アイヴァー・ボルトンの奇跡、88番、迂闊者
今日はアイヴァー・ボルトンの交響曲集。

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アイヴァー・ボルトン(Ivor Bolton)指揮のザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の演奏でハイドンの交響曲96番「奇跡」、最近おなじみの88番、60番「迂闊者」の3曲を収めたアルバム。収録は2008年10月22日、23日、ザルツブルクのモーツァルテウム大ホールでのセッション録音。レーベルはOEHMS CLASSICS。
ボルトンはあまりなじみの指揮者ではありませんが、以前取りあげたオラトリオ「四季」の演奏が抜群によかったので、ボルトンのハイドンの他のアルバムをさがしていました。「四季」のレビュー記事のリンクを張っておきましょう。
2010/12/13 : ハイドン–オラトリオ : アイヴァー・ボルトン/モーツァルテウム管弦楽団の四季ライヴ
「四季」は現代楽器のライヴ演奏ながら古楽器奏法をとりいれた非常に引き締まった響きが印象的な演奏でした。はたして同じコンビの交響曲のセッション録音は如何な出来でしょうか。
交響曲96番「奇跡」(Hob.I:96)1791年作曲
奇跡の導入部は期待したタイトな響き。速めのテンポと引き締まったオケの響きの魅力がいきなり炸裂。しかもコミカルな印象を感じさせる余裕があります。奇跡の1楽章のメロディーの面白さが存分に表現されてます。小編成オケのようで透明な響きが美しいもの。2楽章のアンダンテは各楽器のアタックが鮮明にわかる演奏。演奏によっては優しくゆったりした印象のものもありますが、このアンダンテはクッキリ鮮明なメロディーが痛快。最後の部分の木管楽器の掛け合いが印象的。3楽章のメヌエットもアタックの明解、各楽器が気持ちよく弾き抜けるような演奏。中間部のオーボエのソロ、巧いですね。そしてフィナーレは意外と落ち着いた入り。途中から祝砲が撃たれたような腰に響くアタック。途中一部の楽器がスパートしかけますが抑えて落ち着きを保ったまま最終部へ。興奮の坩堝へと思いきや、あえて低音を抑えて意外に透明感を狙った終結。なかなかのアイデアです。演奏としては、音色とスタイルはトーマス・ファイに似てなくもありませんが、ファイほど曲想を揺らさず、曲に素直な解釈。純粋に古楽器のような音色によるエネルギーとタイトさを狙った演奏のように感じます。
交響曲88番(Hob.I:88)1787年?作曲
つづいて最近よくとりあげる88番。前記事でバーンスタインの激こってりな演奏を取りあげたばかりですね。ボルトンの88番は前曲同様タイトな響きで88番の名旋律を刻んでいきます。まるで別の曲のような引き締まった響き。2楽章のラルゴも同様。鍛え上げた筋肉美の体操選手の床運動をみるがごときラルゴ。3楽章はすこしスピードをあげて爽快感を増します。フィナーレはコミカルなメロディーにかなり表情の変化を付けます。強奏部分の意図的なレガート。これは意外ですが、これまで逆に表情をおさえてフィナーレまで来た意図が分かりました。盛り上がる音楽的感興。これはボルトンの作戦勝ちですね。88番のユニークな曲想をどう表現するかをかなりコンセプチュアルに考えてのことでしょう。いやいや巧みです。
交響曲60番(Hob.I:60)1774年以前に作曲
最後は「迂闊者」。88番のあっぱれな演出で、次のこの曲も期待が高まります。1楽章から抜群なアイデアのキレ。音響的迫力で聴かせる部分もあるんですが、これぞハイドンの機知といわんばかりのフレージングがキレまくってます。鳥肌クラスです。楽譜を単純に弾くところは皆無。すべてのフレーズに生気と創意が宿ってます。見事! 2楽章はアンダンテ。ボルトンの真髄はタイトながら旋律に潜む表情をウィットに富んだ表現でコントロールしていくところ。この楽章はあまりのアイデアのキレに痺れる感じ。3楽章のメヌエットはあえて表情を抑えてカッチリと表現。中間部のトルコ風な曲想をふくめて多彩な表情。4楽章は嵐が過ぎ去るのを待つような激しい曲。そして5楽章は静けさが印象的な美しい曲。前楽章との対比が見事。そして弦のチューニング風景をもりこんだ終楽章。このアルバムに取りあげられた曲はどの曲もハイドンのユーモア溢れる豊かな曲想が特徴の曲。ボルトンの選曲意図が十分につたわる素晴らしい演奏ですね。
気に入りました。ハイドンの交響曲に含まれる機知の真髄をウィットに富んだ表現で聴かせるボルトンのコントロールは見事の一言。もちろん全曲[+++++]としました。奇跡も88番も迂闊者も見事。古典的であり、オーセンティックでもあり、ユーモアに富んでいて、音楽的にも刺激的な演奏と言えば良いでしょうか。これは多くの人に聴いていただきたい素晴らしい演奏。「ハイドン入門者向け」タグもつけちゃいます。売り場ではあまり見かけませんが現役盤。HMV ONLINEで注文したものなので入手もおそらく容易でしょう。こうなると、ボルトンの天地創造も聴いてみなくてはなりませんね。もちろん、同時に入手済みなので手元にあるんですね(笑)
こうゆう楽しみが趣味ならでは。天地創造は大物故今週末にとっておくことにしましょう。

