コリン・デイヴィス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の熊、雌鶏
久しぶりの交響曲です。

サー・コリン・デイヴィス(Sir Colin Davis)指揮のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で、ハイドンの交響曲82番「熊」と83番「雌鶏」の2曲を収めたアルバム。収録は1986年1月アムステルダム・コンセルトヘボウでのセッション録音。懐かしいPHILIPSレーベルのアルバム。
コリン・デイヴィスはお盆に取りあげたネルソンミサがセッション録音の域を越えた大迫力の演奏だったのが記憶に新しいところ。ただしネルソンミサの記事にも書きましたが、肝心のアムステルダム・コンセルトヘボウとの交響曲は、手元にあるザロモン・セットを聴く限り、今ひとつリズムが重く粗さも目立つ演奏でした。今日は最近ディスクユニオンの店頭で発見した、もうだいぶ前に廃盤になったと思われる「熊」と「雌鶏」の2曲を収めたアルバム。このアルバムの演奏はザロモンセットの1970年代の演奏よりも85年のネルソンミサの演奏に近く、覇気と迫力を感じられる演奏ゆえ取りあげました。例によって過去のデイヴィスの記事へのリンクを張っておきましょう。
2011/08/13 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番3】コリン・デイヴィス/バイエルン放送交響楽団のネルソンミサ
2011/06/16 : ハイドン–声楽曲 : コリン・デイヴィスの天地創造ライヴ-2
2011/06/14 : ハイドン–オラトリオ : コリン・デイヴィスの天地創造ライヴ-1
2010/07/17 : ハイドン–交響曲 : コリン・デイヴィスの時計ライブ
Hob.I:82 / Symphony No.82 "L'Ours" 「熊」 [C] (1786)
PHILIPSにしては珍しい直接音重視でスピーカーのまわりオケが定位する録音。残響成分は多いんですが、不思議と定位感が曖昧な録音。ディヴィスらしくテンポは少し遅めでリズムはちょっと重めですが、推進力はあり、一本筋の通ったジェントルな印象。ヴァイオリンの響きがちょっと薄めなのが気になるところ。奏者は決まったリズムの中で活き活きとしたリズムとボウイングで旋律を浮かび上がらせようとしているのがわかります。リズムの一貫性がデイヴィスらしいところ。曲がすすむにつれてじわりと盛り上がる大人な演奏。1楽章は腕試しのような趣。
2楽章のアレグレットも一貫したリズムの中でじわりと変化を表現するこれまた大人な演奏。デイヴィスなりのハイドンの機知の表現でしょう。フレーズごとのメリハリ、対比をハッキリつけて箱庭的スペクタクルを追求。ユーモアや暖かさを感じさせる余裕もあり、後半の変奏では気迫も見せる至芸。良く聴くと木管楽器がかなり踏み込んだアクセントをつけて盛り上げます。これは玄人好みなアレグレットですね。
前楽章の最後の盛り上がりの勢いをそのまま持ち込むようなメヌエットのはじまり。決まった型の中での表現を尽くすすような演奏。リズムの一貫性を基調とした表現。
フィナーレの熊のニックネームの元になった有名なフレーズ。あえて遅めのテンポでじっくりはじまります。フィナーレは慌てず、おおらかなスタンスで、しかしじっくりがっちりしたメリハリをつけてすすめます。最後はティンパニの活躍で迫力を増しフィニッシュ。
Hob.I:83 / Symphony No.83 "La Poule" 「雌鶏」 [C] (1785)
パリセットで唯一短調のこの曲。適度にタイトな響きで、前曲同様余裕あるテンポながらテンションは高い演奏。鋭角的な演奏も多いのですが、デイヴィスの雌鶏は落ち着いて聴いていられるおおらかさがあります。タイトな曲想の曲だけにこの余裕あるデイヴィスのコントロールは効果的。ヴァイオリン主体の険しいながらもウィットに富んだメロディーをフレーズごとの間を生かしながら重ねていきます。
