フルトヴェングラー/ベルリンフィルの88番

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今日は神様ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(Wilhelm Furtwängler)指揮のベルリンフィルの演奏で、ハイドンの交響曲88番とシューベルトの交響曲9番「グレート」を収めたアルバム。ハイドンの方は1951年12月ベルリンのイエス・キリスト教会でのセッション録音。Deutsche Grammophonからのリリース。
フルトヴェングラーのハイドンの交響曲は88番と104番が数種あるのみです。88番の方はこの1951年12月のベルリンフィルの録音、その直前1951年10月22日のウィーンフィルとのライヴ、ベルリンフィルの録音直後のRAIトリノ管との1952年1月3日のライヴの3種が手元にありますが、今日はDGへのセッション録音を取り上げます。最近クナッパーツブッシュ、ワルター、トスカニーニなど巨匠のハイドンの交響曲録音を少しずつ取り上げていますが、ついにフルトヴェングラーのハイドンに迫ります。
88番は古くから録音が多く、ハイドンの交響曲の中でも多くの指揮者によって演奏されてきた曲のひとつ。従って、多くの演奏家もこの録音を聴いているんじゃないかと思います。そういった意味でハイドンの交響曲の演奏史に残る録音でしょう。
1楽章は少し古さを感じる音ですが岩の塊のような堅固な力強さをもった序奏から。後に続くメロディーの何と滑らかなこと。主題に入ると意外にあっさり、ぐいぐいメロディーを引っ張ります。テンポも演奏も非常にオーソドックスな展開。適度にキレもよく、テンポも中庸、推進力も水準並み。あらためて聴き直してみると意外に普通の演奏なのが新鮮。徐々にその普通の演奏に宿るかすかに感じられる神々しさが顔を出し始めます。このまとまりは、おそらく録音のリアリティと言うかダイナミックレンジがそう広くないことが一因かと思います。低音が若干薄めの録音バランス。
2楽章は冒頭から優しさと慈しみにあふれた古雅な音色。古い録音のむこうから響く弦のピチカートの音が印象的。この楽章も大きな変化は見せませんが、前楽章以上に普通の演奏から音楽が溢れ出てくる感じが特徴。このフレージングの魔術のようなところがフルトヴェングラーらしいところでしょう。ワルターほど歌で聴かせるようなところはなく、あくまで自然な演奏。進むうちにハイドンのラルゴの音楽の魅力に引き込まれていく不思議な感覚。この2楽章は絶品ですね。
3楽章のメヌエットもあくまで普通の演奏に聴こえますがもはやフルトヴェングラーの術中にハマっている感じ。すべてのメロディーが有機的につながりなだらかに音楽を形作っている感じ。
フィナーレはリズムの面白さを強調する一般的な演奏とは異なり、端正にリズムを刻みながら表現するのは感情の大きな波にあるように感じさせる素晴らしい発想。リズムと特徴的なメロディーラインの表現に気をとられず、大きな起伏と情感溢れる表情に演出を巧みに表現。音楽の器が一段大きいです。ライナーの豪腕によるフィナーレやブリュッヘンの響きの渦と言う音響レベルの表現とは明らかに狙いがちがう演奏。これぞフルトヴェングラーですね。
もちろん第九をはじめとするベートーヴェンやブラームス、モーツァルトなどフルトヴェングラーはいろいろ聴いていますが、あらためて聴くフルトヴェングラーのハイドンは、やはり濃い音楽に溢れてました。評価は以前から上げて[+++++]につけ直しました。
前後のライヴもそのうち取り上げてみようかと思います。というか、この演奏を聴き直して聴いてみようと言う興味が湧いてきました。
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