作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【お盆特番1】マリナー/ドレスデン・シュターツカペレのネルソンミサ

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予告先行でしたが、今週からお盆の特番に突入です。

お盆と言えば日本では祖先の霊を祀るというのが一般的でもあり、終戦の日や広島、長崎への原爆投下などもあり平和を祈る季節でもあります。熱い夏、そして帰省ラッシュというのが風物詩でしょう。現実は仕事が忙しくドタバタしていますが、この季節くらい祈りをテーマにした曲を特集しようということで、この夏のお盆は最近あまり取りあげていないミサ曲など教会音楽のアルバムを特集したいと思います。暑いのにミサ曲なんぞ、、、という突っ込みも覚悟の上ですので、どうか広い心でよろしくお願いいたします。

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HMV ONLINEicon / amazon

今日のアルバムはネヴィル・マリナー(Neville Marriner)指揮のドレスデン・シュターツカペレの演奏でハイドンの「不安な時代のミサ(ネルソンミサ)」。ソロはソプラノがマーガレット・マーシャル(Margaret Marshall)、コントラアルトがキャロリン・ワトキンソン(Carolyn Watkinson)、テノールはキース・ルイス(Keith Lewis)、バスはロバート・ホル(Robert Holl)、合唱はライプツィヒ放送合唱団という組み合わせ。収録は1985年4月、ドレスデンのルカ教会でのセッション録音。

このアルバムは2枚組で他に、ハインリッヒミサ、小オルガンミサ、テレジアミサの3曲、計4曲のミサ曲が収められたアルバム。以前マリナーのミサ曲は、戦時のミサ(太鼓ミサ)」を取りあげています。

2010/12/06 : ハイドン–声楽曲 : マリナー/ドレスデン・シュターツカペレの戦時のミサ

マリナーのミサ曲は一番のお気に入り。上記記事の戦時のミサとは同じ演奏者で収録時期もほぼ同じゆえ、出来も同じく素晴らしいものです。

今日この曲を選んだのは、ハイドンの後期の6大ミサ曲の中では唯一レクイエムの調性であるニ短調の曲であることと、ちょうど先日この素晴らしい出来のマリナー盤を手にする機会があってラックの奥から手元に出してあったからという流れです。暑い夏の日の夜、ハイドンの傑作ミサ曲の絶品の演奏をお供に夏を楽しもうという企画です。

久しぶりに曲の紹介をいつものように大宮真琴さんの「新版ハイドン」から紹介しておきましょう。ネルソンミサは1798年の作曲。ハイドンがこのミサ曲を作曲中イギリスのネルソン提督がナイル川河口でナポレオン艦隊を撃破した知らせが届き、この曲のベネディクトゥスでソプラノの歌唱のあとトランペットのファンファーレが鳴り響くの部分がネルソン提督を想起させることからネルソンミサの名がついたとのこと。この年のエステルハージ侯爵家の楽団には管楽器奏者が一人もいなかったため、弦楽器とトランペット3本、ティンパニのみの編成で作曲され、通常管楽器で奏でられる和声部分はオルガンの演奏で代用された。そのご侯爵家の管楽器奏者は8名まで増員されたため、管楽パートを追加した第二版が製作されたとのことです。第2版は1803年に出版されたよう。初演は1798年9月23日アイゼンシュタットのベルク教会で。

Hob.XXII:11 / Missa in angustiis "Nelson Mass" 「不安な時代のミサ(ネルソンミサ)」 [d] (1798)
冒頭のキリエからドレスデン・シュターツカペレのド分厚い響きに圧倒される録音。鮮度感はほどほどながらこの分厚いオケの響きは素晴らしい。コーラスも大河のごとき雄大な響き。キリエのみ第2ソプラノとしてクリスティーネ・ショーンクネヒトが加わります。テンポはあまり動かさず雄大さを表現するようなマリナーのコントロール。スピードは遅くないのでマリナー独特の愉悦感も加わり素晴らしいキレ。

