ルイサダのピアノ協奏曲とピアノ作品集
しばらく交響曲が続いたので、今日はピアノ協奏曲など。

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ジャン=マルク・ルイサダ(Jean-Marc Luisada)のピアノ、ポール・メイエ(Paul Meyer)指揮のパドヴァ・ヴェネト管弦楽団の演奏で、ハイドンのピアノ協奏曲(Hob.XVIII:11)と、ピアノソナタ(Hob.XVI:6)、ファンタジア(Hob.XVII:4)、アンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)の4曲を収めたアルバム。収録は2001年9月8日から11日にかけてイタリア、ヴェネト州パドヴァのパラッツォ・ジウッツィ(Palazzo Giuzzi)でのセッション録音。アンダンテと変奏曲のみ別の収録で2000年8月のイギリス、オールドバラ(Aldeburgh)のスネイブ・モールティングスコンサートホールでのセッション録音。レーベルはRCA RED SEAL、国内盤でBMGファンハウスのものです。
ジャン=マルク・ルイサダは1958年チュニジア生まれのピアニスト。16歳でパリ国立高等音楽院に入り、ピアノ・室内楽を学ぶ。大学院ではニキタ・マガロフ、パウル・バドゥラ=スコダに師事し、1983年ミラノ・スカラ座で開催されたディーノ・チアーニ国際ピアノ・コンクールで2位に入賞、1985年のショパンコンクールでも5位に入り国際的に活躍するようになりました。RCAからリリースされているアルバムはショパンが多いので、ショパンを得意としているのでしょうね。
一方指揮者のポール・メイエは1965年、フランスのドイツ国境に近いアルザス地方ミュルーズ(Mulhouse)出身のクラリネット奏者。1982年にフランス・ユーロビジョン・ヤング・ミュージシャンズコンクールに優勝しデビュー、1984年にはニューヨーク新人演奏家コンクールを制覇。クラリネット奏者としては世界的に有名な人だそうです。近年は指揮者としての活動もしているそう。
ルイサダもメイエもはじめて聴く人。ルイサダは有名ですが、もともとショパンなどを苦手にしている私にとって、進んでアルバムを手に入れる機会がなかっただけなんですね。有名どころでもまだまだ未聴の人は多いですね。一聴して古典派の曲の演奏というよりショパンのようなハイドンといえるかもしれませんね。今日はこのアルバムの中からピアノ協奏曲とアンダンテと変奏曲の2曲を取り上げましょう。
ピアノ協奏曲(Hob.XVIII:11)1784年作曲
1楽章は色彩感豊かな推進力あるオケの序奏から。レガートを利かせた柔らかい弦の響きが新鮮ですね。独墺系のオケとは明らかに異なる音色。明るく屈託のない音色。ピアノは粒立ち音色が印象的な良い入り。オケとピアノの掛け合いは最初ちょっと呼吸が合わずテンポの決まりがわるいように聴こえます。ピアノは右手の高音の輝く音色が特徴。ピアノは溜めを多用して変化をつけますが、ちょっとリズムが鈍いようなところもあります。
2楽章は意外と無造作な入り。悪い意味ではなくすっと入るという感触。ピアノのメロディがバランス上かなり目立つ展開。静けさを表現する演奏も多い中、堂々としたピアノの美しいメロディーをオケが一貫した強さで支えるという感じの演奏。ピアノは意外とテンポを揺らさず弾き進めます。
3楽章はピアノとオケの掛け合いから始まります。オケはピアノとの掛け合い以外のところは力を抜いてみせる余裕があります。オケの安定した伴奏に乗ってきらめくようなピアノの音階の音色の魅力が楽しめます。ちょっと惜しいのはピアノのリズムが若干重いこと。協奏曲の速い楽章のソロのキレ具合はリズムのキレ具合でだいぶ変わるだけにこのほんの少しの重さが印象を左右しますね。ピアノは相変わらず変化とアクセントを利かせて個性的なフレージング。この曲はルイサダの自在なフレージングがよくも悪くも強く印象にのこる演奏。
アンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)1793年作曲
詩的なフレージングで始まります。音のつらなりの流れの美しさに焦点をあわせたようなはじまり。フレーズごとにかなり自由に表情をつけていきます。音色の変化を意図的つけ、短調の物憂げなメロディーラインを奏でていきます。特にアクセントになる速い音の動きを象徴的に強調して変化をつけます。左手のスタッカートもかなり意図的に強調します。ちょっと変化をつけることにとらわれて大きな視点での演奏のメリハリに感心が届いていないような感じもあります。普通のハイドンの演奏とは一線を画す印象ですね。変奏がすすむごとに次々と変化をみせるタッチですが、ダイナミクスの起伏があまりないのでちょっと薄っぺらく聴こえてしまうところもあります。ルイサダのピアノは音色の変化、フレーズの変化とダイナミクスの変化の連携が連携していないように聴こえるところが特徴でしょうか。そこが斬新さと聴こえることもあり、ちょっと弱みと聴こえることもあるのではないでしょうか。この曲は大曲だけに、全体の構造の表現は重要な要素。この辺が演奏の評価のポイントになるかもしれませんね。
一聴してロマンティックな印象をもったルイサダの演奏。しかしちょっと粗いと言うか、良い意味で荒れがあるというかわりと自在に弾き散らかすような印象のある人ですね。詩的な印象は強く、おそらくショパンなどには得難い味わいを表現できる人だと思いますが、ハイドンの印象は曲想と演奏の間の必然性というか、曲の神髄に迫っていないという印象がつきまとってしまうのが正直なところ。取り上げたのは最初面白い演奏だと聴こえたからなんですが、レビューをするよう聴き込むと印象が変わってしまいました。評価は両曲とも[+++]としました。これはあくまでも私の主観故、この演奏を非常に気に入る人もいるに違いありません。それが音楽というものでしょう。

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ジャン=マルク・ルイサダ(Jean-Marc Luisada)のピアノ、ポール・メイエ(Paul Meyer)指揮のパドヴァ・ヴェネト管弦楽団の演奏で、ハイドンのピアノ協奏曲(Hob.XVIII:11)と、ピアノソナタ(Hob.XVI:6)、ファンタジア(Hob.XVII:4)、アンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)の4曲を収めたアルバム。収録は2001年9月8日から11日にかけてイタリア、ヴェネト州パドヴァのパラッツォ・ジウッツィ(Palazzo Giuzzi)でのセッション録音。アンダンテと変奏曲のみ別の収録で2000年8月のイギリス、オールドバラ(Aldeburgh)のスネイブ・モールティングスコンサートホールでのセッション録音。レーベルはRCA RED SEAL、国内盤でBMGファンハウスのものです。
ジャン=マルク・ルイサダは1958年チュニジア生まれのピアニスト。16歳でパリ国立高等音楽院に入り、ピアノ・室内楽を学ぶ。大学院ではニキタ・マガロフ、パウル・バドゥラ=スコダに師事し、1983年ミラノ・スカラ座で開催されたディーノ・チアーニ国際ピアノ・コンクールで2位に入賞、1985年のショパンコンクールでも5位に入り国際的に活躍するようになりました。RCAからリリースされているアルバムはショパンが多いので、ショパンを得意としているのでしょうね。
一方指揮者のポール・メイエは1965年、フランスのドイツ国境に近いアルザス地方ミュルーズ(Mulhouse)出身のクラリネット奏者。1982年にフランス・ユーロビジョン・ヤング・ミュージシャンズコンクールに優勝しデビュー、1984年にはニューヨーク新人演奏家コンクールを制覇。クラリネット奏者としては世界的に有名な人だそうです。近年は指揮者としての活動もしているそう。