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アイヴァー・ボルトン(Ivor Bolton)指揮のザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の演奏でハイドンの交響曲96番「奇跡」、最近おなじみの88番、60番「迂闊者」の3曲を収めたアルバム。収録は2008年10月22日、23日、ザルツブルクのモーツァルテウム大ホールでのセッション録音。レーベルはOEHMS CLASSICS。
ボルトンはあまりなじみの指揮者ではありませんが、以前取りあげたオラトリオ「四季」の演奏が抜群によかったので、ボルトンのハイドンの他のアルバムをさがしていました。「四季」のレビュー記事のリンクを張っておきましょう。
2010/12/13 : ハイドン–オラトリオ : アイヴァー・ボルトン/モーツァルテウム管弦楽団の四季ライヴ
「四季」は現代楽器のライヴ演奏ながら古楽器奏法をとりいれた非常に引き締まった響きが印象的な演奏でした。はたして同じコンビの交響曲のセッション録音は如何な出来でしょうか。
交響曲96番「奇跡」(Hob.I:96)1791年作曲
奇跡の導入部は期待したタイトな響き。速めのテンポと引き締まったオケの響きの魅力がいきなり炸裂。しかもコミカルな印象を感じさせる余裕があります。奇跡の1楽章のメロディーの面白さが存分に表現されてます。小編成オケのようで透明な響きが美しいもの。2楽章のアンダンテは各楽器のアタックが鮮明にわかる演奏。演奏によっては優しくゆったりした印象のものもありますが、このアンダンテはクッキリ鮮明なメロディーが痛快。最後の部分の木管楽器の掛け合いが印象的。3楽章のメヌエットもアタックの明解、各楽器が気持ちよく弾き抜けるような演奏。中間部のオーボエのソロ、巧いですね。そしてフィナーレは意外と落ち着いた入り。途中から祝砲が撃たれたような腰に響くアタック。途中一部の楽器がスパートしかけますが抑えて落ち着きを保ったまま最終部へ。興奮の坩堝へと思いきや、あえて低音を抑えて意外に透明感を狙った終結。なかなかのアイデアです。演奏としては、音色とスタイルはトーマス・ファイに似てなくもありませんが、ファイほど曲想を揺らさず、曲に素直な解釈。純粋に古楽器のような音色によるエネルギーとタイトさを狙った演奏のように感じます。
交響曲88番(Hob.I:88)1787年?作曲
つづいて最近よくとりあげる88番。前記事でバーンスタインの激こってりな演奏を取りあげたばかりですね。ボルトンの88番は前曲同様タイトな響きで88番の名旋律を刻んでいきます。まるで別の曲のような引き締まった響き。2楽章のラルゴも同様。鍛え上げた筋肉美の体操選手の床運動をみるがごときラルゴ。3楽章はすこしスピードをあげて爽快感を増します。フィナーレはコミカルなメロディーにかなり表情の変化を付けます。強奏部分の意図的なレガート。これは意外ですが、これまで逆に表情をおさえてフィナーレまで来た意図が分かりました。盛り上がる音楽的感興。これはボルトンの作戦勝ちですね。88番のユニークな曲想をどう表現するかをかなりコンセプチュアルに考えてのことでしょう。いやいや巧みです。
交響曲60番(Hob.I:60)1774年以前に作曲
最後は「迂闊者」。88番のあっぱれな演出で、次のこの曲も期待が高まります。1楽章から抜群なアイデアのキレ。音響的迫力で聴かせる部分もあるんですが、これぞハイドンの機知といわんばかりのフレージングがキレまくってます。鳥肌クラスです。楽譜を単純に弾くところは皆無。すべてのフレーズに生気と創意が宿ってます。見事! 2楽章はアンダンテ。ボルトンの真髄はタイトながら旋律に潜む表情をウィットに富んだ表現でコントロールしていくところ。この楽章はあまりのアイデアのキレに痺れる感じ。3楽章のメヌエットはあえて表情を抑えてカッチリと表現。中間部のトルコ風な曲想をふくめて多彩な表情。4楽章は嵐が過ぎ去るのを待つような激しい曲。そして5楽章は静けさが印象的な美しい曲。前楽章との対比が見事。そして弦のチューニング風景をもりこんだ終楽章。このアルバムに取りあげられた曲はどの曲もハイドンのユーモア溢れる豊かな曲想が特徴の曲。ボルトンの選曲意図が十分につたわる素晴らしい演奏ですね。
気に入りました。ハイドンの交響曲に含まれる機知の真髄をウィットに富んだ表現で聴かせるボルトンのコントロールは見事の一言。もちろん全曲[+++++]としました。奇跡も88番も迂闊者も見事。古典的であり、オーセンティックでもあり、ユーモアに富んでいて、音楽的にも刺激的な演奏と言えば良いでしょうか。これは多くの人に聴いていただきたい素晴らしい演奏。「ハイドン入門者向け」タグもつけちゃいます。売り場ではあまり見かけませんが現役盤。HMV ONLINEで注文したものなので入手もおそらく容易でしょう。こうなると、ボルトンの天地創造も聴いてみなくてはなりませんね。もちろん、同時に入手済みなので手元にあるんですね(笑)
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