作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ヨー・ヨー・マ/ブロムシュテットのチェロ協奏曲1番ライヴ

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たまっているCD-Rのなかから。CD-Rは普段はディスクユニオンの中古盤から発掘します。そういえば最近忙しくてディスクユニオンに立ち寄る暇ないですね(苦笑)

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ヨー・ヨー・マ(Yo Yo Ma)のチェロ、ヘルベルト・ブロムシュテット(Herbert Blomstedt)指揮のNDR交響楽団の演奏で、ハイドンのチェロ協奏曲1番とチャイコフスキーの交響曲5番を収めたCD-R。収録は1990年代としか記載もなく、演奏場所もタイミングの表記もありません。レーベルはTREASURE OF THE EARTH、地球の至宝という壮大というか大げさな名前のレーベル。普通はレーベルの所在地などくらいは記載があるんですが何もありません。

取りあげたのはヨー・ヨー・マはともかくブロムシュテットのハイドンを振った演奏が非常に珍しいので。ブロムシュテットはご存知のスウェーデンの指揮者、、、と紹介しようとして調べたところ、スウェーデン人ですがアメリカ生まれなんですね。知りませんでした。最近はN響にも客演していますし、DECCAには多くの録音を残しているので日本でもおなじみでしょう。私はブムシュテットにはかなりいい印象をもっていて、質実剛健ないい演奏が多いとのイメージがあります。ブロムシュテットのハイドンは如何なるものだろうというのが、このアルバムへの興味。もちろんヨー・ヨー・マも鳴きのチェロが見事に決まる予感がしています。

Hob.VIIb:1 / Cello Concerto No.1 [C] (1765-7)
1楽章は肩すかしを食らったような、あっさりした入り。オケは低音が分厚いちょっとピンぼけ気味の録音ながらチェロはクリアな感じとちょっと不思議な録音。ポイントとなるオケのコントロールは流石ブロムシュテット、やはり質実剛健、低音がボンつく録音を通しても引き締まった演奏。徐々にオケからヨー・ヨー・マのチェロの軽々とフレーズを弾きながら高音のむせび泣くような美しい音色に耳がいくようになります。チェロの音色はキリッとしたエッジの立った音色で、フレーズのキレはマならではの軽さ。ハ長調のこのコンチェルトの曲のもつ晴朗さから期待される晴れやかさよりは落ち着いたコントロールの方が目立つ演奏。1楽章のカデンツァは流石のマ。チェロの楽器の響きの可能性を尽くしたような素晴らしい弓さばき。1楽章は落ち着いた中にも興奮の予感を感じさせる演奏。
2楽章のアダージョはブロムシュテットとマの濃い音楽。オケの伴奏は中庸を保とうとしながらも、マの濃い音楽に触発されて、徐々に厚みのある深い呼吸の音楽に。実に深い音楽が待ってました。ライヴだけに素晴らしい感興。この楽章はマが支配。1本のチェロから紡ぎ出される音楽の濃密さにオケとホールが巻き込まれて、極限の緊張感が漂う素晴らしい時間。マのチェロの魅力炸裂ですね。流石ヨー・ヨー・マと言うべきでしょう。これだけ濃密なアダージョには滅多にお目にかかれません。
フィナーレは前楽章の興奮冷めやらぬ中、快速テンポで入ります。オケも何事もなかったように最高の集中力で速いパッセージを軽々とこなしていきます。ブロムシュテットはもはや脇役に徹して、マをサポート。テンポよくオケをコントロールしながらきっちり強弱を決めてエネルギーに満ちた音で応えます。最後はマもオケも素晴らしい気合いで迫真の演奏。割れんばかりの大拍手に迎えられます。

お休みの日ゆえ、次のチャイコフスキーの5番もじっくり聴いてしまいました。4番の爆発と6番の鎮静の間にはさまれた5番。チャイコフスキーはちょっと苦手ですが、あえて言えば1番「冬の日の幻想」のほの暗さと5番の抑制とダイナミクスのコントラストが興味あるところ。ブロムシュテットのコントロールは意外とカッチリ派手目な演奏。チャイコフスキーの派手な曲調をタイトに引き締めながらも、コンサート映えするようにダイナミックな演奏ぶり。こちらも素晴らしい盛り上がりでした。久しぶりにチャイコフスキーを満喫。ハイドンとはすべてが異なる価値観。ジャヤジャジャジャ~ン。不思議とこちらには拍手は入ってません。ライヴではなかったのでしょうか。

さて、ヨー・ヨー・マとブロムシュテットのハイドンのチェロ協奏曲。ライヴならではの素晴らしい盛り上がり。評価は[+++++]とします。ブロムシュテットを聴くために選んだアルバムでしたが、結果的にはマの素晴らしいチェロに釘付けの演奏でした。ブロムシュテットもマにあわせてオケを煽って応える名サポートでした。ライヴは聴いてみなくてはわかりませんね。
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2 Comments

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だまてら

No title

CD-Rにまでアンテナを広げるDaisyさんのバイタリティには頭の下がる思いです!ハイドンの1番の協奏曲といえば、昨年の大晦日の午前、年越し食材の買出しで運転中FMから凄くダイナミックな演奏が聞こえてきました。「おー、これはロストロばりの超絶技巧だー!いったい誰?」と思ったら終了後のナレーションは「ただ今の演奏は、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチのチェロ・・・」と超大型新人は幻に終わりました・・・。

  • 2011/07/10 (Sun) 00:40
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Daisy

Re: No title

だまてらさん、コメントありがとうございます。
いよいよ暑くなってきましたね。刷り込まれた演奏は何となくイメージが合って、似た演奏を聴くと、「もしかしてこれは」と思ってしまうことがありますね。最近FM放送などほとんど聴かなくなってしまって(メインシステムにはチューナーつないでないので、、、)演奏を聴いて、誰のか考えるという機会はほとんどなくなってしまいました。脳の老化防止にはこう言う機会は必要なんでしょうね。
もっぱら最近はアルバムを買って、おそらくこんな演奏だろうと想像して、イメージに合ってたり,そうでなかったりといったことが多いです。このブロムシュテットのアルバムは、正直事前の想像と大きく異なってました(笑) もうちょっと抑えた演奏を想像してましたが、ブロムシュテットもここまで踏み込むのかといい意味で期待を越えてました。まあ、そこが音楽を聴く楽しみでもある訳です。

  • 2011/07/10 (Sun) 09:37
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