作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ロリン・マゼール/ウィーンフィルの85年オックスフォードライヴ

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真夏の夜のCD-R特集、、、のようになってきてしまってますが、前記事のガーディナーの指揮するウィーンフィルが良かったので、ウィーンフィルのライヴを探したところ、ありました。

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ロリン・マゼール(Lorin Maazel)指揮のウィーンフィルハーモニー管弦楽団の演奏で、ハイドンの交響曲92番「オックスフォード」とベートーヴェンの交響曲5番「運命」の2曲を収めたCD-R。演奏は1985年10月9日で、演奏場所の表記はありません。レーベルはFackmann für Klassischer Musikというアメリカのレーベル。Fkmというロゴをよく見るレーベルです。

ロリン・マゼールはカラヤンの後継者としてベルリンフィルの音楽監督の座をアバドと競ったり、ボスコフスキーのあとのウィーンフィルのニューイヤーコンサート指揮者にいきなり抜擢されたりと、いわゆるビッグネームですが、録音で聴くとなかなか癖のある演奏も多く、映像での露出とインパクトにくらべて音楽の印象を強く持っている人は少ないのではないかと想像してます。

ただ、わたしはきらいな指揮者ではなく、結構興味があり、昔からいろいろ聴いてます。マゼールと言えばやはりその緻密な指揮姿。すべての楽器のすべてのタイミングをコントロールするような指揮姿は見ていて興味は尽きません。ちょうど工事現場を見飽きないのと同様、一体どうなってんだろうというくらい、スペクタキュラーなもの。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートをマゼールが指揮する時は、その指揮姿に釘付けです。

マゼールの指揮する音楽で印象深いのはLPで擦り切れるほど聴いた、ベルリンフィルとのバルトークの管弦楽のための協奏曲。当時はほぼ同時にリリースされたショルティの演奏が一声を風靡していましたが、わたしはショルティのある意味鮮明かつショーマンシップに富んだ演奏よりも、マゼールの燻し銀のベルリンフィルの分厚い響きの方を愛聴したものです。あとはCDになってはじめて手に入れたホルストの惑星。我が家最初のCDプレイヤー、マランツの名機CD-34で再生したアナログとは次元の異なる度肝を抜くキレのいい低音の響きに、本当に度肝を抜かれたものです。そしてTELERCレーベルの名盤、春の祭典の後半の超低速グランカッサの11連発。そう、マゼールには度肝を抜かされるような演奏を期待してしまうんですが、実は意外にオーソドックスな演奏も多いんですね。それゆえ、いつも怖いものみたさで聴きたくなってしまう不思議な指揮者。

このアルバムの演奏はロリン・マゼールがニューイヤーコンサートにはじめて登場した1980年から5年後、ウィーンフィルのコントロールを手中に収めたマゼール絶頂期の演奏といえるでしょう。マゼールは牙を剥くでしょうか?

Hob.I:92 / Symphony No.92 "Oxford" 「オックスフォード」 [G] (1789)
意外に分厚い音色の導入部。かっちりというよりがっちりした入りで、筋骨隆々のハイドンの演奏。筋骨隆々といえば先日とりあげたハイティンクですが、マゼールの演奏はハイティンクよりもメリハリ重視で、悪く言えばドンシャリ、良く言えばダイナミックで覇気溢れる演奏。フレージングはオーソドックスですが、若干くどさを感じなくはないような節回し。そう、これがマゼール節なんでしょう。鋭い目つきと華麗なタクトさばきでウィーンフィルの隅々にまで神経を張りつめたマゼールの指揮姿が浮かんでくるような演奏。良く聴くとアクセントの部分のちょっとした溜めが、このイメージにつながっているものとわかります。1楽章はアポロン的均整のとれた見事に彫刻的な演奏。
2楽章に入るまでに十分間をとり火照ったエネルギーを冷まします。このアダージョはやはりウィーンフィルならではの木質系の弦楽器の柔らかな音色が聴き所。マゼールもことさらソフトにコントロール。中間部の盛り上がりはゆったりとした響きで迫力を演出。前記事のガーディナーがスピードとキレ、くっきりとしたフレージングが聴き所だったのとハッキリと異なる演奏。こちらはどちらかといえば重量級の演奏。
ふたたびゆったりと間をとって3楽章のメヌエットへ。録音に触れていませんでしたが、85年のライヴとしては申し分のないもの。鮮明さよりも音塊のエネルギー感に重点を置いた録音。低域が分厚いピラミッドバランスの演奏。図太い音色で聴かせる迫力のメヌエット。テンポは一貫して安定しており、フレージングもオーソドックスな範囲で極めて正統派色のつよいメヌエット。
最後はこの曲のクライマックス、冒頭の華麗なメロディーラインは流石マゼールのコントロール。軽さと跳躍感にあふれて入ります。この立体感とエネルギーは素晴らしい。とくにメロディーラインのコントロールでは、並の指揮者とはレベルが異なる安定感とキレ。ようやくマゼール牙を剥きます。完璧なオーケストラコントロール。とくにリズムのキレは流石。終楽章の複雑に絡み合うメロディーラインを完璧に再現。この交響曲がモーツァルトのジュピター同様、フィナーレの晴朗な立体感が聴き所だと教えてくれるような演奏でした。最後は大拍手。

ふと、久しぶりに取り出したマゼールのオックスフォードですが、期待通りのマゼールらしい演奏。ただ、恐いもの見たさというのもあって、もう一超え期待してしまうのも正直なところですので、評価は[++++]に留めておくことにします。マゼールクラスだと、他にもライヴ音源があるような気がしてますので、引き続きコレクション充実を図らなくてはなりませんね。
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