ゲヴァントハウス四重奏団のOp.76名曲集

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ゲヴァントハウス四重奏団(Gewandhaus-Quartett)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.76のNo.2「五度」、No.3「皇帝」、No.4「日の出」の3曲を収めたアルバム。収録は2004年10月、旧東独ライプツィヒ近郊のマーククレーベルク市庁舎ホールでのセッション録音。レーベルはNCA(New Classical Adventure)というドイツのレーベル。おそらくはじめて見るレーベルですね。
ゲヴァントハウス四重奏団は調べたらホームページがありましたが、なんと日本語にも対応。
Gewandhaus-Quartett(日本語ページ)
一部英語のままのページもありますが、これだけ日本語になっていれば十分でしょう。歴史のページは英語のままなので少し訳して紹介しておきましょう。
ゲヴァントハウス四重奏団は創立以来活動を続けている世界最古の弦楽四重奏団。創設は約200年前で西洋音楽の歴史に瞠目すべき足跡を残した。1808年にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の前コンサートマイスターだったハインリッヒ・アウグスト・マタイ(Heinrich August Matthäi)によって創設され、ほどなく室内楽コンサートは聴衆に受け入れられ、ライプツィヒの音楽シーンの重要な一角を占め、サクソン系音楽の伝統をつたえる呼び物となったとのこと。以来、ゲヴァントハウス四重奏団は世代を超えて今日まで演奏を続け、大きな成功を収めてきました。19世紀に入り四重奏団の演奏スタイルはメンバーのうち、2人のメンバーの影響が当初からそして大きな影響をもたらしました。その2人とはメンデルスゾーンからヴァイオリン協奏曲を献呈されたフェルディナンド・デヴィッドと、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を初演したヨゼフ・ヨアヒム。現在のメンバーはこのような独自の遺産を受け継ぎ1993年から演奏を続けているとのこと。
現在のメンバーは何れもライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のトップ奏者たち。詳しくは上記サイトのメンバーの項目に日本語でキャリアが紹介されていますのでご覧ください。
このアルバムの演奏は、最近の録音らしい鮮明な音響の中に、ドイツっぽいキリッとエッジの起った整然としたアンサンルブルによるハイドンの弦楽四重奏曲の模範的な演奏。速めのテンポとタイトなアンサンブル。デュナーミクの変化を面白さを存分に発揮したメンバーのテクニックを十分に発揮したもの。特に音響のリアリティは素晴らしいもの。割と近めに定位する各メンバーの美しい弦楽器の美しい音色を楽しむことができます。各曲の演奏の特徴を簡単に紹介しておきましょう。
弦楽四重奏曲Op.76 No.2「五度」(Hob.III:76)1797年作曲
冒頭の五度はいきなりタイトな音色に圧倒されます。強音ひとつひとつにデュナーミクの変化を利かせた息の合ったアンサンブル。残響は少なめとは聴こえないんですがホールの残響というより機械的につけられた残響のような若干人工的な印象がある音響。かなり近い位置に定位する各楽器が緊張感の高い音響を構成。一人一人の弓使いが手に取るようにわかる鮮明さ。2楽章はテンションが緩みますが、3楽章のメヌエットは耳をつんざくような迫力で迫ります。音響的な迫力は十分ですが若干平板な印象も。フィナーレは逆に立体感のある演奏。テンションは非常に高い見事な演奏ですが、若干力で聴かせようと言う印象も顔をのぞかせてしまいます。最初の五度は見事なテクニックを存分に発揮した演奏。
弦楽四重奏曲Op.76 No.3「皇帝」(Hob.III:77)1797年作曲
名曲皇帝。1楽章から全曲同様素晴らしいテクニックと広大なダイナミックレンジを感じさせる見事な演奏。彫刻的な彫り込みの素晴らしさ、立体感を感じさせます。張りつめた緊張感、漲るエネルギー。2楽章のドイツ国歌のメロディーは意外としっとり奏で、テンションがゆるみほっとさせます。3楽章のメヌエットは前曲とは異なり、余裕を感じさせる少し力を抜いた演奏。これはいい。フィナーレは鮮明な和音から入りますがこの四重奏団の長所が良く出た演奏。格楽器の鮮明な音響と素晴らしいテクニックによるアンサンブルの妙味を楽しめます。ちょっとした余裕が音楽を豊かにしています。前曲とは異なり力感が過度に感じることはありません。
弦楽四重奏曲Op.76 No.4「日の出」(Hob.III:78)1797年作曲
最後の日の出はしっとりとした表情を描く入り。この力を緩めるところ余裕を巧く使うと曲の表情が豊かになりますね。1楽章は力感のコントラストもうまくついてメリハリが非常についた見事な演奏。ちょっとした装飾音が十分なテクニックに裏付けられた余裕を感じさせます。2楽章のアダージョは絶妙な音量のコントロールによる精妙な音楽。これはいいですね。このアルバムの聴き所ですね。3楽章のメヌエットは非常に余裕のあるたっぷりした表情の変化を聴かせます。フィナーレもゆったり系の演奏。装飾音を効果的に使いすでに力技で聴かせるところから脱しています。この曲は見事な緩急の変化。最後のギアチェンジによるスピードアップが印象的。すばらしい感興。
前曲同じような音色ながら最初の五度は力で押し切るような強引さが耳につく演奏でしたが、続く皇帝と日の出は逆に余裕を感じさせる演奏。音楽とは微妙なものですね。ということで五度は[++++]、その後の2曲は[+++++]としました。このアルバムの特徴はいい面も悪い面も録音にあるように感じます。これでもう少し会場のライヴ感のある録音だったら冒頭の五度も素晴らしい演奏に聴こえるかもしれませんね。
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