バーンスタイン/ウィーンフィルの88番、オックスフォード

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レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)指揮のウィーンフィルの演奏で、ハイドンの交響曲88番、92番「オックスフォード」、94番「驚愕」の3曲を収めたアルバム。収録はウィーンのムジークフェライン大ホールで88番が1983年11月、92番が1984年2月、94番が1985年10月の演奏。何れもライヴ収録のようです。
このアルバムは実は最近手に入れたもの。もともとオリジナルは88番と92番を収めたアルバムで、赤い服を着たバーンスタインの指揮姿が多数写ったジャケットのアルバム。同時期に発売された青い服を着たバーンスタインの方は交響曲94番「驚愕」と協奏交響曲を収めたもので発売当初に手に入れたんですが、そのころあまり気に入らなかったため、赤い方は未入手のままずっと来ました。このアルバムは赤い方のアルバムの2曲と青い方のアルバムから驚愕の3曲をまとめてリリースされた廉価盤。
今日はこの中から、元々赤いアルバムに含まれていた88番と92番「オックスフォード」を取り上げましょう。
実はこれまでバーンスタインのハイドンはあまり好きな方ではありませんでした。それは上で触れた青いアルバムや非常に濃いめの演出の天地創造などの印象が大きかったため。ハイドンの交響曲をわかりやすいタッチで感興豊かに描き上げるのがバーンスタイン流というところでしょうが、どことなくヨーロッパの伝統とは異なるアメリカンな雰囲気が感じられます。ただ、以前取り上げたニューヨークフィルとの97番のDVDなど、これまでのバーンスタイン観とはことなるタイトな魅力もあることがわかり、食わず嫌いは良くないと思い始めました。当ブログでこれまで取りあげたバーンスタインの演奏のレビューのリンクを張っておきましょう。
2010/12/26 : ハイドン–交響曲 : 【新着】バーンスタイン/NYPの97番、98番DVD
2010/09/11 : ハイドン–オラトリオ : バーンスタインの天地創造DVD
さて、今更レビューするのはとは思いつつも、最近DVDなどが発売されたり再評価の兆しのあるバーンスタインですので真面目にレビューしておきましょう。
交響曲88番(Hob.I:88)1787年?作曲
これぞムジークフェラインとウィーンフィルと言うまろやかな響き。バーンスタインらしくゆったりしながらもフレーズをくっきりと浮かび上がらせた序奏。険しさは微塵もありません。主題に入ると愉悦感に溢れた演奏といえばいいでしょうか、うきうきと弾むメロディ。弦楽器の音色は美しいんですが、各奏者の演奏がピタリと合っているわけではなく、良い意味で生成りの布のような表情のある弦楽器のアンサンブル。展開部に入ってからは徐々に表現の幅が広がりオケのエネルギーも増してきます。良く聴くとフルートの自在な旋律が絶妙の重なり方。最初からくっきりと浮かび上がるメロディーとちょっと練るバーンスタインのテンポで、美しいウィーンフィルの奏でるハイドンの名旋律。模範的、というより、教科書的なわかりやすさを伴った演奏という印象。
2楽章のラルゴはバーンスタインのロマンティックなコントロールで映画音楽のごとき情感の乗った演奏。古典の均衡を感じさせるという趣ではありません。途中の強音は劇的なもの。表現が徐々に重みを増して大波がくるような流れに。こってり濃厚なラルゴ。
3楽章のメヌエットは若干前楽章の濃厚な余韻を感じさせますが、古典的清々しさもすこし顔をのぞかせます。中間部のゆったりした余裕のある流れは悪くありません。この楽章は練りもほどほど、重くなることはありません。
そしてフィナーレ。冒頭のコミカルなメロディーラインの表現は流石バーンスタイン。抜群の表情。この楽章はバーンスタインの良いところが非常に良く出ています。この曲の特徴的なメロディーへの表情付けが非常にうまく痛快な表情。最後の加速とエネルギーの放出は見事。2楽章が激こってりなのが評価を分けそうですね。
交響曲92番「オックスフォード」(Hob.I:92)1789年作曲
つづいてこちらも名曲。前曲よりすこしオケが緊張気味。入りの部分はすこし固さが感じられます。例によってゆったりしたテンポで入りますが、少し流れがギクシャクするような雰囲気もあります。オケも前曲よりすこし粗い感じ。ただ、前曲よりもドイツの伝統に近い演奏に聴こえるのが不思議なところ。濃いめの演出ではなく少し遅めのテンポでゴツゴツと進めるようにも聴こえます。前曲の過度なこってり感を抑えようとする意図が働いたのでしょうか。バーンスタインの演奏には違いありませんが、ちょっとドイツの昔の巨匠風の趣も。
2楽章のアダージョも前曲とは異なりこってりはしていません。なかなか情感の深い良いアダージョ。
3楽章のメヌエットも良い意味で粗いオケによるざっくりとした迫力あるメヌエット。テンポはゆったり、フレージングはざっくり、非常に大くくりな演奏。
フィナーレはやはりバーンスタイン特有の愉悦感が溢れるフレージングと素晴らしいエネルギー感。テンポはほとんど揺らさずほぼ突進するようなエネルギー。オケはほとんどノーコントロールともいえるような荒々しさ。しかしそこはウィーンフィルゆえそれでも極上の響き。前曲とは全く異なる魅力に溢れた演奏となっています。ライヴ感溢れる素晴らしい演奏。
このアルバムも評価はむずかしいですね。88番は丁寧なフレージングによる質の高い演奏ですが、2楽章のこってりした表情と全体に漂う重さはハイドンの交響曲をいろいろ聴いてきた耳からすると、かなり特異な演奏に聴こえます。88番は[+++]、そして92番「オックスフォード」は[++++]としました。オックスフォードの方は枯れた演奏という感じがしないでもありませんがこちらの方は巨匠によるウィーンフィルのライヴとしてもなかなかの演奏です。
人によっては88番は良い演奏と評価する人もいるかもしれませんね。
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