アマデウス四重奏団のOp.74のNo.1(ハイドン)
今月強化月間の弦楽四重奏曲。まだまだ古めのものを攻めます。

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アマデウス四重奏団の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.74のNo.1、モーツァルトの弦楽五重奏曲K.515、ベートーヴェンの大フーガOp.133、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲16番Op.135、そしてシューベルトの弦楽四重奏曲D810「死と乙女」の5曲を収めた2枚組のアルバム。収録はWDRのための放送録音でしょうか。ハイドンは1956年2月2日、ケルンのクラウス・フォン・ビスマルクホールでの収録。HMVにはライヴとの記載がありますが、会場ノイズや拍手がないことを考慮すると放送用録音ではないかと思います。レーベルは豪華な黒いブックレットのようなジャケットの復刻シリーズで一世を風靡したANDaNTE。
アマデウス四重奏団は最近取りあげたカペーやレナーよりだいぶ後の時代のクァルテット。設立は1948年と戦後。ウィーンで音楽を学んでいた第1ヴァイオリンのノーバート・ブレイニンら3人がナチの迫害を逃れるためにイギリスに渡り、そこでポーランド生まれで当時高名なヴァイオリニストだったマックス・ロスタルに師事し、既にロスタルの弟子であったチェロのマーティン・ロヴェットが加わりクァルテットを結成。メンバーは以下のとおり。
第1ヴァイオリン:ノーバート・ブレイニン(Norbert Brainin)
第2ヴァイオリン:ジークムント・ニッセル(Siegmund Nissel)
ヴィオラ:ペーター・シドロフ(Peter Schidlof)
チェロ:マーティン・ロヴェット(Martin Lovett)
以来1987年ヴィオラのシドロフが亡くなるまで39年間不変のメンバーで活動を続けたとのこと。演奏スタイルはカペーやレナーとは全く異なり、キレよく重厚な畳み掛けるような迫力ある演奏。
Hob.III:72 / String Quartet Op.74 No.1 [C] (1793)
冒頭の一音からざらついたヴァイオリンなどによるエネルギッシュな響き。ヴィブラートが適度にかかっているものの独特の荒々しい音色によってガッチリと推進して行く様子は素晴らしい覇気。一貫してインテンポで攻めまくるような緊張感。素晴らしい推進力。強音の迫力と責め立てるようなインテンポがアマデウス四重奏団の特徴でしょうか。録音は後年Deutsch Grammophon盤より古さを感じさせるものの、眼前にクァルテットが定位する迫力ある良い録音。1956年の録音としては上出来でしょう。
2楽章のアンダンティーノは乾いた音色の弦楽器による優雅なアンサンブル。起伏の大きい表情づけ、よく効いたヴィブラート、そして力強い音色とこのクァルテットの特徴が良く出ています。
3楽章のメヌエットも抜群の力感でクァルテットらしからぬ迫力ある音響を構築しています。続くフィナーレも力感を保ったまま入りますが、途中にふと力をぬくところが秀逸。中盤から終盤のクライマックスにかけての素晴らしいスピードとヴァイオリンのキレは鳥肌もの。最後の突き抜けるような力強さは流石です。
たかが弦楽器4本の合奏ですが、クァルテットによってその演奏スタイルはかなりの個性があります。戦前のポルタメントを特徴としたカペー弦楽四重奏団やレナー弦楽四重奏団の演奏とは時代も演奏も変わり、鋼のような力強い響きとインテンポによる推進力、濃いめのヴィブラートによる起伏のあるフレージングがアマデウス四重奏団の特徴でしょう。このOp.74のNo.1も後年の録音の表現をより極めた演奏に対してより原初的エネルギーと迫力を感じさせる演奏。ハイドンの名曲に険しく迫る迫力は素晴らしいものがあります。評価は[+++++]とします。
弦楽四重奏曲の演奏の歴史のパースペクティブを俯瞰するように聴いてきている今月のレビュー。さらに攻めます(笑)

