作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

シギスヴァルト・クイケン/ラ・プティット・バンドのブランデンブルク協奏曲

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今日は、東京オペラシティ、タケミツメモリアルホールのコンサートへ。

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カメラータ:ラ・プティット・バンド バッハ・コレクション

クラッシックのアルバムを出しているレーベルとしても有名なカメラータが招聘元。今日のプログラムは次の通り。

J.S.Bach
ブランデンブルク協奏曲 第2番 ヘ長調 BWV1047
ブランデンブルク協奏曲 第6番 変ロ長調 BWV1051
三重協奏曲 イ短調 BWV1044
ブランデンブルク協奏曲 第5番 ニ長調 BWV1050
ブランデンブルク協奏曲 第3番 ト長調 BWV1048

バッハのブランデンブルク協奏曲を中心にしたプログラム。今日は土曜で3時開演。いつものように30分ほど前にホールについて、まずはサンドウィッチとビールで喉を潤します。

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サントリーホールだと好きなプレミアムモルツですが、オペラシティはエビス。良く冷えたグラスとともにビールの小瓶が供されます。嫁さんはいつも通りコーヒー。オペラシティのサンドウィッチはなかなかしっかりしていて、コンサート会場でいただくものとしては悪くありません。嫁さんと2人で一箱いただくとちょうど良いヴォリューム。

最近行くコンサートは空席が目立つものが多かったんですが、今日はほぼ満席。ステージ上ではハープシコードを丹念に調律しています。イスがなく譜面台がハープシコードのまわりに数台集中して置かれており、少人数の演奏であることがわかります。コンサート前のざわめきを楽しみながら、開演を待ちます。

陽の高いうちのコンサート。タケミツメモリアルホールの天井には空が見えるトップライトがあります。最初は空が見えていたんですが、開演を知らせるよう場内の照明が徐々に落とされた後見上げると、トップライトも塞がれてました。電動スクリーンのようなものがあるんでしょう。

拍手とともに奏者がステージに登壇し、じっくり調弦。いいですね、この間。

1曲目はブランデンブルク協奏曲2番。ハープシコードの他は6~7名だったでしょうか。ホールの大きさにしては音量がやはり小さめで最初は迫力不足かと思いましたが、演奏に聴き入るうちに雅な音色に耳を奪われます。圧巻はトランペット(F管だそうです)。古楽器のキーのないトランペットを片手でかなり上向きにかまえ、残りの手は腰に。そう、日本人が銭湯で牛乳を飲む時のあの決めポーズです。キーのないトランペットで朗々とメロディーを吹き進めていきます。もちろんキーのない楽器ゆえ時折音程が乱れますが、生だけに素晴らしい覇気。トランペットの登場はこの曲のみでしたが、バッハの名旋律を堪能できました。
オケの方はまだアイドリングのような感じ。シギスヴァルト・クイケンはなんとヴァイオリンではなくスッパラで登場。本来チェロで弾くところを1オクターブ高いスッパラという楽器で弾きます。ヴィオラよりちょっと大きめの楽器を首からバンドで下げて、弓で弾くというスタイルです。クイケンのアルバムはいろいろ聴いてますが、やはり構えなくすっと自然に演奏するスタイルが多いようです。1曲目は、まさに何事もなかったように、しかもステージで演奏するという構えもなく、毎日の練習のように入ります。まだまだ、暖まりきらないのかちょっとキレが悪く、音程も少しふらつく感じでした。

2曲目はブランデンブルク協奏曲6番。曲間に譜面台を動かし、この曲用の配置に。この曲では2台のチェロが入りヴァイオリンはなし。中低音楽器のみのアンサンブル。今日は双眼鏡を持っていったので、演奏をよく見ていると、弓の毛でしょうか、その張りがかなり柔らかそう。これも音色に影響していそうですね。ヴィオラ、チェロなど現代楽器だとかなり張りのある鋭さを感じる音色ですが、今日のラ・プティット・バンドはかなり柔らかい音。しかも調律も低そうですね。オケはまだまだ、本調子というより準備体操といった雰囲気でした。

そして休憩前の最後は三重協奏曲イ短調。この曲でちょっとしたアクシデント。1楽章の後半に入ったところで、この曲からヴァイオリンを持ったシギスヴァルト・クイケンの弦がビシッという音ともにきれてしまい、演奏は中断。クイケンのみステージを降り弦を張り替えているんでしょう。ステージ上ではメンバーがにこやかに談笑してクイケンを待ちます。数分の中断でしたでしょうか。この間のようすを観客もおおらかに楽しむよう。古楽器の演奏では弦が切れることも少なくないのでしょうか。日常の出来事のように淡々とした表情で待つメンバーの振る舞いに音楽文化の深さを感じましたね。