ルイサダもメイエもはじめて聴く人。ルイサダは有名ですが、もともとショパンなどを苦手にしている私にとって、進んでアルバムを手に入れる機会がなかっただけなんですね。有名どころでもまだまだ未聴の人は多いですね。一聴して古典派の曲の演奏というよりショパンのようなハイドンといえるかもしれませんね。今日はこのアルバムの中からピアノ協奏曲とアンダンテと変奏曲の2曲を取り上げましょう。
ピアノ協奏曲(Hob.XVIII:11)1784年作曲
1楽章は色彩感豊かな推進力あるオケの序奏から。レガートを利かせた柔らかい弦の響きが新鮮ですね。独墺系のオケとは明らかに異なる音色。明るく屈託のない音色。ピアノは粒立ち音色が印象的な良い入り。オケとピアノの掛け合いは最初ちょっと呼吸が合わずテンポの決まりがわるいように聴こえます。ピアノは右手の高音の輝く音色が特徴。ピアノは溜めを多用して変化をつけますが、ちょっとリズムが鈍いようなところもあります。
2楽章は意外と無造作な入り。悪い意味ではなくすっと入るという感触。ピアノのメロディがバランス上かなり目立つ展開。静けさを表現する演奏も多い中、堂々としたピアノの美しいメロディーをオケが一貫した強さで支えるという感じの演奏。ピアノは意外とテンポを揺らさず弾き進めます。
3楽章はピアノとオケの掛け合いから始まります。オケはピアノとの掛け合い以外のところは力を抜いてみせる余裕があります。オケの安定した伴奏に乗ってきらめくようなピアノの音階の音色の魅力が楽しめます。ちょっと惜しいのはピアノのリズムが若干重いこと。協奏曲の速い楽章のソロのキレ具合はリズムのキレ具合でだいぶ変わるだけにこのほんの少しの重さが印象を左右しますね。ピアノは相変わらず変化とアクセントを利かせて個性的なフレージング。この曲はルイサダの自在なフレージングがよくも悪くも強く印象にのこる演奏。
アンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)1793年作曲
詩的なフレージングで始まります。音のつらなりの流れの美しさに焦点をあわせたようなはじまり。フレーズごとにかなり自由に表情をつけていきます。音色の変化を意図的つけ、短調の物憂げなメロディーラインを奏でていきます。特にアクセントになる速い音の動きを象徴的に強調して変化をつけます。左手のスタッカートもかなり意図的に強調します。ちょっと変化をつけることにとらわれて大きな視点での演奏のメリハリに感心が届いていないような感じもあります。普通のハイドンの演奏とは一線を画す印象ですね。変奏がすすむごとに次々と変化をみせるタッチですが、ダイナミクスの起伏があまりないのでちょっと薄っぺらく聴こえてしまうところもあります。ルイサダのピアノは音色の変化、フレーズの変化とダイナミクスの変化の連携が連携していないように聴こえるところが特徴でしょうか。そこが斬新さと聴こえることもあり、ちょっと弱みと聴こえることもあるのではないでしょうか。この曲は大曲だけに、全体の構造の表現は重要な要素。この辺が演奏の評価のポイントになるかもしれませんね。
一聴してロマンティックな印象をもったルイサダの演奏。しかしちょっと粗いと言うか、良い意味で荒れがあるというかわりと自在に弾き散らかすような印象のある人ですね。詩的な印象は強く、おそらくショパンなどには得難い味わいを表現できる人だと思いますが、ハイドンの印象は曲想と演奏の間の必然性というか、曲の神髄に迫っていないという印象がつきまとってしまうのが正直なところ。取り上げたのは最初面白い演奏だと聴こえたからなんですが、レビューをするよう聴き込むと印象が変わってしまいました。評価は両曲とも[+++]としました。これはあくまでも私の主観故、この演奏を非常に気に入る人もいるに違いありません。それが音楽というものでしょう。
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