オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団の天地創造ライヴ

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オイゲン・ヨッフム(Eugen Jochum)指揮のバイエルン放送交響楽団と合唱団の演奏でハイドンの「天地創造」。歌手はガブリエルとエヴァがイルムガルト・ゼーフリート!(Irmgard Seefried)、ウリエルがワルター・ルートヴィッヒ(Welther Ludwig)、ラファエルとアダムがハンス・ホッター(Hans Hotter)という夢のような布陣。現在手持ちのアルバムの中では2番目に古い1951年4月27日のライヴ。レーベルは玉石混合のヒストリカル復刻で知られるARCHIPEL。
最近手に入れたバーンスタインボックスの天地創造を聴きながら所有盤リストに登録していたんですが、そういえばこのアルバムの記憶があまりなく、どういった演奏か聴き直してみたところ、ヨッフムらしからぬ鬼気迫る迫力にビックリして取りあげようと思った次第。
オイゲン・ヨッフムは1902年生まれ故、この演奏当時は49歳と覇気溢れる年代。この頃以降の指揮者としての経歴はWikipediaによると次の通り。
1934-1949年 ハンブルク国立歌劇場音楽総監督(ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者と兼任)
1949-1960年 バイエルン放送交響楽団首席指揮者
1961-1964年 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団首席指揮者(ベルナルト・ハイティンクと共同)
1968-1971年 バンベルク交響楽団芸術顧問
1971-1973年 バンベルク交響楽団首席指揮者
1977年 ロンドン交響楽団桂冠指揮者
ちょうど1949年からこの演奏のオケであるバイエルン放送交響楽団の首席指揮者になり、慣れた頃の演奏という訳です。
Hob.XXI:2 / "Die Schöpfung" 「天地創造」 (1796-1798)
なんでしょうか、序奏の一音から漲るこの不気味な迫力。1951年にしては十分鮮明な録音。咳などの会場ノイズがわずかに聞こえますが、もの凄い集中力に会場も縮み上がっているような感じ。ゆったりと、そして滔々とすすむ第1曲。冒頭から異様な緊張感が支配する展開。
ラファエルの第一声はなんと静寂と区別がつかないような抑えたもの。これは確信犯ですね。大爆発まですべてを静寂が支配するような演出。その後はテンポを上げて通常の快活な演奏にシフトします。ウリエルのルートヴィヒは力強さを感じる伸びのよいテノール。オケはヨッフムの他の演奏に比べるとかなり溜めを効かせている演奏。天地創造ならではの演奏でしょう。ラファエルのホッターはレチタティーヴォから迫力十分。ちょっとフィッシャー=ディースカウに似た響きの余韻を持っています。ガブリエルのゼーフリートは転がるような高音にうっとり。ヨッフムの伴奏は粗さが迫力を増すようないい意味でざらついたもの。
いつものように第一部の華のガブリエルのアリアに集中。非常に自然体のヨッフムの伴奏に乗って、ゼーフリートの可憐な声が踊るような歌唱。ちょっと影も感じさせる大人の響き。これは絶品。
通常第一部は13トラックに切られるのですが、このアルバムは8トラック。通常の10曲から13曲に至るクライマックスはトラック6、7、8になります。一気に畳み掛けるというよりは、1曲づずつ、しかもじっくりと盛り上げていくところが迫力を増しています。惜しいのが第一部の最後のクライマックスが音が飽和してビリつくこと。
これは聴き応えのある天地創造。今日はここまでとして、続きは明日。刻んですいません。
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No title
Re: No title
ヨッフムも気になる指揮者ですね。晩年の澄み渡ったようなブルックナーとかモーツァルトの演奏とくらべると、この天地創造は遅めでで劇的な演出がヨッフムらしからぬ感じもしてなかなか興味深い演奏です。このアルバム、今も現役であることを考えると歴史を経て聴く価値のある演奏だということでしょう。まだ第一部だけですが、なるほど興味をそそられる演奏に違いありません。