作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【お盆特番3】コリン・デイヴィス/バイエルン放送交響楽団のネルソンミサ

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今日もお盆特番。お盆の季節にハイドンのミサ曲などの教会音楽を取りあげようという企画。

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サー・コリン・デイヴィス(Sir Colin Davis)指揮のバイエルン放送交響楽団とバイエルン放送合唱団の演奏でハイドンの「不安な時代のミサ(ネルソンミサ)」。ソロはソプラノがバーバラ・ヘンドリクス(Barbara Hendricks)、コントラアルトがマルヤーナ・リポフシェク(Marjana Lipovšek)、テノールがフランシスコ・アライサ(Francisco Araiza)、バスがペーター・メーヴェン(Peter Meven)という組み合わせ。収録は1985年7月、ミュンヘンのヘラクレス・ザールでのセッション録音。

前々記事でマリナーのネルソンミサを取りあげたばかりなので今日は別の曲にしようと思ったんですが、このアルバムは最近聴いてその良さを再認識。いいアルバムということで取りあげました。

コリン・デイヴィスのハイドンの演奏にはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とのザロモンセットなどや、ロンドンフィルとの天地創造、四季の演奏が手元にありますが、デイヴィスのモーツァルトの交響曲やその他の素晴らしい演奏から期待される、ハイドンの古典的均衡、アポロン的晴朗さとはちょっと異なり、リズムが重めで、期待したほど磨き込まれていないというのが正直なところ。そんな中聴いたディヴィスのネルソンミサですが、ディヴィスのハイドンの演奏のなかではなかなか良い出来の演奏でした。

コリン・デイヴィスのハイドンは当ブログではこれまで2回、3つの記事でとりあています。

2011/06/16 : ハイドン–声楽曲 : コリン・デイヴィスの天地創造ライヴ-2
2011/06/14 : ハイドン–オラトリオ : コリン・デイヴィスの天地創造ライヴ-1
2010/07/17 : ハイドン–交響曲 : コリン・デイヴィスの時計ライブ

Hob.XXII:11 / Missa in angustiis "Nelson Mass" 「不安な時代のミサ(ネルソンミサ)」 [d] (1798)
ゆったり重厚なキリエの入り。ディヴィスのハイドンではちょっとリズムの重い演奏が多のですが、この演奏にもすこしその傾向があります。ただし、ミサ曲に必要な重厚さの範疇。冒頭からコーラスが素晴らしい迫力。一際目立つのがバーバラ・ヘンドリクスの突き抜けるような透明感のあるソプラノ。

2曲目のグローリアに入りオケとコーラスが鬼気迫るほどの迫力に。開始5分というのにフルスロットル。何やら神憑ってきました。恐ろしいまでの気迫が漲る強奏。コントラアルトのマルヤーナ・リポフシェクは芯の強い響きの声。
中間部のグローリア導入部の熱気をさますような癒しにみちたメロディー。ヴェルディのオペラの一場面のような流麗な歌とコーラスによるひと時。静寂を切り裂くようにヘンドリクスのソプラノからグローリアの終結部へ。テンポはデイヴィスらしく中庸で、ちょっとゆったり目。程よい溜めをともない、強奏部分と抑えた部分のフレーズをしっかり分けてメリハリをつけていきます。グローリアの迫力は出色の素晴らしさ。

つづくクレドはまずは複雑な音階をことさらくっきり描いていくようなカッチリしたフレージングが印象的。これは流石デイヴィス。つづく中間部はグローリアにも増して素晴らしい流麗さ。抑えたオケとコーラスが奏でる天上のメロディー。デリケートなコントロールが生み出す至福の一時。絶品。クレドのの結びは再び弦楽器による音階を基調とした曲で、終始迫力に満ちたコーラス、ホールの残響つつまれる金管、絡み合うソロによる陶酔。

サンクトゥスは静寂から抑えたコーラスと金管による序奏を経て、速いテンポの主題に突入、一気に描きさっと終わる豪快なもの。ベネディクトゥスは後半のクライマックス。グローリアの覇気に近い力感でオケとコーラスが爆発。そして最後のアニュス・デイは前半は癒しの音楽。ソロはやはりバーバラ・ヘンドリクスの突き抜けるようなソプラノが抜群の存在感。この声は圧倒的。そして最後のフーガのような大合唱。この曲の総決算。くっきりしたヴァイオリンの音階、金管の号砲、分厚いコーラス、そしてメリハリの効いたオーケストラコントロール。ティンパニの連打をともなってフィニッシュ。

コリン・デイヴィスのネルソンミサは久しぶりにデイヴィス快心のハイドンでした。グローリアの迫力はセッション録音の域を超えたもの。良い意味で荒々しさのある演奏。落ち着いたテンポでじっくりハイドン晩年の傑作ミサ曲を描き上げた渾身の演奏。評価は[+++++]とします。

ここにきて残暑が厳しいですね。お盆特番、まだ続きます。
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