作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

バーンスタイン/ロンドン交響楽団のテレジアミサ

0
0
今日はバーンスタインのハイドンボックスから。

BernsteinHaydn.jpg
HMV ONLINEicon / amazon

先日届いたバーンスタインのハイドンボックス。おそらくSONY CLASSICAL系のバーンスタインとニューヨークフィルとのハイドンの演奏の録音をすべてまとめたものでしょう。今日はこの中から、なぜかロンドン交響楽団との演奏があったので取りあげました。

レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)指揮のロンドン交響楽団、ロンドン交響合唱団の演奏によるハイドンのテレジアミサ。ソロはソプラノがルチア・ポップ!(Lucia Popp)、メゾソプラノがロザリンド・エリアス(Rosalind Elias)、テノールがロバート・テア(Robert Tear)、バリトンがポール・ハドソン(Paul Hudson)。収録は1979年5月14日、15日、ロンドンのヘンリー・ウッドホールでのセッション録音。

バーンスタインのテレジアミサは、先月ウィーンフィルとのCD-Rを取りあげましたが、この録音の直後である1979年5月27日のライヴでした。セッション録音で曲をしっかり把握したあとでライヴで取りあげるのは仕事の効率がいいですね。この録音と先日のウィーフィルとのライヴとの違いも聴き所でしょう。前の記事のリンクを張っておきましょう。

2011/08/15 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番5】バーンスタイン/ウィーンフィルのテレジアミサライヴ!

Hob.XXII:12 / Missa "Theresienmesse" 「テレジアミサ」 [B flat] (1799)
導入のキリエは標準的な演奏。オケの響きは多少の粗さはあるもののヘンリー・ウッドホールの名音響と相俟ってなかなかの響き。主題に入るとスピードが落ち、徐々に威風堂々とした印象が増します。フレージングもレガートが効いて、粗いながらも堂々とした風格が増してロマンティックに変化していきます。キリエの最後のティンパニの溜めはバーンスタインならでは。

グローリアは3部構成ですが、冒頭から素晴らしい覇気と迫力。エネルギーの波が押し寄せるような興奮。オルガンの音色が浮かび上がり厚みを加えます。中間部は一転、静けさが印象的な曲想。ロザリンド・エリスのメゾソプラノ、ポール・ハドソンのバリトン、そして名花ルチア・ポップ、最後にテノールのロバート・テアと美しいソロのメロディーを歌い継いでコーラスにつなぎ、起伏の大きな盛り上がりに達します。このあたりの演出はじっくり劇的にバーンスタインならではのコントロール。晩年ほどわざとらしくなく、まだまだ自然さが残ります。最後の抑えたコーラスの音色は絶妙な美しさ。締めはフーガのように繰り返えされるさざ波のような表現。やはり最後の一音の溜めが印象的。

クレドはコーラスが冒頭からフルスロットル。渾身のコーラスとオケの奏でる絡み合うメロディー。混沌としたような音響ながら興奮がぶつかり合うような素晴らしい緊張感。つづいてポップのキリッとしたソプラノからはじまる慈しみ深い歌。ここは聴き所でしょう。終結部は再び素晴らしいエネルギーと抑制のコントラストが見事。過度に劇的になることなく自然な範囲でバーンスタインの上手い演出が功を奏しています。いい意味で粗く、ダイナミックでもあり、不自然に陥ることのない絶妙のバランス。

サンクトゥスは短い曲ながら、そよ風のような美しいメロディーと力感のこもったフレーズの対比が見事。そしてハイドンのミサ曲の美しさが凝縮されたベネディクトスに入り、いきなりポップの美声とコーラスの掛け合い。バーンスタインのじっくりした演出によって、めくるめくようなソロとコーラスの絡みの魅力が浮かび上がります。このあたりは本当にバーンスタインのロマンティクな演出の真骨頂。古典期の均整ばかりではなく流麗な起伏と艶かしさを感じさせるあたりは流石。やはりやり過ぎないところが絶妙なバランス。そして最後のアニュス・デイ。象徴的なメロディーではじまる険しくも艶かしい最後の曲。はじまりの1フレーズの何かただならないものを感じさせるような演出も見事。これもバーンスタインの真骨頂でしょう。最後のソロとコーラスの大団円のような場面もじっくりとおちつきながらドラマティックに盛り上げるあたりも最高。ハイドンのミサ曲がドラマの演出曲のように響く不思議な感覚ですが、音楽を噛み砕いてひじょうにわかりやすく再構成していくところはバーンスタインの得意とするところ。最後も盛り上がりと静寂のコントラストによる終結に至り、感極まる感じ。

これは見事。バーンスタインのハイドンはやり過ぎるとこってりしすぎて違和感を覚えるほどとなってしまいますが、このテレジアミサはバーンスタイン良さが非常に良く出た演奏。もちろんバーンスタイン流には変わりありませんが、私には自然な解釈の範囲に聞こえました。評価はウィーンフィルとのライヴ同様[+++++]とします。このボックス、枚数も内容も聴き応えのある内容ゆえ、いろいろ聴いてみたいと思います。
関連記事

0 Comments

There are no comments yet.