フィッシャー=ディースカウフル登場、マリナー/ASMFの天地創造
昨日はお休みで更新意欲満々でしたが、大家さんであるFC2のサーバーダウンで更新作業が出来ませんでした。気を取り直して今日は大物。
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サー・ネヴィル・マリナー(Sir Neville Marriner)指揮のアカデミー室内管弦楽団と合唱団(Chorus & Academy of St Martin in the fields)によるハイドンのオラトリオ「天地創造」。ソロはガブリエル/エヴァがエディト・マティス!(Edith Mathis)、ウリエルがアルド・バルディン(Aldo Baldin)、ラファエル/アダムがディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ!(Dietrich Fisher-Dieskau)、最終曲のメゾがキャサリーン・デンレイ(Catherine Denly)。録音はPマークが1980年ということで、その数年前と想像されます。最近の廉価盤には録音年やロケーションの表記がないものも多くて困ります。廉価といっても基本的な情報を書いてもらいたいものですね。どなたかオリジナル盤などをお持ちで、録音年月日やロケーションがわかる方がいらっしゃったらコメントいただけると助かります。
聴き所はもちろん、フィッシャー=ディースカウのラファエル/アダム、そしてマリナーのコントロールするオケといったところでしょう。調べてみるとマティスは天地創造をいろいろなアルバムで歌っているんですが、フィッシャー=ディースカウはこのアルバムの他にはカラヤンのDGのセッション録音でアダムを歌っているのみ。第一部から第三部までフル出場するのはこのアルバムが唯一のものとなります。(手持ちの51種の録音を対象)
マリナーはこのアルバムの後にEMIからシュトゥットガルト放送交響楽団との天地創造も録音しています。今回両方手に入れたんですが、聴き比べたところ、旧盤であるこちらの方の出来が良く聴こえましたのでこちらを取り上げた次第。新盤はバーバラ・ボニーのガブリエル/エバの歌唱が素晴らしいものの、マリナーのコントロールが少し浮き足立つような部分があり、旧盤のじっくり落ち着いたコントロールに分があると思います。
ついでにマリナーの振ったハイドンの曲について以前のレビューのリンクを張っておきましょう。
ハイドン音盤倉庫:リン・ハレルのチェロ協奏曲集
ハイドン音盤倉庫:マリナー/ドレスデン・シュターツカペレの戦時のミサ
マリナーの演奏スタイルは、ASMFとのモーツァルトの演奏に見られる愉悦感が満ちたような演奏と、上のリンクのドレスデン・シュターツカペレを振った時の分厚いオケの迫力ある演奏とスタイルをいくつか持っているように感じます。どちらにしてもクッキリとフレーズを浮かび上がらせ、わかりやすく曲を流れをコントロールするという特徴がマリナーならではというところでしょう。
第1曲のはじまりは、不気味な影を落とす和音と糸を引くようにつづく弦と木管。マリナーはゆったりしたテンポで弱音部のフレーズを丹念に表情づけして進めます。最後の大爆発までコーラスも含めて静寂を印象づけて、室内管弦楽団ながら素晴らしい迫力の大爆発。
第2曲のウリエルのアリア。テンポが普通にもどってマリナーらしいキレの良いフレージングに乗ってウリエルが歌います。ウリエルのバルディンはオペラ向きな表情豊かな声。ヴァイオリンのキレがフレーズをクッキリと浮かび上がらせます。
第3曲はラファエルであるフィッシャー=ディースカウの聴き慣れた声によるレチタティーヴォ。フィッシャー=ディースカウの明晰なドイツ語と体に響くその余韻。雰囲気は一気に締まりますね。
第4曲でガブリエル、エディト・マティスの登場。マティスらしい芯のしっかりした可憐な声。
第5曲から第6曲までラファエルのレシタチィーボからアリア。圧巻はフィッシャー=ディースカウのアリア。明晰さとテンポ感、完璧なコントロールで素晴らしい存在感。歌手一人で曲を完全に支配してしまったような圧倒的な迫力。マリナーもそれに応えてオケの手綱を一気に引き締めます。
第7曲から第8曲は、第1部のハイライト、ガブリエルのレチタティーヴォとアリアです。マティスの艶やかな伸びのある声が心に響きますね。カラヤン盤のヤノヴィッツ、先日とり上げたマルケヴィチ盤のゼーフリートが印象に残ってますが、このマリナー盤のマティスの艶やかさも捨て難いですね。他の盤でのマティスが今ひとつピンとこなかったんですが、このアリアはいいですね。
第9曲から第10曲は短いウリエルのレシタティーボと合唱。良く聴くとウリエル役のバルディンも良く通る艶やかな声。次第に存在感を増してきています。素晴らしいのが純度の高い合唱の響き。フレーズにアクセントがきっちりついており合唱指揮のヘルタイの面目躍如ですね。素晴らしい迫力。
そして第一部のクライマックスに至る第11曲から13曲まで。とくに第12曲の始まりの神々しさは鳥肌ものの迫力。フレーズをクッキリ描くのはマリナー流ですが、第一部の終曲に至り、リズムをカッチリ決めて推進力溢れる進行。3人のソロの重唱が続きますが、そこでもフィッシャー=ディースカウの存在感が目立っています。最後はちょっとギアチェンジしてテンポを上げでクライマックスを目指します。速いテンポとキレたオケ、分厚い合唱が渾然一体となった素晴らしいクライマックス!
