コンスタンチン・オルベリアン/モスクワ室内管の告別
今日は交響曲。ロシアものです。

コンスタンチン・オルベリアン指揮のモスクワ室内管弦楽団の演奏でチャイコフスキーの弦楽セレナーデとハイドンの交響曲45番「告別」を収めたアルバム。収録は1986年モスクワの州立スタジオでのセッション録音。レーベルはモスクワ室内管弦楽団の自主制作盤。
このアルバムはしばらく前にディスクユニオンで入手したもの。見たことのないジャケットに怪しい妖気が漂います。なんとなくピンと来て入手しました。聴いてみるとこれが素晴らしい演奏。非常にゆったりとした、しかも耽美的な艶かしい響きで美しく磨き抜かれた告別。ゆったりとした楽章の美しさは見事なものです。
いつものように奏者のことを紹介しておきましょう。
指揮者のコンスタンチン・オルベリアンはロシアのオケの音楽監督となったはじめてのロシア人以外の人。生まれはサンフランシスコのアメリカ人のようですが、このオケの音楽監督をつづけ、アルバムもいろいろ出ているよう。このアルバムはモスクワ室内管弦楽団の自主制作盤ですが、番号をみるとその1枚目のようです。このオーケストラの渾身の演奏だということでしょう。コンスタチン・オルベリアンとモスクワ室内管弦楽団の情報は下記サイトに掲載されています。いつものようにリンクを張っておきます。
Moscow Chamber Orchestra(英文)
Hob.I:45 / Symphony No.45 "Farewell" 「告別」 [f sharp] (1772)
残響の多い録音。若干鮮明さは落ちてくすんだ音色に聴こえますが、弦楽器の美しい響きを主体とした演奏。弦をのびのびと弾いているようすが伝わるような演奏。前に置かれたのがチャイコフスキーの弦楽セレナーデですので、曲に対するアプローチはチャイコフスキーと似たものを感じます。ただしロマン派の様な感情的な演奏ではなく、古典の均衡を感じさせるなかなか指揮者の懐の深さを感じさせる演奏。ゆったりしたテンポで朗々と弾かれる告別の1楽章の緊密なメロディー。特にヴァイオリンの高音弦の美しい響きは長めの残響と相俟って素晴らしい響き。メリハリの効いたフレージングに長めの間。告別交響曲の劇性を強調した演奏。
さらに素晴らしいのが2楽章のアダージョ。ゆったりとしながらもテンポ感のある、間延びした感じは皆無。確信に満ちて揺るぎない印象もあり、オルベリアンのコントロールが行き届いていることを窺わせます。磨き抜かれたメロディーが絶品。音符に潜む感情をえぐり出すようなデリケートなデュナーミクのコントロール。シュトルム・ウント・ドラング期特有のハイドンの憂いに満ちた曲想を流麗を極めた孤高の響きの弦楽器と木管楽器によって浮き立たせます。これほど深く神々しいアダージョは滅多に聴けるものではありません。絶品。三途の川を渡りそう。
メヌエットも磨き抜かれた弦とホルンの絶妙の絡みが素晴らしい響きを造っています。メヌエットで表現の起伏が大きくなっているのに不思議と心境には静寂感が漂う演奏。完全にオルベリアンのコントロールに落ちてます。
そしてフィナーレ。まずは激しい前半部。あえて弦楽器のみを浮かび上がらせているよう。金管、木管はかなり音量を落として弦楽器の引き立て役に徹しています。テンポはやはりゆったり目でじっくりと曲の美しさを表現していきます。そして一人ずつ舞台を去っていく最後の部分。この部分もアダージョ同様、この世のものとは思えない美しい響き。落ち着ききった奏者によって奏でられるメロディ。徐々に楽器の数が減って響きの純度が高まっていく様子はハイドンの創意、機知、朗らかな表現意図の結晶。じっくりじっくり奏でていき、音量が落ちるのにつれて満ちてくる感情。最後の数台の楽器の掛け合いはきらめく創意が昇華して昇天。
絶品です。CDながらしばらく演奏後の無音を楽しみます。なんと素晴らしい演奏でしょうか。言葉になりません。もちろん評価は[+++++]とします。深く心に残る演奏でした。

