【お盆特番6】ヘルムート・リリングのテレジアミサ
昨日はこってりしたバーンスタインのテレジアミサでしたので今日は清々しいものを。

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ヘルムート・リリング(Helmuth Rilling)指揮のオレゴン・バッハ・フェスティバル管弦楽団と同合唱団の演奏によるハイドンのテレジアミサ、シュトゥットガルト室内管弦楽団とシュトゥットガルト・ゲヒンゲン聖歌隊による戦時のミサの2曲を収めたアルバム。今日はテレジアミサの方を取りあげます。ソロはソプラノがシモーナ・シャトゥロヴァー(Simona Saturová)、アルトがロクサーナ・コンスタンティネスク(Roxana Constantinescu)、テノールがコービー・ウェルシュ(Corby Welch)、バスがヨーク・フェリックス・スピア(Yorck Felix Speer)。テレジアミサは2007年7月7日~9日、アメリカ西海岸、シアトルの南約400kmのオレゴン州ユージーンにあるハルトセンター、シルヴァホールでのセッション録音。レーベルはhänssler CLASSIC。
Wikipediaなどによると、ヘルムート・リリングは1933年シュトゥットガルト生まれの指揮者。シュトゥットガルト音楽大学でオルガン、作曲、合唱指揮等を学び、その後イタリアのローマ及びシエナでオルガンなどを学んだ。在学中の1954年、このアルバムの2曲目に収められた戦時のミサで合唱を担当するゲヒンゲン聖歌隊を設立、シュトゥットガルト記念教会の楽長およびオルガニストとしてその後定年退職する歳になるまで教会音楽家として活躍した人。なんと1967年から前記事でとりあげたレナード・バーンスタインに師事。同年よりフランクフルト州立音楽大学の合唱指揮の教授を1985年まで務める。1969年にフランクフルト合唱団の指揮者に就任。1965年から寄せ集めのシュトゥットガルト・バッハ・コレギウムを設立。シュトゥットガルト・バッハ・コレギウムはゲヒンゲン聖歌隊とも良く共演している。日本にも数回以上来日し、講習会などを通じて多くの教え子を持っているとのことです。
ヘルムート・リリングは特にバッハのスペシャリストとして知られています。はじめてバッハの合唱曲を全曲録音し、170枚ものCDに1000曲もの録音があるとのことです。バッハを知り尽くしたリリングのハイドン。昨日のマーラーのようなバーンスタインのミサ曲とは異なり、バーンスタインに教えを受けたこともありますが、リリングのハイドンは、期待通りバッハのようなハイドンのミサ曲でした。
Hob.XXII:12 / Missa "Theresienmesse" 「テレジアミサ」 [B flat] (1799)
最近の演奏に近い古楽器風なあっさりとしたフレージングからはじまるキリエ。最近の録音らしく響きは高品質で極上。抑え気味のヴィブラート、速めのテンポ、弾むリズム、素晴らしい推進力。滋味深くほんのりと微笑むジャケット写真のリリングが自信ありげにどうだと問いかけているように見えます。出だしから素晴らしい覇気。
グローリアも素晴らしい躍動感。奏者自身が演奏を楽しんでいるような愉悦感にあふれた演奏。流石に合唱指揮者だけあってコーラスとオケの一体感は格別。これはコーラスを楽しむべきアルバムでもあります。中間部はソロの聴かせどころ。最初はアルトのコンスタンティネスク、つづいてバスのフェリクス・スピアー、そしてソプラノのシャトゥロヴァー、テノールのウェルシュと続きます。歌手はこれまで取りあげた一連のミサ曲の中では標準的な仕上がり。今までのアルバムが素晴らしいキャストだったということです。歌はまとまりがあり、響きも調和がとれていますので問題なし。グローリアの終結部は生気に満ちた弾むリズムが再び襲います。リズムの刻みがこの演奏の基調をなしています。
つづいてクレド。音を切り気味に爽快感を出しながらすすめます。一貫して速めのテンポで起伏に富んだ抜群の推進力。バーンスタインの演奏とは全く異なる表情を描いていきます。単調に感じる部分は皆無。次々にフレーズを変化させて曲の素晴らしさを万全に表現。中間部は再び歌の聴かせどころ。なかではやはりシャトゥロヴァーのソプラノとしては豊かな響きが印象的。ゆったりした部分をじっくり丁寧に描くことで対比を綺麗につけて演奏の幅を広げていますね。最後はオケとコーラスの息吹を堪能できます。ソロもバスとテノールが雄々しい雄叫びのような歌いぶりでそれに応えるようにソプラノが華麗な音階。曲も創意と変化の粋を尽くしたもの。ハイドンの天才が遺憾なく発揮された部分。
そしてサンクトゥスからベネディクトゥス、アニュス・デイに至る極上の流れ。連日聴いても飽きることはない素晴らしいメロディー。何度聴いてもその美しさにほれぼれするところです。前半の起伏重視の演奏からすっかり流麗なメロディーに移ってます。特にアニュス・デイの導入部の美しさは筆舌に尽くし難いもの。コーラスによる険しい表情のメロディー。無欲なリリングのコントロールがかえって美しさを引き立てます。そして終曲はオケとコーラス、ソロの総決算といった趣。素晴らしい盛り上がりを見せて終わります。
ヘルムート・リリングのテレジアミサ。やはりバッハのスペシャリストらしく、バッハの香りがするような誠実さに裏付けられた生気に富んだハイドンでした。古楽器演奏の特徴も取り入れリリングの先取性も垣間見えました。この演奏も[+++++]をつけます。連日素晴らしい演奏でミサ曲を聴く悦びに満ちております。祈りをテーマした曲ということでしたが、心に残るのはハイドンの音楽そのものというのが偽らざる心境。特番も6回を数えましたのでこれにて終了と致します。明日から通常更新に戻ります。

