作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ガーディナー/ウィーンフィルの90番、97番ライヴ

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これはいつ手に入れたのか、記憶にありません。未登録盤を入れたボックスに長らくはいっていたもの。この夏は未聴のCD-Rをいくつか取りあげます。

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ジョン・エリオット・ガーディナー(John Eriot Gardiner)指揮のウィーンフィルハーモニー管弦楽団の演奏で、ハイドンの交響曲90番、97番の2曲を収めたアルバム。90番が1995年1月15日、97番が2002年2月1日のライヴ。ホールがどこかは記載がありませんが、ムジークフェラインでしょうか。レーベルはKAPELLMEISTERというアメリカのCD-Rレーベル。

ガーディナーには天地創造や四季、後期のミサ曲など、ハイドンの声楽曲の録音があります。しかし独特のちょっとせかせかしたフレージングの多い演奏がどうもしっくりこず、ハイドンに関してはあまりいい評価をしていません。当ブログでも天地創造を取りあげておりますので、リンクを張っておきましょう。

2010/06/01 : ハイドン–オラトリオ : ガーディナーの天地創造

そのガーディナーがウィーンフィルという現代最高のオケの一つを振ったハイドンの交響曲のライヴはどうでしょうか。

Hob.I:90 / Symphony No.90 [C] (1788)
力感はあるものの若干不鮮明な、いかにもCD-Rらしい録音。ただ音楽は抜群の生気。ウィーンフィルに染み付いたハイドンの音楽をガーディナーが呼び覚ましている感じ。不鮮明な録音からでも感じるウィーンフィルの素晴らしい木質系の弦楽器の音。きっちりとした速めのテンポでくっきり浮かび上がるハイドンの名旋律。古楽器を演奏したときの堅苦しさは微塵もなく、非常にのびのびとした音楽。木管の美しさ、弦楽器の美しさ、テンポ感の良さ、くっきり浮かび上がるメロディーの美しさと申し分なし。細かい節回しの絶妙な巧さは流石ウィーンフィルというところでしょう。これはすばらしい90番の予感。
2楽章のアンダンテも木質系の弦楽器の美しい音色にうっとり。ウィーンフィルの美しい音色で、この楽章に特徴的な大きな波が押し寄せるような大迫力の音響を表現。終盤の木管楽器の絡み合う部分の美しさは素晴らしいものがあります。
メヌエットもウィーンフィルの美音が印象的。これで録音がもう少し良ければと思わざるを得ません。ガーディナーははっきりいって古楽器を振ったときよりもかなりいいです。会場のノイズもそれなりに聴こえますが、変な処理をしていない分音楽に生気があり、結果的に会場の興奮をダイレクトに伝えられているということでしょう。
フィナーレは速めのテンポで抜群の生気。この楽章のエネルギーは凄まじい迫力。ハイドンの終楽章の最上の演奏といっても過言ではありません。くっきりとしたコントロールにウィーンフィルが万全の演奏で応えます。この楽章は終わりそうで終わらないラトルの演出が記憶に新しいところですが、演出ぬきでもこの演奏のキレは素晴らしい。ベルリンフィルのある意味鋼のような合奏力と、ウィーンフィルの木質系の音楽に満ちた合奏力の違いも大きいですね。これは素晴らしい演奏。会場は拍手喝采。

Hob.I:97 / Symphony No.97 [C] (1792)
こちらはだいぶ新しく2002年2月の演奏で、録音のクリアさは上がってるんですが、冒頭1楽章の出だしで何度か録音レベルが明らかに変わります。まあ、CD-Rということでご愛嬌ですが、ウィーンフィルの美しい響きがより鮮明に聴こえるようになり、細かいことは気になりません。ガーディナーは97番という曲の曲調もあって、1楽章は落ち着いた入り。ウィーンフィルの標準的な演奏という感じですが、それだけで十分に美しい演奏。やはりハイドンのことを熟知したウィーンフィルならではの演奏ということができるでしょう。ありがたくて拝みたくなるような演奏。弦楽器の響きは最高です。技術ではなく音楽がそこにあります。1楽章は威風堂々とした素晴らしい彫刻的な仕上がり。
つづくアダージョはちょっと速めで弦楽器のさざ波のような音楽が心地良い演奏。中盤以降のオケの爆発時にホール内に響き渡るオケの音が痛快。何となくムジークフェラインのような気がします。後半ヴァイオリンの音がはっきりと鮮明さを増します。何か奏法を変えているのでしょうか。ここでもハイドンの機知に唸るばかり。2楽章の録音は安定しています。
3楽章のメヌエットはちょっとリズムに変化を持たせて表現の幅を広げます。比較的じっくり構えた演奏。97番というおおらかな曲調を踏まえたものでしょう。途中のヴァイオリンのソロの美しさも流石ウィーンフィル。
予想通りフィナーレも飛ばさず、じっくりいきます。前曲の暴風のような素晴らしい盛り上がりもいいものですが、97番のフィナーレはじっくり行ってほしい方ですので、いい方に振れてます。前曲よりもウィーンフィルがリラックスして弾いていることがわかります。最後に消え入るような静寂をはさんで、響きの海に。こちらも万雷の拍手に包まれますが、拍手のフェードアウトがあっという間なのがご愛嬌。

90番は素晴らしいエネルギーに溢れた名演。97番はウィーンフィルがオーソドックスに演奏したハイドンですが、両者とも結果的にはライヴ好きの私には素晴らしい演奏。両曲ともに[+++++]としました。ガーディナーの汚名挽回ですね。ちなみに巷では評判の演奏が多いガーディナーですがいまひとつ古楽器の演奏で没入できるものに出会いません。今回の演奏は古楽器風の演奏でもなければノンヴィブラートの演奏でもありません。いわゆる普通に現代楽器を振った演奏として素晴らしいということ。ガーディナーの素顔はどこにあるのでしょうか。

今回のアルバムでちょっと興味をもち直しましたので、HMVの40%OFFセール便乗で、未入手の四季を注文しちゃいました。こちらは届いてよかったらレビューします。
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