作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

オイゲン・ヨッフム/ドレスデン・シュターツカペレの93番

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だいぶご無沙汰してしまいました。本当は先週が忙しく、今週はもうすこし余裕があるかと思ったんですが、いろいろあって、結果的に地獄ような忙しさ。早朝から深夜まで、おまけに本日も早朝からさきほどまで仕事でした。ブログを更新できないほど忙しいのはやはりストレスですね。ドタバタな一週間でしたが、今日のレビューはちょっと気になってたヨッフムのマイナーな録音。

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オイゲン・ヨッフム(Eugen Jochum)指揮のドレスデン・シュターツカペレ(Staatskapelle Dresden)の演奏でハイドンの交響曲93番、94番「驚愕」、95番、98番の4曲の演奏を収めたアルバム。収録は1967年11月、ドレスデンのルカ教会でのセッション録音。レーベルはBERLIN Classics。今日もそこそこ忙しく時間もないので、この中から93番のみを取りあげましょう。

ヨッフムにはこの録音の少し後の1971年から73年にかけてロンドンフィルとのザロモンセットの録音がDeutsche Grammophoneにもあり、そちらの方が広く知られたアルバムですね。一方こちらのアルバムは現在は廃盤になっているようで、その存在もあまり広く知られていないのではないでしょうか。当ブログではヨッフムのロンドンフィル盤もまだ取りあげていませんが、まずはマイナーな方から取りあげるべきとのことで、今日のアルバムを選定しました。

ヨッフムについて過去に3回取りあげてきていますので、いつものようにリンクを張っておきましょう。

2010/12/29 : ハイドン?交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ロンドン・フィルの軍隊、時計ライヴ
2010/09/02 : ハイドン?協奏曲 : フルニエ/ヨッフムのチェロ協奏曲
2010/08/05 : ハイドン以外のレビュー : ヨッフム/バンベルク響のモーツァルト後期交響曲

ヨッフムは皆さんおなじみの指揮者かと思いますが、ブルックナーやモーツァルト、ブラームス、果てはオルフのカルミナ・ブラーナなどなど得意分野も多く非常に味わい深い演奏をする人。私自身は以前のブログに書いたように、モーツァルトの交響曲の演奏が一際印象に残っています。 1902年生まれで、亡くなったのが1987年3月26日とのこと。それほど昔のことではないように記憶していますが、すでに20年以上も前だったんですね。特に最晩年のブルックナーのライヴアルバムはかなりの数がリリースされ愛聴盤にされている方も多いのではないでしょうか。

交響曲93番(Hob.I:93)1791年作曲
93番独特の楔を打つような序奏。録音が若干平板な印象を与えているような雰囲気ですが、その録音を通して聴こえる響きは非常に鮮明な音響。ドレスデン・シュターツカペレと言えばケンペとのリヒャルト・シュトラウスの分厚い弩迫力の音色を思い起こさせますが、ヨッフムが振るとキレのいい鮮明な響きに変貌。ヨッフムのコントロールの特色を感じさせる1楽章はいきなりフルスロットルで音響ではなく音楽として大迫力の演奏。インテンポで畳み掛け、ヴァイオリンキレキレ。テンポはヨッフムらしく速めで練りはあまりなく変化も少なめですが、大きな流れをしっかり保ちながらディティールも抵抗なくさらっと流れ、不思議と有機的なフレージング。一貫して速めのテンポできりっと引き締まった1楽章。素晴らしい緊張感で1楽章の音楽的構造を表現。
2楽章のラルゴは、こちらもヨッフム独特ののさらりとした表情ながら深い情感を表出。オケの分厚さを感じるような録音ではなく、むしろ繊細な表情を楽しむような雰囲気。音楽に身を任せているうちに大きな感動の波に自然に呑まれていくような不思議な感覚に陥る演奏。これもヨッフムのコントロールならでは。
3楽章も自然な推進力に溢れたメヌエット。さらっとした調子で流麗に弾き進めるメヌエット。適度なメリハリはあるんですが、すべての旋律が流れにそって非常に自然に弾かれ、アクセントまでが流れに支配されている感じ。全曲を通して一貫した速いテンポの流麗さを感じます。
フィナーレは微風のような優しい力加減で入りますが、徐々にコミカルな主題に移るにつれ力を帯びてきます。力んでいる感じではなく、流れにそった力感。だんだん響きのカオスのように旋律が入り組み始め、複雑に絡み合い、そして綺麗にほどけていく様をスローモーションで見るようなクリアな視界。最後は力が抜けながらも見事なフィニッシュ。

この演奏の評価は、ヨッフム全盛期の覇気溢れる演奏ながら、録音年代を考えると少し迫力に欠ける録音と、ドレスデン・シュターツカペレの分厚い音色への期待が先行してしまい、キレのいいヨッフムのコントロールの純粋な魅力に溢れた演奏にちょっと水を差してしまった印象も拭えません。ということで本演奏の評価は[++++]としたいと思います。

明日も仕事ゆえ、今日はこの辺で。

※記事中、Deutsche Grammophoneのアルバムをロンドン交響楽団と表記していましたが、正しくはロンドンフィルでした。訂正致しました(5/29)
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