ナターシャ・ヴェリコヴィッチのピアノ協奏曲集
今日も一昨日渋谷タワーレコードで手に入れたアルバム。

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ナターシャ・ヴェリコヴィッチ(Nataša Veljković)のピアノ、パヴェル・ドレジャル(Pavel Doležal)の指揮によるカメラータ・ヤナーチェク(Camerata Janáček)の演奏でハイドンのピアノ協奏曲3曲(Hob.XVIII:11、XVIII:4、XVIII:3)を収めたアルバム。収録は2009年5月、チェコ東部、ポーランド国境近くのオストラヴァ(Ostrava)のフィルハーモニーホールでのセッション録音。レーベルは私の好きなマーキュリーが輸入しているGramola Wienna。
ピアニストのヴェリコヴィッチは現セルビア、旧ユーゴスラビアのベオグラード生まれ。幼少の頃からピアノを学び、ベオグラードで音楽を学んだ後、ウィーン音楽大学に入りパウル=バドゥラ・スコダに師事。その後ニューヨークのジュリアード音楽院、ジュネーヴ音楽院で学んだ後、スイスのヴェヴェイでのクララ・ハスキルコンクールなど各地のコンクールで優勝し、中東欧圏などを中心に活躍している人。現在はウィーン音楽大学教授。リリースしているアルバムはそれほど多くはありません。本人のサイトがありましたのでいつものようにリンクを張っておきましょう。
Nataša Veljkovićオフィシャルサイト(独・英文)
ついでにオーケストラの情報も。カメラータ・ヤナーチェクはこのアルバムが録音されたチェコのオストラヴァを拠点とするヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団の弦楽器奏者13人によって1998年に設立された室内アンサンブル。コンサートマスターはこのアルバムの指揮も務めているドレジャルが担当。
このアルバムの演奏は、昨日取り上げたユロフスキの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」と同様、新世代のハイドンの演奏と感じさせる素晴らしいもの。
ピアノ協奏曲(Hob.XVIII:11-1784年作曲)
小編成の現代楽器オケによる疾走するような入り。ピアノが序奏にも加わりチェンバロのような装飾音を加えます。ピアノは楽器全体を鳴らすというよりは高音域をインテンポでクイックに弾いていくような入り。ピアノの音がスタインウェイのような豪華な響きではなく、とくに高音域に独特の共振音がある不思議な音。ライナーノーツをみたらスタインウェイなんですが、調律のせいでしょうか。録音は最新のものらしく鮮明で残響は少なめ故実体感は十分。相対的にピアノの迫力で聴かせる録音。オケはピリオド・アプローチっぽく透明な響き。小編成オケ故厚みはなく鮮度で聴かせるもの。リズム感は抜群で聴いていて痛快。ピアノも細かなデュナーミクをしっかりつけて聴き応え十分。パーヴォ・ヤルヴィのベートーヴェンの交響曲の面白さと共通するスリリングな演奏。
2楽章はさっぱりと速めのテンポで入ります。ちょっと無骨に聴こえるような節もありますが、こぎれいに聴かせようというよりざっくりフレーズをとらえて弾いていこうということでしょう。ピアノの素朴な美しさを満喫できる楽章。
3楽章はキレたピアノとこちらもキレたオケの掛け合いの妙味を楽しめます。途中の弦の強奏部分ではタイトなオケの響きの魅力が炸裂。コンパクトな編成ゆえ各奏者の弓さばきまでわかるような鮮明な掛け合い。ヴェリコヴィッチのピアノは良い意味で粗さもあるなかなかのもので、聴き応え十分です。
ピアノ協奏曲(Hob.XVIII:4-1770年頃作曲)
ぐっと遡ってハイドンがエステルハージ家の楽長に就任した時代の作品。リズムの面白さ、シンプルな曲調とヴェリコヴィッチのピアノの相性は前曲よりもいいですね。強弱の変化の面白さ、小編成オケとの一体感溢れる演奏の魅力を楽しめます。最後にぐっと溜めてカデンツァに。カデンツァはパウル=バドゥラ・スコダのもの。ピアノの響きをフルに表現した手の込んだもの。荒々しくも鮮やかに弾いてオケにバトンを渡します。
2楽章は穏やかな表情でハイドンの素朴なメロディーラインを弾いていきますが、時折スタッカートを効かせて変化を付けます。ピアノがメロディーを引っ張りますが叙情に流されずに曲の素朴な情感をうまく表現しており、充実の2楽章。
3楽章は弾むリズムに乗ってオケとピアノの一体感が見事。最後までキレのある演奏で爽やかさも十分。ハイドンが最も充実していたころの曲に載せた機知、リズムの変化、爽やかな曲想を十分に表現していますね。過去の演奏の習慣から解き放たれた新たな解釈の演奏として、素晴らしいものがあります。
ピアノ協奏曲(Hob.XVIII:3-1765年作曲)