絶品なのは次のアンダンテ。デイヴィスのスタンスはアンダンテにぴったり。非常にデリケートなフレージングでハイドンの美しいメロディーラインを浮かび上がらせていきます。何気ない演奏ながら慈しみ深い音楽が溢れ出てきます。感情に流されることなく淡々と進めるところもいいですね。ところどころ弦楽器の大波が襲うところの突抜ける感じは流石アムステルダム・コンセルトヘボウ管、美しい響きに圧倒されます。
一貫してゆったり感のある演奏。つづくメヌエットもいい意味で力が抜けて、自然さが際立ちます。
最後のフィナーレは遅いと思っていたのですが、その予想よりさらにじっくりとしたスピードではじまります。しばらくでテンポは落ち着きますが、繰り返しのところで再びスピードダウン。確信犯的表現なんでしょう。引き続き八分の力で演奏するような力みのなさ。最後もさっぱりとしたフィニッシュでした。
コリン・デイヴィスとアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団という最強の組み合わせによるハイドンの交響曲ですが、これまで聴いた中では最上の部類の演奏と言えるでしょう。「熊」は迫力漲る演奏ながらもまだいけるという印象もあり[++++]、「雌鶏」は逆に無欲の力の抜けた自然さが心に残る素晴らしい演奏ということで、最高評価の[+++++]とします。
最近とどいた四季のアルバムは、まだちょい聴きながら、やはりリズムの重さがちょっと気になるところ。ヨッフムもそうですが、デイヴィスのハイドンもそれぞれモーツァルトの交響曲の素晴らしさを知っているだけに、もう一つ突き抜けた演奏に期待してしまうのは致し方ないところでしょう。デイヴィスはライヴ盤などがあればまた取りあげてみたいと思ってます。
今日は昼頃の豪雨から一転、涼しい気候になりました。このまま涼しくなってくれると良いのですが、そうもいかないでしょうね。

サー・コリン・デイヴィス(Sir Colin Davis)指揮のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で、ハイドンの交響曲82番「熊」と83番「雌鶏」の2曲を収めたアルバム。収録は1986年1月アムステルダム・コンセルトヘボウでのセッション録音。懐かしいPHILIPSレーベルのアルバム。
コリン・デイヴィスはお盆に取りあげたネルソンミサがセッション録音の域を越えた大迫力の演奏だったのが記憶に新しいところ。ただしネルソンミサの記事にも書きましたが、肝心のアムステルダム・コンセルトヘボウとの交響曲は、手元にあるザロモン・セットを聴く限り、今ひとつリズムが重く粗さも目立つ演奏でした。今日は最近ディスクユニオンの店頭で発見した、もうだいぶ前に廃盤になったと思われる「熊」と「雌鶏」の2曲を収めたアルバム。このアルバムの演奏はザロモンセットの1970年代の演奏よりも85年のネルソンミサの演奏に近く、覇気と迫力を感じられる演奏ゆえ取りあげました。例によって過去のデイヴィスの記事へのリンクを張っておきましょう。
2011/08/13 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番3】コリン・デイヴィス/バイエルン放送交響楽団のネルソンミサ
2011/06/16 : ハイドン–声楽曲 : コリン・デイヴィスの天地創造ライヴ-2
2011/06/14 : ハイドン–オラトリオ : コリン・デイヴィスの天地創造ライヴ-1
2010/07/17 : ハイドン–交響曲 : コリン・デイヴィスの時計ライブ
Hob.I:82 / Symphony No.82 "L'Ours" 「熊」 [C] (1786)
