作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ショルティ/ウィーンフィルの「ロンドン」1996年ライヴ!

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今日はちょっと前にディスクユニオンで手に入れたCD-R。

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サー・ゲオルク・ショルティ(Sir George Solti)指揮のウィーンフィルの演奏でハイドンの交響曲104番「ロンドン」、ベートーヴェンの交響曲2番の2曲を収めたアルバム。収録は1996年8月23日とだけ記載されています。ん、、、8月ということは、、、もしかしてザルツブルク音楽祭では? と思っていつものようにザルツブルク音楽祭のサイトのアーカイヴを調べてみると、ありました。

ザルツブルク音楽祭:1996年8月23日、24日のプログラム(英文)

ザルツブルク音楽祭の1996年8月23日、24日にモーツァルテウムにて行われたコンサートのようです。当日は収録された2曲の他にバルトークの弦楽のためのディヴェルティメントSz.113がプログラムに載っています。

CD-Rですので、当時の放送録音が元でしょうか。レーベルは何枚か持っているアメリカのGNPというレーベル。

ショルティのアルバムはこれまで2回、3つの記事で取りあげています。

2011/03/27 : ハイドン–交響曲 : 爆演、ショルティの指揮者デビュー録音、ロンドンフィルとの太鼓連打他
2010/12/03 : ハイドン–交響曲 : ショルティ/ロンドンフィルによる102番、103番「太鼓連打」2
2010/12/02 : ハイドン–交響曲 : ショルティ/ロンドンフィルによる102番、103番「太鼓連打」

私はショルティの魔笛やワーグナーなど一部の演奏は評価していたものの、これまであまり積極的に評価してきていませんでした。転機となったのが上の指揮者デビュー録音となるロンドンフィルとの太鼓連打、102番、軍隊の演奏の素晴らしいエネルギーを聴いて、ショルティの真髄を知った次第。

今日取り上げるアルバムは1996年のザルツブルク音楽際のライヴですが、ショルティが亡くなったのが翌1997年の9月5日ということで、最晩年の録音の一つでしょう。指揮者デビューの鮮烈な演奏と、最晩年、しかもウィーフィルとのロンドンという交響曲の最高傑作の演奏は、50年近くという時を経た二つの演奏はどのような違いと成熟を聴かせるのか、興味は尽きません。

交響曲104番「ロンドン」(Hob.I:104)1795年作曲
ウィーンフィル特有の柔らかな音色の弦楽器による序奏。柔らかではあっても非常に良くそろってテンションの高い響き。録音はライヴ盤としては上出来。若干デッド気味ながら厚みもあり聴きやすい録音。序奏以降は予想通りショルティらしい速めのテンポに変わりぐいぐい行きます。ただ晩年の演奏らしく力みはなく、まだ豪腕は表に出しません。全体から発せられるオーラのようなものは流石ショルティ。オケ全体にエネルギーが満ちあふれ、オケもそのエネルギーをホール中に発散しています。
2楽章のアンダンテはかなりさっぱりとした表情を意図しているんでしょう。速めのテンポで奏でられる柔らかな弦と木管の美しい響きは流石ウィーンフィル。途中からの盛り上がりは巨大なものを表現するような大きなうねり。終始速めのテンポが曲の真髄を捉えきります。
3楽章のメヌエットはこの曲で最もさりげない楽章ですが、ショルティの手にかかると聴き応え十分。起伏とキレとバランスと円熟の高度な融合。ライヴの荒削りな感じもいいですね。
フィナーレはようやくショルティ豪腕が牙を剥きます。ホール中に轟音が響き渡りますが、ハンガリー出身のショルティらしくハイドンにふさわしい品格も感じさせます。老年のショルティのにらみが効いてオケは素晴らしい緊張感。特に弦楽器のキレは最高。ウィーンフィルの弦楽セクションが松ヤニ飛び散らせながら弓をフルに使ってエネルギー大爆発。最後は万来の拍手に包まれます。当日のモーツァルテウムの興奮はいかほどだったでしょうか。会場にいたらさぞかし素晴らしい演奏に痺れたことでしょう。

つづくベートーヴェンの2番にも聴き入ってしまいました。83歳という年齢が信じられない素晴らしい統率とエネルギー。ショルティの魂が音楽に乗り移ったような素晴らしい覇気。1楽章の推進力の凄まじいこと。あまりのオーラに打ちのめされそう。音楽の神様、今日はこっちにも降りてきてます! ショルティはスタジオ盤より明らかにライヴがいいですね。このライヴは凄いですね。

貴重なショルティ最晩年のロンドンのライヴ、もちろん評価は[+++++]です。老いてもショルティのエネルギーはデビュー盤のころから衰えることなく、保たれていました。ロンドンフィルとのザロモンセットがショルティのハイドンの交響曲の定番ですが、デビュー録音とこの晩年のライヴはスタジオ盤を遥かに上回るエネルギーを放出する類いまれな演奏。ショルティという音楽家を語る上ではずすことのできない素晴らしい演奏だと思います。
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