最後は3曲中最も早い時期の作品。ハイドンの晴朗な曲調の魅力あふれる生き生きとした曲。基本的に前曲XVIII:4と同様な傾向の演奏。ピアノのキレもオケのキレも十分。ピアノとオケの一体感もみごとです。ピアノが浮かび上がる録音でピアノの存在感も抜群。この曲が最もシンプルだけに演奏の堂々とした迫力で迫る感じがひしひしと伝わります。
2楽章はラルゴ・カンタービレ。好きな楽章です。弦の伴奏にのって延々とピアノが美しいメロディーを弾いていくというシンプルな楽章なんですが、そのメロディの素朴な美しさがハイドンならでは。ヴェリコヴィッチの美しいピアノを満喫。まるでゆりかごの中にいるよう(笑) 磨かれたピアノというよりはすこし荒削りな感じが逆にとってもいい印象。セッション録音ですがライヴのような緊張感もあります。
3楽章のプレストはキレを取り戻して鮮烈なピアノを聴かせます。これまでの曲同様素晴らしいオケとの掛け合いで右進めますが最後はなぜかゆったりと力を抜いて余裕のフィニッシュ。ちょっと意味ありげですね。
ヴェリコヴィッチのハイドンのピアノ協奏曲集、磨き抜かれた名演奏というよりは、最も新しいハイドンの協奏曲像のスナップショットのような演奏。ピアノ自体に荒削りな要素はあるものの、協奏曲の演奏ととしては昨日のユロフスキの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」同様新しい時代の解釈を感じる素晴らしい演奏と感じます。このへんは好みの問題かもしれませんね。従って評価は連日の[+++++]。3曲ともです。
これまでピアノ協奏曲はいろいろ聴いていますが、伝統的なスタイルの演奏、古楽器での演奏それぞれ良い演奏があります。この演奏は現代楽器の小編成オケでクッキリしたラインを明確にしながら聴き応えのある音楽性をともなった素晴らしい演奏として、多くの人に聴いていただきたいアルバムですね。
昨日より原発の方も決死の放水作業が続けられぎりぎりの線での鎮静化策が打たれいます。消防署の担当の方の会見は胸を打つものがありましたね。プロとしての役割と家族を守る立場。自然災害は避けられないものですが、原発のリスク管理にはもしかしたら穴があったのかもしれません。ただし起きてしまったものには対処しなくてはなりません。対策にあたられるすべての人の勇気に我々は支えられていることを知らなくてはなりませんね。作業にあたられる方の無事、健康被害がありませんよう、心より祈っております。
ブログはなるべく普段通りつづけようと思います。読まれる方が多いブログではありませんが、普段の生活をちゃんと続けることも大切かもしれませんね。

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ナターシャ・ヴェリコヴィッチ(Nataša Veljković)のピアノ、パヴェル・ドレジャル(Pavel Doležal)の指揮によるカメラータ・ヤナーチェク(Camerata Janáček)の演奏でハイドンのピアノ協奏曲3曲(Hob.XVIII:11、XVIII:4、XVIII:3)を収めたアルバム。収録は2009年5月、チェコ東部、ポーランド国境近くのオストラヴァ(Ostrava)のフィルハーモニーホールでのセッション録音。レーベルは私の好きなマーキュリーが輸入しているGramola Wienna。
ピアニストのヴェリコヴィッチは現セルビア、旧ユーゴスラビアのベオグラード生まれ。幼少の頃からピアノを学び、ベオグラードで音楽を学んだ後、ウィーン音楽大学に入りパウル=バドゥラ・スコダに師事。その後ニューヨークのジュリアード音楽院、ジュネーヴ音楽院で学んだ後、スイスのヴェヴェイでのクララ・ハスキルコンクールなど各地のコンクールで優勝し、中東欧圏などを中心に活躍している人。現在はウィーン音楽大学教授。リリースしているアルバムはそれほど多くはありません。本人のサイトがありましたのでいつものようにリンクを張っておきましょう。
Nataša Veljkovićオフィシャルサイト(独・英文)
ついでにオーケストラの情報も。カメラータ・ヤナーチェクはこのアルバムが録音されたチェコのオストラヴァを拠点とするヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団の弦楽器奏者13人によって1998年に設立された室内アンサンブル。コンサートマスターはこのアルバムの指揮も務めているドレジャルが担当。
このアルバムの演奏は、昨日取り上げたユロフスキの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」と同様、新世代のハイドンの演奏と感じさせる素晴らしいもの。
ピアノ協奏曲(Hob.XVIII:11-1784年作曲)
