ハンス・ガンシュのトランペット協奏曲

今日はハンス・ガンシュのトランペット協奏曲。

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ハンス・ガンシュ(Hans Gansch)のトランペット、マルティン・ジークハルト(Martin Sieghart)指揮のスピリット・オブ・ヨーロッパの演奏で、アルビノーニ、ハイドン、フンメル、マルチェルロの4人の作曲家のトランペット協奏曲を集めたアルバム。収録は2007年9月10日~13日、オーストリアのウィーン西方50kmのサンクト・ペルテン(St. Pörten)のフェストシュピール・ハウスのハイドンホールでのセッション録音。レーベルはエクストンのサブレーベルCRYSTON。

ハンス・ガンシュは一度生で聴いています。アダム・フィッシャーの来日公演の際、トランペット協奏曲をやりましたが、その時のソロがガンシュでした。

2010/01/24 : ハイドン–交響曲 : アダム・フィッシャー全集その後

このときのコンサートの模様は、下記のブログで詳しく書かれていますので是非ご覧ください。

クラシックおっかけ日記:No.268 2009年12月3日、ハイドンフィル東京公演

私は、1階の中央ステージ前の結構いい席に座っていたので、トランペットのホーンからの音圧がダイレクトに脳髄に響きました。今更ながらトランペットの大迫力の音量にのまれた格好。ただ、上のブログを読むと、ガンシュさん、リハーサルで自身の楽器の調子が悪く、他の方のトランペットを使っていたんですね。

ライナーノーツによれば、ハンス・ガンシュは1953年生まれのオーストリアのトランペット奏者。リンツ・ブルックナー音楽院でトランペットを学び、リンツ・ブルックナー管弦楽団、ウィーン放送交響楽団を経て1982年から1996年までウィーンフィルの首席トランペット奏者を務めていました。1996年からはザルツブルク・モーツァルテウム音楽院の教授として教鞭を執る身。経歴を見るかぎりハイドンのトランペット協奏曲のソロを担当するのにこれ以上ふさわしい人はいないほどの正統派でしょう。

マルティン・ジークハルトは、私ははじめて聴く人。日本でもCDが数多く発売されているのでご存知の方も多いでしょう。ウィーン生まれの指揮者で、現在はアーネム・フィルハーモニー管弦楽団、このアルバムのオケである、スピリット・オブ・ヨーロッパの音楽監督を務めています。

そしてスピリット・オブ・ヨーロッパはこのアルバムの収録場所、サンクト・ペルテンのすぐそばのドナウ川沿いの街メルクに本拠地を置くオーケストラ。主にハンガリー、スロヴァキア、チェコ、オーストリアのメンバーで構成される小規模なオーケストラで、ジークハルトが首席指揮者となっています。

Hob.VIIe:1 / Concerto per il clarino [E flat] (1796)
最新の録音らしく、透明感溢れる美しいオケの響き。残響は比較的豊かで、序奏にからむトランペットがふわっと浮かび上がります。ガンシュのトランペットは安定感抜群の滑らかな音階。オケはいい意味でアンサンブルにばらつきがあり、オーケストラの生の良さが感じられます。オケはおおらかな響きが協奏曲の伴奏に合ってます。オケは伴奏に徹するような控えめな演奏ですが、鈍さは微塵もなくなかなかいいですね。ガンシュも力みゼロ。いつもの吹き慣れた曲をいつも通りこなしていく感じ。この安定感は見事です。良く聴くと強弱をかなり緻密にコントロールしているのがわかり確実な技術を感じさせます。カデンツァはガンシュオリジナルとのこと。ここは一発張りのあるトランペットの音色で聴衆に挨拶しておこう言わんばかりの素晴らしい音量と上昇感。明るいいいカデンツァです。
2楽章は逆に抑えたトランペットの音色の美しさを確信犯的に聴かせる巧みなテクニック。中程のメロディーの盛り上がる部分はトランペットの高音の伸びの美しさで聴かせます。
フィナーレはちょっと遅めのはじまりがクラシカルな感じ。トランペットの音量が上がり、完全にスポットライトを浴びているようにオケから浮かびあがって主役に。オケの落ち着きとはすこしズレてトランペットの方がリズムを先に刻む感じの部分もありますが、トランペットの妙技は続き、最後は圧倒的なパフォーマンス。オケは最後まで脇役を踏まえた大人な立ち位置。おおらかなオケの音色が妙に心に残りました。

つづくフンメルの協奏曲はハイドンの協奏曲とセットでアルバムに収められることが多く、私も好きな曲です。このアルバム、実は最高の聴きものはハイドンではなくフンメル。なぜかハイドンよりもトランペットもオケも調子が良いように聴こえて、序奏から素晴らしい感興。ハイドンの弟子であるフンメルの見事な曲想が部屋に充満。これは完全にフンメルに食われた形。皆さんも是非聴いてみてください。

このアルバムのハイドン、結果的に評価は[++++]としました。演奏、録音ともに文句なしなんですが、次のフンメルを聴かされると、ちょっと辛くしたい気持ちが出てきました(笑) フンメルも自己主張が強い演奏ではないんですが、古典の均整と明朗な音楽をきっちり演奏した、人の心を朗らかにするような自然な演奏。音楽のもつ力だと思います。なかなの演奏。

今日は残念ながらちょっと仕事に出かけてちょっと片付けてきます。
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : トランペット協奏曲 おすすめ盤

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No title

お久しぶりです。いつも楽しみに読ませていただいています。
ハンス・ガンシュ、いいですね。NYPならともかく、ウィーンフィルの首席がジャズも吹く時代なんですね。
金管アンサンブルによるモンクメドレーです。お嫌いでなければどうぞ。
http://www.nicozon.net/watch/sm3580285

Re: No title

yshida10さん、コメントありがとうございます。
ガンシュ、ジャズもやるんですね。トランペットという楽器でステージに多く立つにはジャズの方が機会が多そうですし、トランペットが吹ければジャズをやらない手はありませんね。ただ、クラシックとは異なるリズム感も必要でしょうから、それほどたやすいことではないでしょう。
ジャズの一流どころがクラシックの曲をやるのは昔からよくありますね。チック・コリア、キースジャレット、ウィントン・マルサリス、小曽根真などクラシックにスイングする感じや、クラシックの人とは違う面白い演奏が多いように感じます。
グルダやプレヴィンなどのように器用に両方こなす人もおりますが、これは才能なんでしょう。
ガンシュのジャズも悪くないですね。良い録音のアルバムなどが聴きたいところですね。

No title

プレヴィンはジャズとクラシックのどちらが本業か分からないような人ですが、グルダのジャズは頭だけで考えたようなところがあって、ちょっと苦手です。ジャズをやる暇があったらもっとモーツァルトやシューベルトを録音してくれれば良かったのにと思います。でも、この人のオリジナル曲(アリアやゴロウィンの森の物語)は素敵ですね。
ハイドンについてのコメントができずゴメンナサイ。

Re: No title

yshida10さん、コメントありがとうございます。
プレヴィンでは昔、ラヴィ・シャンカールとのシタール協奏曲という珍しいアルバムが記憶に残ってます。LPが手元にありますが、2楽章のヒマラヤの風景を描いたような、静寂の中に響き渡るお鈴の音の幽玄な世界が広がる様子が今でも鮮明に蘇ります。以前ブログで取りあげたデヴィット・フィンクとのジャズアルバムもなかなか本格的で、プレヴィンの才能の多彩さを伝えるアルバムだと思います。たしか奥さんはムターだったような。いろいろな才能があるんでしょうね(笑)
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Author:Daisy

ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

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