作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

バリー・タックウェル/マリナーのホルン協奏曲

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清々しい音楽が聴きたくなり未聴盤のなかから1枚を選びました。

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バリー・タックウェル(Barry Tuckwell)のホルン、サー・ネヴィル・マリナー(Sir Neville Marriner)指揮のイギリス室内管弦楽団の演奏によるハイドンのホルン協奏曲(Hob.VIId:3)を収めた2枚組のアルバム。他にテレマン、ケルビーニ、レオポルド・モーツァルト、ミヒャエル・ハイドン、ヨハン・スティッチのホルン協奏曲が含まれています。ハイドンのホルン協奏曲はCD-2の末尾におかれています。収録は1978年5月、ロンドンのアビーロードスタジオでのセッション録音。

マリナーの伴奏する協奏曲ということで、いつもの安定した伴奏が期待できますね。ホルンのバリー・タックウェルはホルンの名手として有名ですが、私はちゃんと聴いたアルバムがあまりなくこのアルバムの演奏を楽しみにしていました。

Wikipediaによれば、バリー・タックウェルは、オーストラリア出身のホルン奏者。1931年生まれということでお元気であれば現在80歳ということになりますね。幼い頃にピアノとヴァイオリンを学び、やがてホルン奏者を目指すように。シドニー音楽院に進んだ後イギリスに渡り、デニス・ブレインの演奏に大きな影響を受けたとのこと。ハレ管弦楽団やスコティッシュ・ナショナル管弦楽団のホルン奏者を経て、1955年から1968年までロンドン交響楽団の首席奏者を勤め、その後ソリストとしても活躍。現在は指揮活動に転じているとのことです。

1楽章の序奏はちょっと乾き気味な音色のオケですが、マリナーらしく几帳面なリズムにのったいつも通り伴奏。ヴァイオリンのキレが痛快です。タックウェルのホルンは正確なリズムと音階。軽々と吹き抜けていきます。危なっかしいところは皆無。マリナーのコントロールするオケとの一体感も十分。あえていえば正確な音程に高音部の伸びのよい響きが特徴でしょうか。意外と几帳面な演奏ですね。途中で現れる抑えた低音の持続音の部分は見事。1楽章のカデンツァは文字通り引き締まった音でした速いパッセージを正確に吹ききる端正なカデンツァ。1楽章は腕試しと言ったところでしょうか。
期待の2楽章。マリナーの指揮するイギリス室内管は期待通りのゆったりした入り。抜群の伴奏。タックウェルのホルンはゆったりと朗々とした音色でメロディーを吹いていきます。1楽章とは異なりホルンが主導権を握っています。目玉のホルンの低音の唸るような持続音は図太さとは異なり、堂々とした中に端正さを感じさせる紳士的な吹きっぷり。デニス・ブレインの神がかった図太い低音とは比べるべくもありませんが、これはこれでなかなかの演奏。高音の伸びも素晴らしく、音色のコントロールが行き届いている感じですね。美しい2楽章。
3楽章はこれまた期待通りのマリナーの磨きのかかったオケの美しい響きが心地よい入り。エッジをキリッとたてたオケの奏でるハイドンのオーケストレイョンは推進力十分。その伴奏に乗ってタックウェルの超絶テクニックが炸裂。速いパッセージも難なく軽々と吹き抜けていきます。3楽章のカデンツァは短いものながら音階の上昇感と破裂寸前の強音を駆使した凝ったもの。短い曲ですがホルンの響きを楽しめる充実した協奏曲ですね。

タックウェルの正確なテクニックといつも通りマリナーによるヴァイオリンのキレ味満点のイギリス室内管によるハイドンのホルン協奏曲。まさに期待通りの安定した出来で、ホルンの音色を堪能できました。若干録音がドライで、マリナーとアカデミー室内管の録音が多かったPHILIPSレーベルであったらもう少し潤いのある音色が聴けたんじゃないかと想像しています。いつもは録音の影響はあまり加味しないんですが、この演奏はちょっと影響があり評価は[++++]としました。

ハイドンのホルン協奏曲は名演奏が多いですね。ホルンの響きの真髄を知ったハイドンの創意溢れる名曲に各奏者が応えていい演奏をしているんでしょう。まだまだ録音の多い曲ではありませんので、良い演奏が増えることを期待しちゃいます。いろいろ探してはいますが、埋もれた未入手の演奏もまだまだあるんでしょう。収集を続けなくてはいけませんね。
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