小編成の現代楽器オケによる疾走するような入り。ピアノが序奏にも加わりチェンバロのような装飾音を加えます。ピアノは楽器全体を鳴らすというよりは高音域をインテンポでクイックに弾いていくような入り。ピアノの音がスタインウェイのような豪華な響きではなく、とくに高音域に独特の共振音がある不思議な音。ライナーノーツをみたらスタインウェイなんですが、調律のせいでしょうか。録音は最新のものらしく鮮明で残響は少なめ故実体感は十分。相対的にピアノの迫力で聴かせる録音。オケはピリオド・アプローチっぽく透明な響き。小編成オケ故厚みはなく鮮度で聴かせるもの。リズム感は抜群で聴いていて痛快。ピアノも細かなデュナーミクをしっかりつけて聴き応え十分。パーヴォ・ヤルヴィのベートーヴェンの交響曲の面白さと共通するスリリングな演奏。
2楽章はさっぱりと速めのテンポで入ります。ちょっと無骨に聴こえるような節もありますが、こぎれいに聴かせようというよりざっくりフレーズをとらえて弾いていこうということでしょう。ピアノの素朴な美しさを満喫できる楽章。
3楽章はキレたピアノとこちらもキレたオケの掛け合いの妙味を楽しめます。途中の弦の強奏部分ではタイトなオケの響きの魅力が炸裂。コンパクトな編成ゆえ各奏者の弓さばきまでわかるような鮮明な掛け合い。ヴェリコヴィッチのピアノは良い意味で粗さもあるなかなかのもので、聴き応え十分です。
ピアノ協奏曲(Hob.XVIII:4-1770年頃作曲)
ぐっと遡ってハイドンがエステルハージ家の楽長に就任した時代の作品。リズムの面白さ、シンプルな曲調とヴェリコヴィッチのピアノの相性は前曲よりもいいですね。強弱の変化の面白さ、小編成オケとの一体感溢れる演奏の魅力を楽しめます。最後にぐっと溜めてカデンツァに。カデンツァはパウル=バドゥラ・スコダのもの。ピアノの響きをフルに表現した手の込んだもの。荒々しくも鮮やかに弾いてオケにバトンを渡します。
2楽章は穏やかな表情でハイドンの素朴なメロディーラインを弾いていきますが、時折スタッカートを効かせて変化を付けます。ピアノがメロディーを引っ張りますが叙情に流されずに曲の素朴な情感をうまく表現しており、充実の2楽章。
3楽章は弾むリズムに乗ってオケとピアノの一体感が見事。最後までキレのある演奏で爽やかさも十分。ハイドンが最も充実していたころの曲に載せた機知、リズムの変化、爽やかな曲想を十分に表現していますね。過去の演奏の習慣から解き放たれた新たな解釈の演奏として、素晴らしいものがあります。
ピアノ協奏曲(Hob.XVIII:3-1765年作曲)
最後は3曲中最も早い時期の作品。ハイドンの晴朗な曲調の魅力あふれる生き生きとした曲。基本的に前曲XVIII:4と同様な傾向の演奏。ピアノのキレもオケのキレも十分。ピアノとオケの一体感もみごとです。ピアノが浮かび上がる録音でピアノの存在感も抜群。この曲が最もシンプルだけに演奏の堂々とした迫力で迫る感じがひしひしと伝わります。
2楽章はラルゴ・カンタービレ。好きな楽章です。弦の伴奏にのって延々とピアノが美しいメロディーを弾いていくというシンプルな楽章なんですが、そのメロディの素朴な美しさがハイドンならでは。ヴェリコヴィッチの美しいピアノを満喫。まるでゆりかごの中にいるよう(笑) 磨かれたピアノというよりはすこし荒削りな感じが逆にとってもいい印象。セッション録音ですがライヴのような緊張感もあります。
3楽章のプレストはキレを取り戻して鮮烈なピアノを聴かせます。これまでの曲同様素晴らしいオケとの掛け合いで右進めますが最後はなぜかゆったりと力を抜いて余裕のフィニッシュ。ちょっと意味ありげですね。
ヴェリコヴィッチのハイドンのピアノ協奏曲集、磨き抜かれた名演奏というよりは、最も新しいハイドンの協奏曲像のスナップショットのような演奏。ピアノ自体に荒削りな要素はあるものの、協奏曲の演奏ととしては昨日のユロフスキの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」同様新しい時代の解釈を感じる素晴らしい演奏と感じます。このへんは好みの問題かもしれませんね。従って評価は連日の[+++++]。3曲ともです。
これまでピアノ協奏曲はいろいろ聴いていますが、伝統的なスタイルの演奏、古楽器での演奏それぞれ良い演奏があります。この演奏は現代楽器の小編成オケでクッキリしたラインを明確にしながら聴き応えのある音楽性をともなった素晴らしい演奏として、多くの人に聴いていただきたいアルバムですね。
昨日より原発の方も決死の放水作業が続けられぎりぎりの線での鎮静化策が打たれいます。消防署の担当の方の会見は胸を打つものがありましたね。プロとしての役割と家族を守る立場。自然災害は避けられないものですが、原発のリスク管理にはもしかしたら穴があったのかもしれません。ただし起きてしまったものには対処しなくてはなりません。対策にあたられるすべての人の勇気に我々は支えられていることを知らなくてはなりませんね。作業にあたられる方の無事、健康被害がありませんよう、心より祈っております。
ブログはなるべく普段通りつづけようと思います。読まれる方が多いブログではありませんが、普段の生活をちゃんと続けることも大切かもしれませんね。
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