作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】ギィ・ヴァン・ワース/レザグレマンの熊、86番

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何日か間があいてしまいましたが、年度末で部下が2名異動になり、連日の送別会でした。震災対応もありしばらく飲みにいくという感じではありませんでしたが、何年かともにした部下の送別会を開かない訳にはまいりません。久しぶりに飲みにでかけましたがやはり人出は少ないですね。時たま余震があったり計画停電の予定に右往左往している状況で、まだまだ平常時とはいえませんが、しばし仲間との楽しいお酒、卒業式にも似た独特の送別の雰囲気に連日酔いました。

今日は新着アルバムです。

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HMV ONLINEicon / amazon


ギィ・ヴァン・ワース(Guy Van Waas)指揮のアンサンブル・レザグレマン(Les Agrémens)の演奏によるハイドンの交響曲82番「熊」、ルートヴィッヒ=アウグスト・ルブラン(Ludwig-August Lebrun)のオーボエ協奏曲ハ長調、ハイドンの交響曲86番の3曲を収めたもの。ハイドンの収録は熊が2009年2月10日、オーボエ協奏曲と86番が2010年7月10日~11日、ベルギー、ブリュッセルの近郊、ルーヴァン・ラ・ヌーヴ(Louvain-la-Neuve)という街のビエロー農場音楽堂(Ferme du Biéreau)でのセッション録音。レーベルはマーキュリーが輸入するRICERCARですね。

ギィ・ヴァン・ワースのハイドンは以前に一度取り上げ、そのアルバムは古楽器の自然な美しさに溢れた名演奏として、2010年11月のHaydn Disk of the Monthに輝いたもの。前記事のリンクを張っておきましょう。

2010/11/14 : ハイドン–交響曲 : ハイドンとパリ/ヴァン・ワースの交響曲集

この組み合わせでの新たな録音のリリース、しかも曲目は「熊」に私の好きな86番ということで、期待の一枚ですね。ハイドンのパリ・セットの6曲の交響曲の中でも最後に作曲された2曲。演奏者の情報などについては上のリンクの記事をご参照ください。

交響曲82番「熊」(1786年作曲)
以前取り上げたアルバムの「王妃」、「告別」と同様、非常に自然な響きの古楽器オケによる自然なフレージングの演奏。ちょっと聴くと個性が弱い演奏に聴こえなくはないんですが、良く聴くと響きの細かい変化を巧みに演出に取り入れているんですね。テンポはあまり動かさず、一貫した流れ。熊はティンパニがかなり活躍する曲。弦とティンパニによるアクセントが痛快で推進力も十分。木管楽器の自然な響きも加わって極上の響き。録音も古楽器のデリケートな余韻が美しいもの。1楽章の終盤のリズムが交錯する部分の面白さも万全。このアルバムも名演奏の予感ですね。最近トーマス・ファイなどの演奏もまんざらではないと思っているんですが、ワースのこの自然な美しさは説得力ありますね。
2楽章はアレグレット。さらっと速めに入り、速めの一貫したテンポで曲の起伏を描いてきます。途中から金管楽器のアクセントが効いた突っ込みが印象的。さりげないフレーズも変化に富んだ響きを感じるほどの演出上手ですね。
3楽章はメヌエット。こちらも少々速めのテンポで入ります。最初の一音の溜めで特徴ある表情を作ります。この楽章は溜めを巧く使ってフレーズごとの表情の変化を表現。
終楽章は有名な冒頭第一主題のバグパイプを思わせるメロディーが熊の踊るさまを連想させたので、この曲に「熊」というニックネームがついたという楽章。終楽章はこれまでの緻密なコントロールからオケをゆったり鳴らすことに主眼が移ったよう。次々と楽器が引き継がれながらメロディーをつないでいき最後はパンチアウト。

ルブラン:オーボエ協奏曲(1777年出版)
詳しくはふれませんが、序奏からめくるめく変化を楽しめる不思議な曲。曲自体面白い曲であるのは間違いないんですが、ハイドンの名曲に挟まれてしまうと、逆に引き立て役になってしまうのも面白いところ。やはりハイドンの天才は揺るぎないものと納得してしまいます。

交響曲86番(1786年作曲)
期待の86番。1楽章は力入ってます。この曲の面白さの神髄にふれる感興。力感と余裕、木質系の美しい古楽器の響き。次々と畳み掛けるように襲ってくる響きの波。じっくりと味わうハイドンの名曲の響き。最高です。
2楽章は1楽章の興奮を鎮めるようなゆったりとした響きから始まり、ゆったりと大きな波が返すよう。
3楽章のメヌエットは木管の美しい響きと弦のさざめくような音の鮮やかな対比の織りなすメヌエット。そしてフィナーレはハイドンの秩序の中にふつふつと沸き上がるエネルギー。普通の演奏の中にハイドンの神髄が詰まった名演奏ですね。

ギィ・ヴァン・ワースのハイドンの交響曲2枚目の本アルバム。評価はもちろん両曲とも[+++++]です。個性的な演奏ではありませんが、ハイドンの傑作交響曲の神髄を楽しめる名演奏であることは間違いありません。このアルバムでパリ・セットが3曲。残りの3曲も是非リリースされることを楽しみに待ちたいと思います。
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