続いてグロリア。テノールとバスの二重唱も岩のように揺るぎない素晴らしい迫力。録音は振り切れんばかりの大音響を伝えますが、飽和感はなく音楽を聴くには十分なクォリティ。中間部のバス、ロバート・ホルのソロは芯のある安定した声でバスの美声が教会中に轟きわたります。すごい声量。終盤は再びオケとコーラスの入り組んだメロディーラインと迫力が聴き所。ソプラノが伴奏にまわって伸びのある素晴らしいサポート。

続くクレドはすこし落ち着いた展開に。スピードが落ちても変わらぬメリハリとキレ。これは相当意識していないとこれだけのくっきり感は演出できませんね。中間部は今度はソプラノ、マーガレット・マーシャルの艶たっぷりの絶妙な声がこちらも教会中に轟きます。じっくり話しかけてくるような曲調、癒しに満ちた表情。途中静寂に溶け込んでいきまた音が少しずつ漏れていくような流れ。途中でリズム感が徐々に上がってきて、最後はコーラスの渦に巻き込まれて終了。

続いてサンクトゥス。癒しにみちた曲を一気に描いていきます。良く聴くと中低音を担当する弦楽器の重厚さに対し、ヴァイオリンの旋律は軽々と音階をこなしていくのが特徴でしょう。これぞピラミッドバランス。

ベネディクトゥスは後半の盛り上がりの頂点。モーツァルトの小品などを振った時のマリナーとは異なり構えの大きな指揮ぶりで頂点に至る道程を緻密にコントロール。じっくりした入りから、徐々に起伏の激しいフレージングへ変化し荒ぶる頂点の激しい振る舞い。

最後のアニュス・デイは前曲の興奮をさますような癒しの音楽。最後までドレスデン・シュターツカペレの分厚い音色の素晴らしさに圧倒されっぱなし。終曲はフーガのような寄せては帰えすようなメロディーラインをキレの良いヴァイオリンの伴奏でコーラスが熱唱。

マリナーの指揮するドレスデン・シュターツカペレのネルソンミサは揺るぎない名演でした。評価はもちろん[+++++]としました。オケとコーラスとソロの織りなす名旋律を堪能です。ハイドンの天才を存分に味わいました。さて、明日は何を、、、。
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2 Comments

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ドラ吉くん

これも同感

名曲揃いのハイドンのミサのなかでもこれは名演ですね。私はオリジナルのETERNA盤で所有しているのですが微温的な印象のあるマリナーとは思えない(失礼)。SKDとライプチヒ放送合唱団の力もあるのでしょう。バーンステインのパウケン・メッセほど演奏者の体臭が出ておらず(それはそれで好きなのですが、、)曲の良さがストレートに伝わります。1985年とかなり前の録音ですが今でもこの曲のベストだと思っています。

  • 2020/05/07 (Thu) 23:08
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Daisy

Daisy

Re: これも同感

ドラ吉くんさん、たびたびのコメントありがとうございます!

>微温的な印象のあるマリナーとは思えない(失礼)
その通りですね。やはりSKDの燻銀の響きの効果絶大、マリナーらしからぬ分厚い響きに圧倒されます。

ドラ吉くんさんからコメントをいただいた、フランツ・リスト室内管、フェドセーエフ/ウィーン響そしてマリナー/SKD、いずれもオーケストラからただならぬ芳香が立ち昇り、ハイドンの伝統的な演奏の最高峰の演奏ばかり。こういったタイプの演奏が最近すくなくなりましたね。

先日クラシック音楽館で、最近亡くなったネルロ・サンティが「絹のはしご」序曲、「リエンツィ」序曲を振る映像をみましたが、ぶっといタクトと鋭い眼光でロッシーニの粋な展開と、ワーグナーの雄大な流れを見事に振り分ける匠の技。ハイドンは振っていないでしょうが、生で一度聴いてみたい人でした。

  • 2020/05/08 (Fri) 23:43
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