クイケンが再登場して、場内に何やら一言で、会場がわっと湧いて、3曲目を最初からやり直し。ここからオケにエンジンがかかったように緊張感が張りつめます。1楽章は短調の曲ゆえストイックなバッハ独特のメロディーが続き、2楽章はクイケンを含むソロの部分が長く聴き応えがあります。終楽章は再び弦楽アンサンブルとフルート・トラヴェルソの共演。この曲はバッハの音楽の峻厳さが際立ついい演奏でした。結果的には弦が切れたことで、オケの目が覚めた感じでしょう。

さきほどビールを楽しんだので、休憩時間はのんびり過ごします。お客さんの入りがいいのでホワイエはかなりにぎやかでした。

後半は、ブランデンブルク協奏曲の5番から。この曲は私はグールドのライヴを偏愛しています。1楽章の途中で狂気を帯びたようなグールドのピアノが切れまくり、あまりの覚醒ぶりにシナプスからアドレナリンが噴出するような演奏。バッハの音楽をヘヴィー・メタルな皆さんもリスペクトする理由がわかるよう。この曲の音符には狂気が宿っているんですね。

5番は抜群の出来でした。休憩開けから聴き慣れたメロディが柔らかな音色のオケによって、クッキリと浮かび上がり、またハープシコードを担当したベンジャミン・アラード(Benjamin Alard)が素晴らしいキレ。古楽器の演奏ゆえグールドの狂気とは異なりますが、ソロの部分のエクスタシー感は素晴らしいものがありました。

最後はブランデンブルク協奏曲3番。今日の1曲目と同様、この日の最大編成で登場。ハープシコードの反響版(ふた)をはずし、ハープシコードの後ろに譜面台が並び替えられましたので、ハープシコードをかこんで真ん中にスッパラ3台と両側にヴァイオリン、ヴィオラ、フルート・トラヴェルソがならび、迫力の布陣。最初にトランペットを含む2番、最後に壮麗な3番をもってくるあたり、コンサートでの演奏映えをよく考えた曲順でした。演奏は今日一番の出来。全楽器が活き活きとメロディーを刻みバッハの緻密な音楽と多くの音符で編み込まれた精緻なフレーズをエネルギー感豊かに演奏。最後はブラヴォー連発。アンコールは3番の終楽章をもう一度演奏して終わりました。

終了後はサイン会があったようで、ホワイエには既にサインを待つ人の長い列ができていました。

以前にもクイケンのハイドンはこのブログでも取りあげましたが、さりげない演奏の中に深い音楽がある人だなとの印象。最近ではバッハのマタイやロ短調ミサの新譜が出ておりそちらも、ライムンドさんのブログなどで取りあげられて気になってました。やはりアルバムとは異なりコンサートでは鮮明な印象が残るもので、今日は良いコンサートでした。

今でもしぶとく聴いています:OVPPによるバッハのロ短調ミサ S.クイケン

※ライムンドさんのブログへのトラックバック誤ってましたので張り直しました(7/3)

最近でも来日予定がキャンセルされる演奏家も多いと聞いていますので、この時期の来日はなかなか大変でしたでしょう。今日はバッハの真髄に触れられ、いい思い出になりました。



コンサートが終わって、5時ごろということで、今日はオペラシティの地下の居酒屋で反省会。

食べログ:釜めし やきとり 藩 東京オペラシティ店

なにはともあれ、まずは生です。

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コンサート前はエビスでしたが、今度はモルツ。良く冷えてて美味しい。やはり日本の夏のビールはキンキンに冷えていないと。

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ビールを一気に飲み干して、すぐに日本酒です。つまみは穴子の柳川とホタルイカの沖漬け。バッハの反省会にはザウアークラウトとかの方が良いのでしょうが、もう後戻りできません(笑)
穴子の柳川がなかなかの味付けで、非常に旨い。ホタルイカの沖漬けも大根おろしとシソの葉が添えられていいですね。
あとテーブルが釿(ちょうな)仕上げの粋なもの。なかなかいい趣です。

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今日頼んだのは、仙台に住んでいたときに散々飲んだ、宮城石巻の銘酒「日高見」。震災の影響からか、品揃えの良いうちの近所の酒屋さんからも姿を消してしまい心配していたんですが、「希望の光」という震災を経たもろみを使ったお酒でした。久しぶりの日高見。慣れ親しんだ味に安堵しました。どちらかというと吟醸系のお酒。日高見の吟醸はフルーティさが際立って美味しいんですね。

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鮎の塩焼き。遠めの火で焼いたようで火の通りが絶妙。がぶりといきました。こちらも香りがあって美味。

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大根をつかった餃子。このあたりで日本酒おかわり。今度は「臥龍梅」と言うお酒。仙台では臥龍梅といえば、松島瑞巌寺なんですが、これは静岡のお酒。さきほどの日高見もフルーティでしたが、さらにキリッとしていてフルーティ。今日はあたりですね。どちらのお酒も非常に美味しかったです。

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〆は冷やし鶏蕎麦。これがまた旨い。鶏の出汁がよく利いてこくがあります。さっぱりといただけました。

藩はチェーン店ですが、味はなかなか良かったです。以後オペラシティでのコンサート後の反省会の場所として定番化しそうですね。
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