作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ラファウ・ブレハッチのピアノソナタXVI:52

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セルのハイドンを取り上げようと思っているんですが、帰りが遅かったのでショートリリーフを。

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HMV ONLINEicon / amazon

ラファウ・ブレハッチ(Rafal Blechacz)のピアノによるハイドンのピアノソナタXVI:52、ベートーヴェンのピアノソナタOp.2 No.2、モーツァルトのピアノソナタK.311の3曲を収めたアルバム。収録は2008年7月、ドイツのハノーファーの議会センターのベートーヴェンホールでのセッション録音。

HMV ONLINEの情報では、ブレハッチはショパンコンクールの覇者。HMV ONLINEに並ぶアルバムもショパンのアルバムがほとんど。調べてみると1985年ポーランド生まれのピアニスト。2005年のショパンコンクールの覇者ということで、優勝した時は20歳ということになりますね。2006年にDeutsche Grammophoneと専属契約とのことでエリートですね。DGがポーランド人と専属契約を結んだのはクリスチャン・ツィマーマンに次いで2人目とのこと。日本にもよく来ているようですので、おなじみの人も多いでしょう。かく言う私はショパンをほとんど聴かないので、ブレハッチもツィマーマンもほとんどなじみがありません。

このアルバムはセルのハイドン交響曲ボックスを注文する時にマルチバイになるよう、在庫があって聴いたことがないアルバムとして注文したもの。DGからアルバムを出している人のハイドンを聴いたことないのはハイドンコレクターとしては見逃してはならない、、、くらいのノリで注文したもの。

早速ハイドンを聴いてみます。

ハイドン:ピアノソナタXVI:52(1794年作曲)
かなり勢いにのった1楽章の導入。速めのテンポでぐいぐい行きます。音はかなりデッドなスタジオで収録したような実体感のある音。高音の輝きはなかなかいいです。高音をちょっとずらして弾き散らかす感じが演奏の勢いをより迫力あるものにしています。休符は長めにとって印象的な間を演出。勢いはあるんですが、ある意味軽さを感じる不思議な感覚。重厚感を出そうと言う意識がないためでしょう。速いパッセージの指のキレは若い人ならでは。
2楽章のアダージョは音を切ったような指使いで音量の変化をかなり付けた演奏。アクセントもかなりはっきり付けます。最初はちょっと落ち着かない印象もあったんですが聴き進むうちに独特の詩情の演出がしっくり来るように聴こえてきます。強音の独特のアクセントの付け方がブレハッチの個性でしょうか。
3楽章はブレハッチの胸がすくようなキレの良いタッチを楽しめる楽章。この楽章が最もしっくり来ます。冒頭のメロディーの畳み掛けるようなところの痛快さはなかなか。この音形が繰り返されることを象徴的に表現しているように聴こえます。かなり明解なフレージングで曲を閉じます。

このアルバムでは一番気に入ったのは最後におかれたモーツァルト。モーツァルトの閃きとブレハッチの閃きが巧くかみ合っている感じで面白く聴けました。

ポーランドの新星ブレハッチの弾くハイドン晩年のソナタの傑作は、ハイドンという作曲家の神髄にせまるというより、ブレハッチの表現レパートリーのショパン以外へのトライアルというような印象。ハイドンのソナタの研究というか、ハイドンをどう弾くかというアプローチがちょっと足りないような印象を受けました。テクニックは十分ゆえ、評価は[++++]としました。ブレハッチのショパンも聴かずに評価するのはいささか失礼かもしれませんね。ただ、まだ若いピアニスト故年齢を重ね、ハイドンの神髄に迫るような演奏も期待できるでしょう。
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