作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ペーター・アレキサンダー・シュタットミュラーの音楽時計曲集(ハイドン)

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今日は超レア盤を紹介。

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HMV ONLINEicon / amazon

ペーター・アレキサンダー・シュタットミュラー(Peter Alexander Stadtmüller)のオルガンによる音楽時計のための音楽を集めたアルバム。ハイドンの音楽時計のための音楽が29曲の他に、C.P.E バッハの曲が5曲、モーツァルトの曲が1曲、そしてベートーヴェンの曲が3曲収められています。収録年は記載されていませんが、Pマークが1978年と1990年となっていますので、それぞれの年以前に収録されたものと想像されます。

ハイドンの音楽時計の曲については以前に一度取りあげていますので、その記事へのリンクを張っておきましょう。

2011/02/11 : ハイドン–協奏曲 : マルタン・ジュステルのオルガン曲集-2

ついでに、その記事の音楽時計の解説部分もまるごと転載しちゃいましょう。

いつものように大宮真琴さんの「新版ハイドン」を紐解くと音楽時計のための曲の解説がありました。音楽時計(Flötenuhr)は、鋲つきの円筒、鞴(ふいご)、調律済みのパイプ列、捻子(ねじ)または錘り(おもり)で動作するオルガンのようなもので、オルゴールのオルガン版のようなものでしょうか。この装置にハイドンの音楽を刻んだものがいくつか残っており、そこに刻まれた音楽が音楽時計のための曲という訳です。ということでその再現はオルガンを演奏するということになります。

ハイドンの音楽を音楽時計に刻んだのは1780年にエステルハージ家の図書館長及び礼拝堂の司祭となったヨーゼフ・プリミティヴス・ニーメチェという人物で、ハイドンに作曲を学び、様々な楽器を演奏できた模様。彼が制作した音楽時計は3台が知られており、1789年製、1792年製、1793年製。その中に32曲の音楽が残されていたが、後に研究者のフェーダーによって26曲がハイドンの作とされた。後にもう1台1796年製の音楽時計もあること判明し、現在の音楽時計のための音楽が確定したようですね。


今日取り上げるアルバムに収録された曲とその印象は以下のとおり。最初の1772年の作とされるものは何かはわからす、大宮真琴さんの解説と整合性がとれません。大宮真琴さんの本の最後の作品リストでは1789年製のものの年代に?がついていますので、この音楽時計が1772年製との説があったと想像できるのでしょうか。ま、研究者ではありませんので大目に見てください。

この曲を演奏したペーター・アレキサンダー・シュタットミュラーは1930年、ドイツのシュトゥットガルト近郊の街、ハイデンハイム・アン・デア・ブレンツに生まれたオルガン奏者。シュトゥットガルトで教会音楽を学び、学校を卒業後はマリー・クレール・アランなどに師事。1953年からはローテンブルクで、1960年からはシュトゥットガルトで合唱指揮者や教会のオルガニストとして働き、その後ヨーロッパでは多くの放送用録音やオルガンコンサートによって知られるようになり、コンサートオルガニストとしてドイツ以外でも有名な存在となったとのこと。

1772年の音楽時計のための曲16曲(Hob.XIX:15、14、1、2、3、13、4、12、11、7、8、5、9、6、10、16)
以前も触れた通り音楽時計のための音楽は、サーカスで聴かれる手回しオルガンの曲のようなコミカルなメロディ。このアルバムの録音は中音域の良く通るオルガンの音が鮮明に捉えられており、録音は優秀。背後にオルガンの機械部分が動作する音が聴こえたりして、なかなか楽しめます。曲ごとにオルガンの音色が変わり、変化を楽しめます。シュタットミュラーは規則正しく機会仕掛けのように演奏していることがわかります。最後の曲がフーガとなり、締まった感じがするのが流石ハイドン。

1792年の音楽時計のための曲8曲(Hob.XIX:17、18、19、20、21、22、23、24)
最初の曲から、不思議なことに前曲よりも音楽時計により合った曲想のように感じます。演奏もより響きの純度が上がり、美しさも一段アップ。リズム感と推進力もアップして、シンプルな曲ながらオルガンの迫力ある演奏が非常に印象的。音楽時計の曲の演奏としては完璧でしょう。

この曲の後のモーツァルトのKV616は流石の一言。オルガンの美しい音色で奏でられたメロディーラインはモーツァルトならでは。

1793年の音楽時計のための曲5曲(Hob.XIX:25、26、27、28、29)
明るいマーチから始まり、素朴なアンダンテ、アレグレット、アレグロ、メヌエットと続きます。最後のメヌエットは交響曲103番「太鼓連打」の3楽章をもとにした曲で、良く知ったメロディー。

音楽時計のための曲は音域もせまく曲調もシンプル故演奏はそれほど難しいものではないのでしょうが、それらしく演奏するのはそれなりに技術もいるのでしょう。評価は[++++]としておきましょう。このアルバム、非常にマニアックなアルバム故万人向けではありませんが、ハイドンが好きと言う方にはバリトントリオやリラ・オルガニザータ協奏曲などとならんで、手に入れておくべきアルバムだと思います。音楽時計のための曲がこれだけ集められたアルバムは他になく、演奏も理想的ですので。
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