作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ロンドン・フォルテピアノ・トリオのピアノ三重奏曲集

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最近のお気に入りはピアノ三重奏曲。今日はCDラックの中から最近あまり取り出していないアルバムを取りあげました。

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ロンドン・フォルテピアノ・トリオ(London Fortepiano Trio)の演奏でハイドンのピアノ三重奏曲の有名どころ3曲(Hob.XV:24、XV:25、XV:26)を収めたアルバム。収録は1988年1月30日、31日のセッション録音。ロケーションは記載されていません。レーベルはロンドンのhyperion。

このアルバムを取りあげたのは、最近いろいろと素晴らしい演奏を聴くピアノ三重奏曲ですが、以前わりといい感触をもっていたこのアルバムが、最近の肥えた耳で聴いてみたくなったから。フォルテピアノのリンダ・ニコルソンも以前聴いた録音がなかなか良かったので、この古いアルバムを再び手に取ったという流れです。

ロンドン・フォルテピアノ・トリオについて、このアルバムにも解説はなくネット上にもあまり情報がありません。そこでリンダ・ニコルソンのことを調べてみるとありました。

Linda Nicholson, Harpsichord, Clavichord, Fortepiano(英独文)

このアルバムの演奏当時のロンドン・フォルテピアノ・トリオのメンバーは次の通り。
モニカ・ハゲット(Monica Huggett、ヴァイオリン)
ティモシー・メイソン(Timothy Mason、チェロ)
リンダ・ニコルソン(Linda Nicholson、フォルテピアノ)

これに対し、現在もロンドン・フォルテピアノ・トリオという名前で継続していますが、ニコルソン以外は入れ替わっています。
ヒロ・クロサキ(Hiro Kurosaki、ヴァイオリン)
マーティン・フリッツ(Martin Fritz、チェロ)

ニコルソンとヒロ・クロサキの弾いたモーツァルトのヴァイオリンソナタのアルバムが以前聴いて印象に残ったアルバム。

このアルバムは1988年と今から23年も前の録音ゆえ、ライナーノーツの写真のニコルソンも若々しいですね。若きニコルソンの弾くハイドンの三重奏の出来は、いまどう聴こえるでしょうか。

ピアノ三重奏曲Op.38 [D] Hob.XV:24(1795年作曲)
鮮烈な開始が印象的な曲。古楽器の鋭利な音色が耳に刺さります。今聴くと意外と溜めもありテンポも緩急を結構つけて曲のメリハリを良く表現しています。少し音量を上げて聴くと自宅にトリオが出現するようなリアルな音像。やはりニコルソンが主導権を握ってアンサンブルを引っ張ります。休符の使い方が効果的でフレーズごとのメリハリが見事。ハゲットのヴァイオリンは直裁な音色が魅力。チェロのメイソンは少し控えめながら力強い演奏でアンサンブルを締めています。やはりピアノトリオはいいですね。アンサンブルの妙味を味わえます。
2楽章は古楽器の尖った音色がちょっと険しすぎるのかもしれません。特にヴァイオリンのアクセントは刺さるような鋭利さで迫ります。ニコルソンの豊かな情感を感じさせるフレージングと比べるとヴァイオリンに若干単調さを感じなくはありません。
フィナーレは前楽章のすこし単調な印象を引き継いでしまっているため、乗り切れないで音を重ねて行ってしまっているのが残念なところ。念入り、濃いめの表情なんですが、音楽に踊る感じがあまりせず、曲から音楽を紡ぎ出せていない感じを残してしまいます。

ピアノ三重奏曲Op.39 [G] Hob.XV:25(1795年作曲)
終楽章が有名なジプシー・ロンドの曲。1楽章は最近聴き慣れた演奏の中では念入りな遅めの演奏の一つ。ヴァイオリンの響きは前曲よりも変化をつけて豊かさを増しています。ヴァイオリンの出来は明らかに前曲よりも良い感じ。
2楽章はポコ・アダージョ。穏やかな曲調ですが、古楽器のダイレクト感のある音色で弾き進め、若干刺激をのこしている印象。前に出てくるフレージングでぐいぐい攻める感じもします。
3楽章のジプシー・ロンド。ヴァイオリンが今までと替わり引きずるような独特な弓使い。徐々にスピードが上がりアンサンブルの興奮も高まります。

ピアノ三重奏曲Op.40 [F Sharp] Hob.XV:26(1795年作曲)
最後の曲は1楽章からヴァイオリンのフレージングに変化が見られます。オーソドックスな範囲な演奏から、ヴァイオリンが少し変化で自己主張をしているようですね。基本的に前曲と同様ですが、曲が成熟して聴こえる分少し落ち着いた演奏でもあります。メリハリの幅が広がり、アクセントも決まります。
2楽章はどこかで聴いたフレーズ。そう、交響曲102番のあの穏やかなメロディー。オーケストラの柔らかいフレーズではなくクッキリしたピアノトリオで聴くメロディーもいいものですね。
最後の楽章は決まったリズムを基調とした曲ですが、やはりちょっと単調さを垣間見せてしまいます。

遠い昔の記憶では古楽器のいい演奏との印象でしたが、最近素晴らしい演奏を聴き続けている耳からすると、演奏の単調さが気になる部分があります。とくにヴァイオリンがちょっと弱いのが全体の印象を左右している感じがします。ニコルソンのフォルテピアノは流石にニュアンスも豊かですが、アンサンブルゆえ全体の印象はいろいろな要素が影響してしまいます。評価は全曲[+++]としました。最近いろいろな演奏に出会い、昔の記憶も当てにならなくなってきましたね。音楽とは奥が深いものですね。これはニコルソンの新しいアルバムも聴いてみなくてはなりませんね。
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