作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ルクセンブルク四重奏団のOp.20 No.2

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最近はなんだか正体不明のアルバムにもいい演奏があるため、積極的に手に入れるようにしています。

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ルクセンブルク四重奏団(Quatuor de Luxembourg)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.20のNo.2、エルヴィーン・シュルホフの弦楽四重奏のための5つの小品、ルクセンブルクの作曲家であるワルター・チヴィタレアーレ(Walter Civitareale)の黙想という曲、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番の4曲を収めたアルバム。収録は2000年7月、ルクセンブルクのVilla Louvignyというところでのセッション録音。レーベルはJCH PRODUCTIONSというおそらく個人経営のレーベル。Jean-Claude Hoffmannという人が連絡先になっています。

ルクセンブルク四重奏団は日本、ユーゴスラビア、リトアニア、フランス人による国際的なメンバーのクァルテット。第1ヴァイオリンは矢口統(やぐちおさむ)さんという日本人のようで、ネットを探すとウェブサイトがあったようですが、リンクが張られた先のサイトは既に存在せず、情報はライナーノーツのみ。メンバーを紹介しておきましょう。

第1ヴァイオリン:矢口統(やぐちおさむ)
第2ヴァイオリン:Mihajlo Dudar
ヴィオラ:Ilan Schneider
チェロ:Vincent Gérin

矢口統さんは1965年生まれでパリ音楽院で学び、ソロと室内楽の両分野でコンクールに優勝した他、デンマークのオーデンセで開催された第2回カール・ニールセン国際ヴァイオリンコンクールで優勝したという経歴を持つ人。この弦楽四重奏団はもう活動していないような感じ。もし活動していれば今の時代ウェブサイトなどがあるはずですので。

このアルバムは冒頭にハイドンが置かれ、その他の曲はかなり後の時代の音楽。この組み合わせでアルバムをつくるという時点でハイドンに対する歴史的なパースペクティヴも広がります。このアルバムのプログラムを見た時点でかなりの意欲を感じますね。早速レビューです。

Hob.III:32 / String Quartet Op.20 No.2 [C] (1772)
冒頭からこの曲の真髄に迫る晴朗かつ鮮明な響きに驚きます。一点の曇りもなく晴れ渡った心境を映すかのような素晴らしい快心の響き。チェロの安定感抜群の響きとヴァイオリンの鮮明なメロディ。アンサンブルの精度も抜群。その上録音も非常に鮮明ときています。これは絶品。2台のヴァイオリンの伸び伸びとしたフレージングは青空を突き抜けんばかりのキレ具合。家の中に一流クァルテットが来て弾いているよう。演奏は冷静沈着に伸び伸びと弾くようなところがあり、実に緻密で音楽も豊か。あまり期待していたわけではなかったので、いきなりの素晴らしい出来にビックリしました。
2楽章のカプリッチョも弦楽器の重なりあう美しい響きが素晴らしい音楽を形作っていきます。第1ヴァイオリンの矢口さん素晴らしい美音です。チェロのソロの部分のフレージングの美しさも絶品。久々に聴く現代のハイドンの秀演。やはり鮮明かつ音楽を存分に楽しめる録音がキーポイントでしょうか。ライナーノーツを開いたところに記載されている情報ではマイクがSCHOEPS KFM6、デジタルマスタリングがSonic Solutionsとの記載があります。この自然かつ鮮明な響きは出色の出来。
3楽章のメヌエットはこの時期のハイドンのほの暗いメロディーがちりばめられ、強奏部と抑えた部分の対比、落ち着いたテンポの刻み、そして万全の美音が楽しめます。
そしてフィナーレのフーガは絶妙の抑え具合で美しいメロディーの繰り返しから醸し出される構成感と厭世観のようなものを上手く表現しています。終盤は落ち着きを保ったまま弓に力がこもり弦楽四重奏の最上の響きを聴かせて終了。

このあとの曲は現代曲ゆえテクニックが問われますが、何れも見事な演奏。ハイドンの構成感溢れる名曲の後に聴く弦楽四重奏の表現の限りを尽くした現代の音響もいいもの。

あんまり期待せずに聴いたアルバムですが、はっきり言ってこの曲のベスト盤としてもいい出来。最高の演奏に最上の録音と完璧な出来です。評価はもちろん[+++++]とします。ネットの情報ではOp.20のNo.5を収めたアルバムもあるようですので入手しなければなりませんね。それにしてもこれだで情報がないクァルテットも珍しいです。
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2 Comments

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Daisy

Re: お礼

矢口さん、コメントありがとうございます。
先程メールさせていただきました!

  • 2013/07/14 (Sun) 00:58
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Daisy

Re: No title

届いております!
こちらのメールはとどいておりますでしょうか?

  • 2013/07/14 (Sun) 01:08
  • REPLY