせるような印象も与えます。コーラスが入るトゥッティはテンポを落とし逆に神々しいばかりに堂々とした演奏。アヴェ・ヴェルム・コルプスで透明な響きを聴かせた合唱は第九では素晴らしい声量。オケをも圧倒せんばかりの素晴らしい響き。これまで聴いた合唱ものではピカイチの迫力です。
驚きの展開は後半の、打楽器やトライアングルがリズムを刻み、テノールが”Froh”と入る部分。突然極端にテンポを落とし、グランカッサ、トライアングルなどが不気味な迫力を帯びて鳴り響き、まるで現代音楽を聴くような急展開。ホグウッドの古典と現代のクロスオーバーする感覚が冴えまくった解釈でしょう。はっとさせられました。
ソロ陣はN響のサイトを参照いただきたいのですが、総じて良い出来。テノール、バリトンともにもう少し凛々しい感じの方がホグウッドの演奏に合っていたのでしょうが、2人とも安定していい歌唱。女性陣は完璧でした。
終楽章にいたり、ホグウッドの真骨頂である新古典主義的な感覚も覗かせながら、ホール一杯に響き渡るオーケストラとコーラス、ソロを十分にコントロールした渾身の演奏。最後は風圧さえ感じさせるようなフィニッシュ。すべての楽器の響きを瞬時に止め、シンバルの余韻だけが響き渡るホールに嵐のような拍手がすぐに被さり、観客の感動に包まれます。ホグウッドも満足行く出来だったのでしょう、まずはコーラスを立たせて祝福します。今日は確かにコーラスが抜群でした。つづいて合唱指揮の田中信昭さんつれて拍手に応えますが、田中さんはだいぶ高齢の方に見えました。今日のコーラスは本当に素晴らしかったです。ホグウッドがソロやオケの各パートを次々とにこやかに紹介しているのが今日の出来を物語るようでした。

先日の有無をも言わせぬスクロヴァチェフスキのブルックナーのコンサートも素晴らしかったですが、今日のホグウッドの第九もアーティスティックな良いコンサートでした。完全にホグウッドの術中にハマったようですね。



4:00開演でしたのでまだ6:00くらい。程よくお腹が減ってきたので、サントリーホールの前の広場でiPhoneの食べログの現在位置検索で近隣で安くて美味しそうな店を探索。目の前のアーク森ビルにいいお店がありました。

食べログ:カレー専門店フィッシュ

なぜか前回のオペラシティ同様インドカレーですが、食べログの評価は悪くありません。カウンター主体のお店ですが中ではインドの方が料理する本格的なカレーが出てきます。

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今日はビールではなくお店のグラスワインを注文。赤はほどよくタンニンを感じる舌触りが穏やかなメルロー系のいい味。白はほんのりと甘みとフレッシュな果実味を感じる嫁さん好みの味。カレー屋さんのグラスワインにしては出来過ぎのものです。

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サラダは普通のもの。

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そしてカレーがなかなかいい味です。こちらは嫁さんが頼んだ白身魚のカレーとキーマカレーの組み合わせ。白身魚を揚げた香りが良くカレーになじんで絶妙の風味。左側にちょっとのっているのがキーマカレーで、こちらはクローブの香りがかなり効いたスパイシーなカレー。こちらも複雑な香りが本格的です。どちらも非常に美味しい。おすすめです。

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こちらが私が頼んだ、チキンカレーとキーマカレーの組みあわせ。先程の白身魚のカレーとはハッキリ違う味で、こちらは正統派のインドカレーの味。こちらも絶妙に旨いです。キーマレーは同じもの。

コンサートの余韻に浸りながらワインと美味しいカレーを楽しめました。サントリーホールの向かいのアーク森ビルの3階の奥なので、ホールから2~3分のところ。値段も非常に手頃でおすすめのお店です。



さて、このところいいコンサートに当たって、ずいぶん楽しんでいますので、この勢いで年末までいくつかまたチケットを手配しています。またコンサートレポートとして記事にしたいと思います。
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