これは名盤の予感です。第二部以降は記事を分けます。
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サー・ネヴィル・マリナー(Sir Neville Marriner)指揮のアカデミー室内管弦楽団と合唱団(Chorus & Academy of St Martin in the fields)によるハイドンのオラトリオ「天地創造」。ソロはガブリエル/エヴァがエディト・マティス!(Edith Mathis)、ウリエルがアルド・バルディン(Aldo Baldin)、ラファエル/アダムがディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ!(Dietrich Fisher-Dieskau)、最終曲のメゾがキャサリーン・デンレイ(Catherine Denly)。録音はPマークが1980年ということで、その数年前と想像されます。最近の廉価盤には録音年やロケーションの表記がないものも多くて困ります。廉価といっても基本的な情報を書いてもらいたいものですね。どなたかオリジナル盤などをお持ちで、録音年月日やロケーションがわかる方がいらっしゃったらコメントいただけると助かります。
聴き所はもちろん、フィッシャー=ディースカウのラファエル/アダム、そしてマリナーのコントロールするオケといったところでしょう。調べてみるとマティスは天地創造をいろいろなアルバムで歌っているんですが、フィッシャー=ディースカウはこのアルバムの他にはカラヤンのDGのセッション録音でアダムを歌っているのみ。第一部から第三部までフル出場するのはこのアルバムが唯一のものとなります。(手持ちの51種の録音を対象)
マリナーはこのアルバムの後にEMIからシュトゥットガルト放送交響楽団との天地創造も録音しています。今回両方手に入れたんですが、聴き比べたところ、旧盤であるこちらの方の出来が良く聴こえましたのでこちらを取り上げた次第。新盤はバーバラ・ボニーのガブリエル/エバの歌唱が素晴らしいものの、マリナーのコントロールが少し浮き足立つような部分があり、旧盤のじっくり落ち着いたコントロールに分があると思います。
ついでにマリナーの振ったハイドンの曲について以前のレビューのリンクを張っておきましょう。
ハイドン音盤倉庫:リン・ハレルのチェロ協奏曲集
ハイドン音盤倉庫:マリナー/ドレスデン・シュターツカペレの戦時のミサ
マリナーの演奏スタイルは、ASMFとのモーツァルトの演奏に見られる愉悦感が満ちたような演奏と、上のリンクのドレスデン・シュターツカペレを振った時の分厚いオケの迫力ある演奏とスタイルをいくつか持っているように感じます。どちらにしてもクッキリとフレーズを浮かび上がらせ、わかりやすく曲を流れをコントロールするという特徴がマリナーならではというところでしょう。
第1曲のはじまりは、不気味な影を落とす和音と糸を引くようにつづく弦と木管。マリナーはゆったりしたテンポで弱音部のフレーズを丹念に表情づけして進めます。最後の大爆発までコーラスも含めて静寂を印象づけて、室内管弦楽団ながら素晴らしい迫力の大爆発。
第2曲のウリエルのアリア。テンポが普通にもどってマリナーらしいキレの良いフレージングに乗ってウリエルが歌います。ウリエルのバルディンはオペラ向きな表情豊かな声。ヴァイオリンのキレがフレーズをクッキリと浮かび上がらせます。
第3曲はラファエルであるフィッシャー=ディースカウの聴き慣れた声によるレチタティーヴォ。フィッシャー=ディースカウの明晰なドイツ語と体に響くその余韻。雰囲気は一気に締まりますね。
第4曲でガブリエル、エディト・マティスの登場。マティスらしい芯のしっかりした可憐な声。
第5曲から第6曲までラファエルのレシタチィーボからアリア。圧巻はフィッシャー=ディースカウのアリア。明晰さとテンポ感、完璧なコントロールで素晴らしい存在感。歌手一人で曲を完全に支配してしまったような圧倒的な迫力。マリナーもそれに応えてオケの手綱を一気に引き締めます。
第7曲から第8曲は、第1部のハイライト、ガブリエルのレチタティーヴォとアリアです。マティスの艶やかな伸びのある声が心に響きますね。カラヤン盤のヤノヴィッツ、先日とり上げたマルケヴィチ盤のゼーフリートが印象に残ってますが、このマリナー盤のマティスの艶やかさも捨て難いですね。他の盤でのマティスが今ひとつピンとこなかったんですが、このアリアはいいですね。
第9曲から第10曲は短いウリエルのレシタティーボと合唱。良く聴くとウリエル役のバルディンも良く通る艶やかな声。次第に存在感を増してきています。素晴らしいのが純度の高い合唱の響き。フレーズにアクセントがきっちりついており合唱指揮のヘルタイの面目躍如ですね。素晴らしい迫力。
そして第一部のクライマックスに至る第11曲から13曲まで。とくに第12曲の始まりの神々しさは鳥肌ものの迫力。フレーズをクッキリ描くのはマリナー流ですが、第一部の終曲に至り、リズムをカッチリ決めて推進力溢れる進行。3人のソロの重唱が続きますが、そこでもフィッシャー=ディースカウの存在感が目立っています。最後はちょっとギアチェンジしてテンポを上げでクライマックスを目指します。速いテンポとキレたオケ、分厚い合唱が渾然一体となった素晴らしいクライマックス!
これは名盤の予感です。第二部以降は記事を分けます。
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