作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ヨゼフ・メスナー/モーツァルテウム、ヴンダーリヒの戦時のミサ

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今日はヒストリカルなアルバム。

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ヨゼフ・メスナー(Joseph Messner)指揮のザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の演奏でモーツァルトのアンティフォナ「レジナ・チェリ」とハイドンの戦時のミサ(Hob.XXII:9)の2曲を収めたアルバム。収録は1959年8月16日、ザルツブルク音楽祭でのライヴ収録。ソロ陣はソプラノがローレンス・デュトワ、アルトがゲルトルーデ・ピツィンガー。そしてこのアルバムの目玉、テノールがフリッツ・ヴンダーリヒ、バスはフランツ・パッハーの4名、合唱はザルツブルク教会合唱団。

このアルバムを選んだのは単純に最近手に入れたということもありますが、前記事で取りあげたボルトンの演奏がとても良かったので、ザルツブルク・モーツァルテウム管の昔の演奏を聴いてみたくなったから。

指揮者のヨゼフ・メスナーは1893年生まれのオーストリアの作曲家・オルガニスト。幼いときから歌・ヴァイオリン・ピアノ・オルガンのレッスンを受け、後にミュンヘンで作曲とオルガンを学んだとのこと。1920年代にはドイツで作曲家・オルガニストとして成功を収め、1924年にはデュイスブルクで「ヨーゼフ・メセナーの日」が開かれて自作のシンフォニエッタが初演されたとのこと。1969年に亡くなられてますので、もうずいぶん前のことになります。

このアルバムの目玉はジャケットを見てわかる通りヴンダーリヒにほかなりません。ヴンダーリヒは1930年の生まれなので、この演奏時は29歳ということになります。

戦時のミサ(Hob.XXII:9)1794年作曲
ちょっと古めの録音ゆえ、音もそれなりに歴史を感じさせる録音です。微風のような独特の入りの部分、オケゆったりとローテンションな入り。むしろオケよりも合唱の厚みと迫力を聴くべきアルバムかも知れません。全体にテンポは遅めで、変化もほどほどな展開。コーラスが入るとコーラスにひっぱられ俄然テンションが高まります。HMV ONLINEの情報によれば合唱のスペシャリストのようですので、この展開は合点が行きますね。
1曲目のキリエはソプラノのデュトワの柔らかく美しい声が印象的。朗々とした歌唱。
2曲目はすこし痩せた音を通して当時の響きを想像で補いながら聴く感じ。もう少し迫力がつたわると印象も変わるかもしれません。
3曲目は逆に古い録音の向こうにパッハーの図太いバスとコーラスの存在感が際立ちます。
4曲目は混濁感がちょっと残念ですが曲が進むと突然の凄いギアチェンジでスピードが上がりビックリ。メスナーがこうゆうことをするキャラクターとは思いませんでした。
5曲目はクレド。前曲のトリッキーなギアチェンジが幻だったかのようなオーソドックスな演奏で逆にまたビックリ。
6曲目は休符を長くとった深い呼吸が印象的な楽章。そろそろエンジンがかかってきたでしょうか。メロディーの背景に潜む闇のようなものまで描いているような演奏。
7曲目は一転勢いを感じさせる速めのテンポと途中から現れる上昇音階の無限の上昇感のようなものが湧き出る快活な演奏。
8曲目はソロの掛け合いのメロディーラインの絡み合いが聴き所。この楽章もエネルギー感の表現が見事。
9曲目はサンクトゥス。この曲の途中になってはじめてヴンダーリヒの美声がクッキリ現れます。
10曲目はベネディクトス。短調の美しい旋律をソプラノを皮切りに歌い継いでいく構成。このアルバム一番の聴き所でしょう。後半に入りメスナーはテンポの変化をつける部分が増え、表現の幅も広がっています。
11曲目はアニュス・デイ。背景からしのびよる太鼓の音が不気味な迫力。
12曲が終曲。大団円的展開。拍手はなし。

ヴンダーリヒの写真をあしらったジャケットからはヴンダーリヒの美声を堪能できるディスクであると期待されたんですが、テノールのソロで聴かせる部分が少なく、いささかジャケットは誇大広告的(笑)なものに見えてきました。メスナーも昔の職人風で割と自在な音楽を聴かせますが、コントロールが粗く、ライヴとしてもちょっと物足りないところ。前記事でとりあげた最近のモーツァルテウム管とくらべると、その質の違いは明らか。ちょっと期待先行な感じでした。評価は[++]としたいと思います。Orfeoレーベルということで期待したんですが、、、
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