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ヘルムート・リリング(Helmuth Rilling)指揮のオレゴン・バッハ・フェスティバル管弦楽団と同合唱団の演奏によるハイドンのテレジアミサ、シュトゥットガルト室内管弦楽団とシュトゥットガルト・ゲヒンゲン聖歌隊による戦時のミサの2曲を収めたアルバム。今日はテレジアミサの方を取りあげます。ソロはソプラノがシモーナ・シャトゥロヴァー(Simona Saturová)、アルトがロクサーナ・コンスタンティネスク(Roxana Constantinescu)、テノールがコービー・ウェルシュ(Corby Welch)、バスがヨーク・フェリックス・スピア(Yorck Felix Speer)。テレジアミサは2007年7月7日~9日、アメリカ西海岸、シアトルの南約400kmのオレゴン州ユージーンにあるハルトセンター、シルヴァホールでのセッション録音。レーベルはhänssler CLASSIC。
Wikipediaなどによると、ヘルムート・リリングは1933年シュトゥットガルト生まれの指揮者。シュトゥットガルト音楽大学でオルガン、作曲、合唱指揮等を学び、その後イタリアのローマ及びシエナでオルガンなどを学んだ。在学中の1954年、このアルバムの2曲目に収められた戦時のミサで合唱を担当するゲヒンゲン聖歌隊を設立、シュトゥットガルト記念教会の楽長およびオルガニストとしてその後定年退職する歳になるまで教会音楽家として活躍した人。なんと1967年から前記事でとりあげたレナード・バーンスタインに師事。同年よりフランクフルト州立音楽大学の合唱指揮の教授を1985年まで務める。1969年にフランクフルト合唱団の指揮者に就任。1965年から寄せ集めのシュトゥットガルト・バッハ・コレギウムを設立。シュトゥットガルト・バッハ・コレギウムはゲヒンゲン聖歌隊とも良く共演している。日本にも数回以上来日し、講習会などを通じて多くの教え子を持っているとのことです。
ヘルムート・リリングは特にバッハのスペシャリストとして知られています。はじめてバッハの合唱曲を全曲録音し、170枚ものCDに1000曲もの録音があるとのことです。バッハを知り尽くしたリリングのハイドン。昨日のマーラーのようなバーンスタインのミサ曲とは異なり、バーンスタインに教えを受けたこともありますが、リリングのハイドンは、期待通りバッハのようなハイドンのミサ曲でした。
Hob.XXII:12 / Missa "Theresienmesse" 「テレジアミサ」 [B flat] (1799)
最近の演奏に近い古楽器風なあっさりとしたフレージングからはじまるキリエ。最近の録音らしく響きは高品質で極上。抑え気味のヴィブラート、速めのテンポ、弾むリズム、素晴らしい推進力。滋味深くほんのりと微笑むジャケット写真のリリングが自信ありげにどうだと問いかけているように見えます。出だしから素晴らしい覇気。
グローリアも素晴らしい躍動感。奏者自身が演奏を楽しんでいるような愉悦感にあふれた演奏。流石に合唱指揮者だけあってコーラスとオケの一体感は格別。これはコーラスを楽しむべきアルバムでもあります。中間部はソロの聴かせどころ。最初はアルトのコンスタンティネスク、つづいてバスのフェリクス・スピアー、そしてソプラノのシャトゥロヴァー、テノールのウェルシュと続きます。歌手はこれまで取りあげた一連のミサ曲の中では標準的な仕上がり。今までのアルバムが素晴らしいキャストだったということです。歌はまとまりがあり、響きも調和がとれていますので問題なし。グローリアの終結部は生気に満ちた弾むリズムが再び襲います。リズムの刻みがこの演奏の基調をなしています。
つづいてクレド。音を切り気味に爽快感を出しながらすすめます。一貫して速めのテンポで起伏に富んだ抜群の推進力。バーンスタインの演奏とは全く異なる表情を描いていきます。単調に感じる部分は皆無。次々にフレーズを変化させて曲の素晴らしさを万全に表現。中間部は再び歌の聴かせどころ。なかではやはりシャトゥロヴァーのソプラノとしては豊かな響きが印象的。ゆったりした部分をじっくり丁寧に描くことで対比を綺麗につけて演奏の幅を広げていますね。最後はオケとコーラスの息吹を堪能できます。ソロもバスとテノールが雄々しい雄叫びのような歌いぶりでそれに応えるようにソプラノが華麗な音階。曲も創意と変化の粋を尽くしたもの。ハイドンの天才が遺憾なく発揮された部分。
そしてサンクトゥスからベネディクトゥス、アニュス・デイに至る極上の流れ。連日聴いても飽きることはない素晴らしいメロディー。何度聴いてもその美しさにほれぼれするところです。前半の起伏重視の演奏からすっかり流麗なメロディーに移ってます。特にアニュス・デイの導入部の美しさは筆舌に尽くし難いもの。コーラスによる険しい表情のメロディー。無欲なリリングのコントロールがかえって美しさを引き立てます。そして終曲はオケとコーラス、ソロの総決算といった趣。素晴らしい盛り上がりを見せて終わります。
ヘルムート・リリングのテレジアミサ。やはりバッハのスペシャリストらしく、バッハの香りがするような誠実さに裏付けられた生気に富んだハイドンでした。古楽器演奏の特徴も取り入れリリングの先取性も垣間見えました。この演奏も[+++++]をつけます。連日素晴らしい演奏でミサ曲を聴く悦びに満ちております。祈りをテーマした曲ということでしたが、心に残るのはハイドンの音楽そのものというのが偽らざる心境。特番も6回を数えましたのでこれにて終了と致します。明日から通常更新に戻ります。
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