PHILIPSにしては珍しい直接音重視でスピーカーのまわりオケが定位する録音。残響成分は多いんですが、不思議と定位感が曖昧な録音。ディヴィスらしくテンポは少し遅めでリズムはちょっと重めですが、推進力はあり、一本筋の通ったジェントルな印象。ヴァイオリンの響きがちょっと薄めなのが気になるところ。奏者は決まったリズムの中で活き活きとしたリズムとボウイングで旋律を浮かび上がらせようとしているのがわかります。リズムの一貫性がデイヴィスらしいところ。曲がすすむにつれてじわりと盛り上がる大人な演奏。1楽章は腕試しのような趣。
2楽章のアレグレットも一貫したリズムの中でじわりと変化を表現するこれまた大人な演奏。デイヴィスなりのハイドンの機知の表現でしょう。フレーズごとのメリハリ、対比をハッキリつけて箱庭的スペクタクルを追求。ユーモアや暖かさを感じさせる余裕もあり、後半の変奏では気迫も見せる至芸。良く聴くと木管楽器がかなり踏み込んだアクセントをつけて盛り上げます。これは玄人好みなアレグレットですね。
前楽章の最後の盛り上がりの勢いをそのまま持ち込むようなメヌエットのはじまり。決まった型の中での表現を尽くすすような演奏。リズムの一貫性を基調とした表現。
フィナーレの熊のニックネームの元になった有名なフレーズ。あえて遅めのテンポでじっくりはじまります。フィナーレは慌てず、おおらかなスタンスで、しかしじっくりがっちりしたメリハリをつけてすすめます。最後はティンパニの活躍で迫力を増しフィニッシュ。
Hob.I:83 / Symphony No.83 "La Poule" 「雌鶏」 [C] (1785)
パリセットで唯一短調のこの曲。適度にタイトな響きで、前曲同様余裕あるテンポながらテンションは高い演奏。鋭角的な演奏も多いのですが、デイヴィスの雌鶏は落ち着いて聴いていられるおおらかさがあります。タイトな曲想の曲だけにこの余裕あるデイヴィスのコントロールは効果的。ヴァイオリン主体の険しいながらもウィットに富んだメロディーをフレーズごとの間を生かしながら重ねていきます。
絶品なのは次のアンダンテ。デイヴィスのスタンスはアンダンテにぴったり。非常にデリケートなフレージングでハイドンの美しいメロディーラインを浮かび上がらせていきます。何気ない演奏ながら慈しみ深い音楽が溢れ出てきます。感情に流されることなく淡々と進めるところもいいですね。ところどころ弦楽器の大波が襲うところの突抜ける感じは流石アムステルダム・コンセルトヘボウ管、美しい響きに圧倒されます。
一貫してゆったり感のある演奏。つづくメヌエットもいい意味で力が抜けて、自然さが際立ちます。
最後のフィナーレは遅いと思っていたのですが、その予想よりさらにじっくりとしたスピードではじまります。しばらくでテンポは落ち着きますが、繰り返しのところで再びスピードダウン。確信犯的表現なんでしょう。引き続き八分の力で演奏するような力みのなさ。最後もさっぱりとしたフィニッシュでした。
コリン・デイヴィスとアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団という最強の組み合わせによるハイドンの交響曲ですが、これまで聴いた中では最上の部類の演奏と言えるでしょう。「熊」は迫力漲る演奏ながらもまだいけるという印象もあり[++++]、「雌鶏」は逆に無欲の力の抜けた自然さが心に残る素晴らしい演奏ということで、最高評価の[+++++]とします。
最近とどいた四季のアルバムは、まだちょい聴きながら、やはりリズムの重さがちょっと気になるところ。ヨッフムもそうですが、デイヴィスのハイドンもそれぞれモーツァルトの交響曲の素晴らしさを知っているだけに、もう一つ突き抜けた演奏に期待してしまうのは致し方ないところでしょう。デイヴィスはライヴ盤などがあればまた取りあげてみたいと思ってます。
今日は昼頃の豪雨から一転、涼しい気候になりました。このまま涼しくなってくれると良いのですが、そうもいかないでしょうね。
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