作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ハンス=マルティン・シュナイトの天地創造

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今日はこどもの日ですが、訳あって会社に出社。丸一日働いちゃいました。ということで帰りにストレス発散に買い物に。ついに出会いました。

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HMV ONLINEicon / amazon

ハンス=マルティン・シュナイト(Hanns-Martin Scneidt)指揮の東京フィルハーモニー交響楽団と神奈川フィルハーモニー管弦楽団による特別編成オーケストラ、合唱はシュナイト・バッハ合唱団と横浜「天地創造」市民合唱団、合唱指揮が鈴木織衛。そしてソロはソプラノが平松英子、テノールが吉田伸昭、バリトンが河野克典。シュナイトがチェンバロも担当しています。このアルバムは1998年7月5日、横浜みなとみらいホールの開館記念コンサートのライヴ。

このアルバムに興味をもったのは以前、ブルックナーやバッハや宗教音楽など奥深い世界でレビューを重ねられているライムンドさんのブログで取り上げられていたのを読んでから。私自身はライムンドさんの記事を読むまで存在を知らない演奏でした。そのうち手に入れようと思っていたんですがそう思っていてもすぐには巡り会わないんですね。

ということで、まずはシュナイトの略歴から。1930年、ドイツのキッツィンゲン・アム・マイン生まれの指揮者であり教育者、オルガニスト。10歳でライプツィヒ聖トーマス教会合唱団に入団。1949年から52年にかかてミュンヘン音楽アカデミーと大学で、指揮、作曲、オルガン及び音楽学を学び、1952年からは音楽学の講義に参加。1954年からはミュンヘンの教会にて合唱指揮とオルガン奏者を担当。1954年ミュンヘン市においてリヒャルト・シュトラウス賞を受賞、1955年にはなんと25歳にてベルリン教会音楽学校校長に就任するなど若い時から注目される存在でした。その後はベルリンフィル、ミュンヘンフィル、ドイツ放送交響楽団などの指揮者として活躍。1984年に急逝したカール・リヒターに変わってミュンヘン・バッハ管弦楽団及び合唱団の芸術監督に就任するなどドイツにおける名声は揺るぎないものに。日本へは1990年ベルリン国立歌劇場とともに来日し「魔笛」を指揮。その後何回かの来日を経てこの演奏の合唱を担当するシュナイト・バッハ合唱団を設立し、98年、この演奏に至と言った経緯です。日本では今一知名度が高い訳ではありませんが、経歴を見る限り素晴らしい実力の持ち主であることが伺えます。

このアルバムをCDプレイヤーにかけたとたん素晴らしい分厚いオーケストラと合唱の響きに圧倒されます。事前の期待を良い意味で木っ端みじんに打ち砕く素晴らしい演奏。何より素晴らしいのは揺るぎない分厚い音響と非常にきめ細かいコントロール。しかも録音が抜群の出来。これより素晴らしいライヴ録音はあり得ないと思わせるようなもの。分厚いオケ、弩迫力の合唱、スピーカーの奥に広がる豊かな響き、ゆったりとした重厚感、なにより神経質でないのに抜群の定位感でオケの迫力がつたわるのが絶品です。べた褒めですが、天地創造の録音として他の録音と比べても遜色ないどころか、この録音の出来はやはり絶品です。このスケール感は超大編成のオケと合唱によるものでしょう。ライナーノーツの中程に見開きで当日の舞台の俯瞰写真が載せられていますが、マーラーの8番の演奏と説明されてもおかしくない大オーケストラと大合唱団が舞台に並んでいます。

CDの1枚目は第一部のみという後半重視の分割。冒頭から滔々と流れる大河のごときゆったりとした雄大な演奏。テンポは一貫してゆったり目ですが、重さを感じることはなく、天地創造の聴き慣れたメロディーを演奏していきます。なにより素晴らしいのは大迫力の合唱。大編成の合唱にありがちな精度の低さはなく、良くそろった合唱。相当の練習を経て当日に望んだことと想像されます。オケも同様、大編成にありがちな粗さは感じられません。ソロ陣はオール日本人キャストですが、演奏を聴くかぎり問題ないどころか、皆さん素晴らしい出来。特にソプラノの平松英子さんの響きの美しい声はなかなかです。

CDを変えて第二部へ。通例CD1枚目のおわりに設定されるトラック6の第19曲に至る盛り上がりの設計も見事。大オーケストラのスケール感はやはり素晴らしいもの。トラック9のラファエルのアリアのはじまりの異様な神々しさ。トラック11の第24曲のウリエルのアリアの素晴らしい伴奏。音楽の神様降りてきてます。曲ごとに沸き上がる素晴らしい生気とエネルギー。シュナイトの作為のないコントロールは今まで聴いた演奏ではペーター・シュライアー指揮のDVDの演奏に近いもの。シュライアーがキリッととしたエッジを感じさせたのにたいし、大河の流れのようなおおらかさがシュナイトの持ち味でしょう。第三部の聴き所アダムとエヴァのデュエットは美しさの限りを尽くしたような至高の名唱。第34曲は通例迫力不足に聴こえる演奏が多いんですが、この演奏は見事にフィナーレの盛り上がりにフォーカスがあたり、最後は完全燃焼。

このアルバム、まるで自宅が大ホールになってしまったような名録音で、大編成のオーケストラと大合唱団の天地創造を存分に楽しむことができます。もちろん評価は[+++++]です。ライヴとしても演奏の質は非常に高くおすすめです。カラヤン、クリスティ、ノリントン、シュライアーのDVDなど天地創造には素晴らしい演奏が多いですが、はっきりいってそれらの演奏と遜色ありません。大オーケストラによる天地創造という曲の沸き上がる感動をしみじみと味わえる佳演。日本人歌手陣の素晴らしい出来も華を添えます。みなさん、このアルバムは買いです!
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2 Comments

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ライムンド

No title

Daisyさん、こんばんは。シュナイトの天地創造入手されたようですね。流通する数が多くはないはずなので、機会を逃すとなかなか見つかりません。ハンス・マルティン・シュナイトはこういう声楽作品が好きな人には特に相性が良いと思います。日本の演奏者だけで、廉価盤でもないのでちょっと敬遠しがちですが、感動的な演奏だと思います。

  • 2011/05/06 (Fri) 00:12
  • REPLY

Daisy

Re: No title

ライムンドさん、いつもコメントありがとうございます。
シュナイトの天地創造、これほどの出来とは思いませんでした。感動を呼ぶ演奏とはまさにこのような演奏ということだと思います。貴重な演奏の記録として多くの人に聴いていただきたい素晴らしいアルバムですね。今回のレビューは非常に気持ちよく書けました。今後ともいい演奏がありましたらよろしくお願い致します。

  • 2011/05/07 (Sat) 00:02
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