作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

カトリン・ショルツのヴァイオリン協奏曲集

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今日は久々の協奏曲もの。

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カトリン・ショルツ(Katrin Scholz)のヴァイオリンと指揮、ベルリン室内管弦楽団の演奏でハイドンのヴァイオリン協奏曲Hob.VIIa:1、VIIa:4、VIIa:3の3曲を収めたアルバム。2003年6月30日、7月1日、ベルリンのイエス・キリスト教会でのセッション録音。レーベルはBerlin Classics。

カトリン・ショルツは1969年ベルリン生まれのドイツのヴァイオリニスト。14歳でポーランドのルブリンで行われたヴィニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで2位に入賞。その後ベルリン音楽大学やベルン音楽大学で学び、1998年からはブレーメン芸術大学の教職にある。ショルツの国際的なキャリアは、1989年に行われた日本国際音楽コンクール、そして1991年にケルンで行われたクーレンカンプ国際ヴァイオリンコンクールで優勝したことからはじまり、現在はこのアルバムのオケであるベルリン室内管弦楽団と活動し、ヴァイオリンソロとしての他、音楽監督として指揮もしているとのこと。楽器は1743年のグゥアダニーニ。

ヴァイオリン協奏曲Hob.VIIa:1(1765年頃作曲)
入りは落ち着いたテンポで。オケは現代楽器の素直な響きが美しいもの。ショルツのヴァイオリンは艶やかな高音の響きを生かしたのびのびとした演奏。全体に長めの残響に響きをまかせた素直な演奏。ヴァイオリンはフレージングやテクニックで聴かせるのではなく輝かしい美音で聴かせるタイプですね。オケのコントロールはなかなかのものですが、若干単調さを感じさせてしまいます。テンポの変化や、生き生きとした感じがもう少しあれば表現の幅も膨らむでしょう。
2楽章はショルツの美音の魅力がうまく表現できています。ピチカートの伴奏にのってショルツのヴァイオリンの弓の織りなす美しいメロディー。実に落ち着いた弓さばき。
3楽章も全体に浮き足立ったところもなく、こちらも実に落ち着いた展開。速いテンポですがきっちり教科書的な演奏と言ったら良いでしょう。あとひと踏み込み欲しい感じです。

ヴァイオリン協奏曲Hob.VIIa:4(1765年~70年頃作曲)
こちらは、少し迫力が増した感じではじまります。オケの表情にも余裕と幅が出てきます。ショルツのヴァイオリンもすこし温まってきて調子が上がった感じがします。曲想の変化の幅が広がってきたこととも関係あるような気がします。素直なフレージングに違いありませんが、余裕が出てくるだけで曲の表情が一変し、心地よさもアップ。
2楽章は穏やかな表情の中に穏やかなアクセントをつけて優しい響きにつつまれるような展開。攻めるハイドンではなく包まれるハイドン。
3楽章は速いテンポで進めますが、ソロと指揮を兼ねているだけにソロとオケの一体感は見事。逆に協奏曲としての聴き所でもある個性のぶつかり合いを楽しむと言った風情はなく非常に穏当なもの。生気とキレはそこそこあり、普通に良い演奏ということが出来るでしょう。

ヴァイオリン協奏曲Hob.VIIa:3(1765年~70年頃作曲)
最後の曲。基本的に前曲VIIa:4と同様の表情の演奏。セッション録音故だんだんオケが慣れてきたとは言えないでしょうが、緊張がほぐれてきて、ようやく調子がでてきたといったところでしょうか。録音順もアルバムの順に録ったかどうかわかりませんので何とも言えません。1楽章のソロはちょっと変わったアクセントによる変化を魅せますが一瞬のみ。相変わらず高音域の音の伸びは見事ですね。2楽章以降も前曲同様の出来でした。

評価は全曲VIIIa:1が[+++]、その他が[++++]としました。ショルツのソロとオケのコントロールはオケを自然に巧くならすという意味ではすばらしい演奏ですが、今一歩の表現に踏み込んでほしかったというのが正直なところでしょう。

振り返ってみると、最近[+++++]をつけてないですね。そろそろ呼ばなくては(笑)
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