コンスタンチン・オルベリアン指揮のモスクワ室内管弦楽団の演奏でチャイコフスキーの弦楽セレナーデとハイドンの交響曲45番「告別」を収めたアルバム。収録は1986年モスクワの州立スタジオでのセッション録音。レーベルはモスクワ室内管弦楽団の自主制作盤。
このアルバムはしばらく前にディスクユニオンで入手したもの。見たことのないジャケットに怪しい妖気が漂います。なんとなくピンと来て入手しました。聴いてみるとこれが素晴らしい演奏。非常にゆったりとした、しかも耽美的な艶かしい響きで美しく磨き抜かれた告別。ゆったりとした楽章の美しさは見事なものです。
いつものように奏者のことを紹介しておきましょう。
指揮者のコンスタンチン・オルベリアンはロシアのオケの音楽監督となったはじめてのロシア人以外の人。生まれはサンフランシスコのアメリカ人のようですが、このオケの音楽監督をつづけ、アルバムもいろいろ出ているよう。このアルバムはモスクワ室内管弦楽団の自主制作盤ですが、番号をみるとその1枚目のようです。このオーケストラの渾身の演奏だということでしょう。コンスタチン・オルベリアンとモスクワ室内管弦楽団の情報は下記サイトに掲載されています。いつものようにリンクを張っておきます。
Moscow Chamber Orchestra(英文)
Hob.I:45 / Symphony No.45 "Farewell" 「告別」 [f sharp] (1772)
残響の多い録音。若干鮮明さは落ちてくすんだ音色に聴こえますが、弦楽器の美しい響きを主体とした演奏。弦をのびのびと弾いているようすが伝わるような演奏。前に置かれたのがチャイコフスキーの弦楽セレナーデですので、曲に対するアプローチはチャイコフスキーと似たものを感じます。ただしロマン派の様な感情的な演奏ではなく、古典の均衡を感じさせるなかなか指揮者の懐の深さを感じさせる演奏。ゆったりしたテンポで朗々と弾かれる告別の1楽章の緊密なメロディー。特にヴァイオリンの高音弦の美しい響きは長めの残響と相俟って素晴らしい響き。メリハリの効いたフレージングに長めの間。告別交響曲の劇性を強調した演奏。
さらに素晴らしいのが2楽章のアダージョ。ゆったりとしながらもテンポ感のある、間延びした感じは皆無。確信に満ちて揺るぎない印象もあり、オルベリアンのコントロールが行き届いていることを窺わせます。磨き抜かれたメロディーが絶品。音符に潜む感情をえぐり出すようなデリケートなデュナーミクのコントロール。シュトルム・ウント・ドラング期特有のハイドンの憂いに満ちた曲想を流麗を極めた孤高の響きの弦楽器と木管楽器によって浮き立たせます。これほど深く神々しいアダージョは滅多に聴けるものではありません。絶品。三途の川を渡りそう。
メヌエットも磨き抜かれた弦とホルンの絶妙の絡みが素晴らしい響きを造っています。メヌエットで表現の起伏が大きくなっているのに不思議と心境には静寂感が漂う演奏。完全にオルベリアンのコントロールに落ちてます。
そしてフィナーレ。まずは激しい前半部。あえて弦楽器のみを浮かび上がらせているよう。金管、木管はかなり音量を落として弦楽器の引き立て役に徹しています。テンポはやはりゆったり目でじっくりと曲の美しさを表現していきます。そして一人ずつ舞台を去っていく最後の部分。この部分もアダージョ同様、この世のものとは思えない美しい響き。落ち着ききった奏者によって奏でられるメロディ。徐々に楽器の数が減って響きの純度が高まっていく様子はハイドンの創意、機知、朗らかな表現意図の結晶。じっくりじっくり奏でていき、音量が落ちるのにつれて満ちてくる感情。最後の数台の楽器の掛け合いはきらめく創意が昇華して昇天。
絶品です。CDながらしばらく演奏後の無音を楽しみます。なんと素晴らしい演奏でしょうか。言葉になりません。もちろん評価は[+++++]とします。深く心に残る演奏でした。
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