作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

バボラークのホルン協奏曲2番(VIId:4)

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今日は珍しい曲のアルバム。かなり以前に手に入れたものですが、ハイドンの曲が含まれていると気づかなかったものをCDラックから発見!

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どうやら、このアルバムも廃盤のようです。

ラデク・バボラーク(Radek Baborák)のホルン、ペトル・ヴロンスキ(Pet)指揮チェコ室内フィルハーモニックの演奏でハイドンのホルン協奏曲、ただし有名な方ではなく2番と呼ばれるHob.VIId:4と、J.V.スティッチのホルン協奏曲第5番、ミヒャエル・ハイドンのロマンス、ロセッティのホルン協奏曲、モーツァルトのホルンと管弦楽のためのロンドKV371の5曲を収めたアルバム。収録は2001年3月、プラハのARCO DIVAスタジオでのセッション録音。レーベルはチェコのGZ Digital Mediaというレーベル。

バボラークは今やベルリンフィルの首席ホルン奏者として、世界で最も有名なホルン奏者、現代のデニス・ブレインのような存在でしょう。1976年チェコのプラハの東方約100キロのパルドゥビツェという街の生まれということで、現在でも35歳とまだまだ若い人。この演奏は2001年ですので25歳の録音です。若い時から数々のコンクールで賞をとり、既に18歳でチェコフィルの首席ホルン奏者に。その後ミュンヘンフィル、バンベルク交響楽団で経験を重ね、2003年にはベルリンフィルの首席ホルン奏者に。日本ではEXTONがいろいろアルバムを出しているのでおなじみの方も多いでしょう。このアルバムもベルリンフィルの首席奏者に抜擢される前の録音。残念ながらHMV ONLINEにもamazonにも見当たりませんし、バボラーク本人のサイトのディスコグラフィーにも掲載されていません。

www.baborak.com(英語あり)

このアルバムに含まれるハイドンのホルン協奏曲(Hob.VIId:4)はハイドンの真作性未確定とのことで、ミヒャエル・ハイドンの作との説もあります。聴くとわかりますが、Hob.VIId:3の方とは明らかに出来が異なり、ハイドンのその他の協奏曲の充実した響きとは明らかに差があります。そのへんはともかくとして、このアルバム、バボラークの腕前が噂に違わぬものかが聴き所でしょう。

ホルン協奏曲(Hob.VIId:4-真作性未確定)1782年以前作曲
穏やかな表情のオケの入り。ちょっと単調な感じもしなくもない冒頭のメロディーを、ヴロンスキが非常に律儀に描いていきます。現代楽器の小編成オケの演奏ですが、落ち着き払った展開。バボラークのホルンはその律儀なオケに乗って素晴らしく正確なリズムと音程で教科書を吹くような模範的演奏。ホルンのソロよりオケの方が出遅れるように聴こえるのが微笑ましい演奏。なんてことはないフレーズなんですがホルンのリズムと音程のキレは流石天才の名を欲しいままにしているバボラークならでは盤石の演奏。1楽章のカデンツァはこれ以上正確に吹くことはもはや誰もできないような演奏。
2楽章のアダージョは影のあるうら悲しい旋律。ヴァイオリン主体のオケによる切々とした響きにホルンが1楽章とは異なる影のあるフレージングでメロディーを重ねていきます。おおらかな音色と憂いのある旋律のコントラストはこの楽章の聴き所ですね。
フィナーレはアレグロ。オケの推進力は節度を保った控えめなものですが、ホルンが気持ちよくメロディーを吹き抜いていき、もはや独壇場。ホルン1本で存在感では完全にオケを上回っています。何気ない律儀な演奏なんですが、今まで聴いたホルンの演奏を思い起こすとこのリズムのキレと音程の安定感はやはり神がかっているというレベルですね。地味な曲ながらホルンの名演奏を味わえるアルバムですね。

オケは平凡なものですが、バボラークの痛快なホルンの演奏を楽しめるということで、評価は[++++]としておきます。バボラークにはまだ他にハイドンの室内楽などの録音があるようですので、未入手盤リストに書き込んでいつか入手したいと思います。バボラークのテクニックとキレたオケの組み合わせでホルン協奏曲やホルン信号などの名曲を聴く機会を楽しみにしておきましょう。

追記:バボラークは既にベルリンフィルを退団しているとのこと。ご指摘ありがとうございました。(2011年6月22日)
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