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アマデウス四重奏団の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.74のNo.1、モーツァルトの弦楽五重奏曲K.515、ベートーヴェンの大フーガOp.133、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲16番Op.135、そしてシューベルトの弦楽四重奏曲D810「死と乙女」の5曲を収めた2枚組のアルバム。収録はWDRのための放送録音でしょうか。ハイドンは1956年2月2日、ケルンのクラウス・フォン・ビスマルクホールでの収録。HMVにはライヴとの記載がありますが、会場ノイズや拍手がないことを考慮すると放送用録音ではないかと思います。レーベルは豪華な黒いブックレットのようなジャケットの復刻シリーズで一世を風靡したANDaNTE。
アマデウス四重奏団は最近取りあげたカペーやレナーよりだいぶ後の時代のクァルテット。設立は1948年と戦後。ウィーンで音楽を学んでいた第1ヴァイオリンのノーバート・ブレイニンら3人がナチの迫害を逃れるためにイギリスに渡り、そこでポーランド生まれで当時高名なヴァイオリニストだったマックス・ロスタルに師事し、既にロスタルの弟子であったチェロのマーティン・ロヴェットが加わりクァルテットを結成。メンバーは以下のとおり。
第1ヴァイオリン:ノーバート・ブレイニン(Norbert Brainin)
第2ヴァイオリン:ジークムント・ニッセル(Siegmund Nissel)
ヴィオラ:ペーター・シドロフ(Peter Schidlof)
チェロ:マーティン・ロヴェット(Martin Lovett)
以来1987年ヴィオラのシドロフが亡くなるまで39年間不変のメンバーで活動を続けたとのこと。演奏スタイルはカペーやレナーとは全く異なり、キレよく重厚な畳み掛けるような迫力ある演奏。
Hob.III:72 / String Quartet Op.74 No.1 [C] (1793)
冒頭の一音からざらついたヴァイオリンなどによるエネルギッシュな響き。ヴィブラートが適度にかかっているものの独特の荒々しい音色によってガッチリと推進して行く様子は素晴らしい覇気。一貫してインテンポで攻めまくるような緊張感。素晴らしい推進力。強音の迫力と責め立てるようなインテンポがアマデウス四重奏団の特徴でしょうか。録音は後年Deutsch Grammophon盤より古さを感じさせるものの、眼前にクァルテットが定位する迫力ある良い録音。1956年の録音としては上出来でしょう。
2楽章のアンダンティーノは乾いた音色の弦楽器による優雅なアンサンブル。起伏の大きい表情づけ、よく効いたヴィブラート、そして力強い音色とこのクァルテットの特徴が良く出ています。
3楽章のメヌエットも抜群の力感でクァルテットらしからぬ迫力ある音響を構築しています。続くフィナーレも力感を保ったまま入りますが、途中にふと力をぬくところが秀逸。中盤から終盤のクライマックスにかけての素晴らしいスピードとヴァイオリンのキレは鳥肌もの。最後の突き抜けるような力強さは流石です。
たかが弦楽器4本の合奏ですが、クァルテットによってその演奏スタイルはかなりの個性があります。戦前のポルタメントを特徴としたカペー弦楽四重奏団やレナー弦楽四重奏団の演奏とは時代も演奏も変わり、鋼のような力強い響きとインテンポによる推進力、濃いめのヴィブラートによる起伏のあるフレージングがアマデウス四重奏団の特徴でしょう。このOp.74のNo.1も後年の録音の表現をより極めた演奏に対してより原初的エネルギーと迫力を感じさせる演奏。ハイドンの名曲に険しく迫る迫力は素晴らしいものがあります。評価は[+++++]とします。
弦楽四重奏曲の演奏の歴史のパースペクティブを俯瞰するように聴いてきている今月のレビュー。さらに攻めます(笑)
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