ベルナルド・ハイティンク/ウィーンフィルの時計ライヴ

ベルナルド・ハイティンク(Bernard Haitink)指揮のウィーンフィルの演奏でモーツァルトの交響曲35番「ハフナー」、ハイドンの交響曲101番「時計」、リヒャルト・シュトラウスの「ドン・ファン」の3曲を収めたCD-R。演奏は2000年12月17日のウィーンでのライヴ。ホール名は記載されていませんのでわかりません。レーベルはGNPというCD-R専門のレーベル。CD-Rはたいていはディスクユニオンで入手しています。
ハイティンクのハイドンはほとんど録音がないような気がしていますが、このアルバムは数少ないハイティンクのハイドンの録音の一つでしょう。
ハイティンクはきらいな指揮者ではありませんが、決定盤的な演奏もあまり思い浮かばず、堅実な職人気質な指揮者という印象。手元にはベートーヴェンの交響曲全集とかウィーンフィルとのブルックナー、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とのマーラー、ファルスタッフのDVDなどがありますが、どれもそこそこ良い演奏ながら、突き抜けた名演、これぞハイティンクというような経験はあまりありません。好きな人も多い指揮者だとは聞いていますが、今ひとつとらえどころがないという印象も否めません。
交響曲101番「時計」(Hob.I:101)1793/4年作曲
冒頭から非常に瑞々しいウィーンフィルの音色が冴えます。ハイティンクらしいちょっと無骨さを感じさせる筋骨隆々な時計の1楽章。やや速めなテンポでオーケストラの響きは引き締まった素晴らしいテンション。一音一音の力感は素晴らしいものがあります。ウィーンフィルの美しい響きは感じられるものの、目立つのはボディービルダーの鍛えられた肉体のような力感の美しさ。この力感は流石。1楽章は素晴らしい盛り上がりで終えます。
有名な2楽章の時計のメロディ。こちらも速めかつあっさり目で、力感溢れる演奏。練らず緩まずでこちらも引き締まった美しさ。徐々に盛り上がって響きの渦に。素晴らしい感興。このあっさりとしたテイストを残しながらこれだけの大波のような盛り上がりを演出するところがハイティンクらしいところ。オケの団員は弾く悦びを満喫しているんじゃないでしょうか。
じっくり間をとって3楽章のメヌエットへ。これまでの演奏からはメヌエットの盛り上がりとオーケストラの響きの険しさが期待できますが、意外にゆったりとした入り。そこそこの迫力ですが、むしろ前楽章より力が抜けている感じ。途中のフルートのソロは響きは美しいもののちょっと拍子がおくれてたどたどしいところもあり、期待と異なる枯れた感じに近いメヌエット。
そしてフィナーレ。入りはしばらく抑えたコントロールですが、すぐにフルスロットルへ。圧倒的な音響で聴かせようというよりは楽譜の指示に忠実な適度な爆発感。ここでも筋骨隆々なオケの骨格が非常に良く出た音響。ミケランジェロの彫刻のような天才的な造形と彫り込みの深さというよりは無名の彫刻家のよく見ると素晴らしくできた筋骨美しい彫像のような趣。最後は無駄なく盛り上がって会場の拍手を誘います。
やはりこの演奏のポイントはタイトな力感でしょう。ただ、3楽章とフィナーレはそういうノリで通すという感じでもなく、少し緩んでしまいます。評価は[++++]としたいと思います。
このアルバム、じつは冒頭のハフナーが意外にいい出来。こちらの方がタイトな演奏の魅力がストレートに出た演奏。こちらはおすすめの演奏ですね。
ハイティンクのハイドンの演奏はベルリンフィルとの95番(所有)の他に、当ブログの読者の方からの情報ではドレスデン・シュターツカペレとの86番もあり、今回ネットで調べたら他にクリーヴランド管との86番やシカゴ響との44番「悲しみ」等のライヴ盤があることがわかりました。このあたりも機会があれば聴いてみたいと思ってます。なんとなくもう一超えした突き抜けたハイティンクの演奏があるような気がしてなりません(笑)
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