作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

カテリーネ・ゴルデラーゼのピアノソナタ集

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今日はピアノソナタの珍しいアルバムを。

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カテリーネ・ゴルデラーゼ(Catherine Gordeladze)の弾くハイドンのピアノソナタ集。収録曲目は収録順にピアノソナタXVI:6(1950年代作曲)、VI:37(1780年頃)、VI:30(1776年)、VI:46(1767年~70年)、VI:52(1794年)の5曲。収録は2007年2月24日から26日。レーベルはドイツのARS MUSICI。このアルバムを選んだのは昨夜ちょっと手に取ったら録音日がちょうど4年前の今日ということで。こうゆうこともあるんですね。

彫りの深い容姿とちょっと濃いめのお化粧をしたピアニスト然とした姿の写真をインパクトのあるジャケット。先日ディスクユニオンの店頭で、一目でコレクションにないアルバムと判明したため入手。これまで見知らぬ演奏家の見知らぬアルバムでも素晴らしい演奏と出会うこともたびたびあるため、CDプレイヤーにかけて最初の音をだすまで、緊張が走ります。この緊張感がたまりません。

レビューに入る前に、奏者のことを調べます。ネットに本人のサイトがありましたのでリンクを張っておきましょう。

Catherine Gordeladzeのウェブサイト(ドイツ語、英語)

最初はジョージア州出身と読んだんですが、よく読むとグルジアのトビリシ出身。黒海とカスピ海の間の国。グルジアと言えば力士の黒海や臥牙丸、栃ノ心で日本に親しまれていますね。現在はドイツに住んで活躍しているようです。ソロピアニストとして、そして室内楽の奏者としてドイツなどで知られているそうです。ピアノはアレクシス・ワイゼンベルクに師事し、現在はフランクフルトの大学での講座も持っているようですね。おそらく日本ではあまり知られた存在ではないでしょう。

ゴルデラーゼ演奏は非常にキレの良いピアノのオーソドックスなもの。ハイドンのソナタの模範的な演奏として安心して聴けるもの。非常にクリアな指使いでメロディーラインをクッキリ浮かび上がらせ、感情表現は控えめながら楽譜に書かれた音符を克明に音楽にしていくような演奏。音ではなく音楽といったのは、音楽性もそこそこあり、シンプルな表現ながら楽しめる演奏となっています。

1曲目のXVI:6はかなり初期の作品。シンプルな曲想をテンポよくクッキリと弾いていきます。晴朗感、弾む感じが曲想にあっていて良い演奏。1楽章、2楽章は若干平板な印象もありますが、3楽章のアダージョはすこしリラックス度があがり、情感が深くなります。なかなか良い演奏。終楽章ふたたびクリアな音響。

2曲目は名曲XVI:37。全曲のアダージョが良かっただけに、有名な2楽章のラルゴの情感は期待できそうですね。1楽章は前曲の速い楽章にすこし固さが見られたのとは変わり、メリハリと変化もついてなかなかいい感じ。元々右手の輝き感は美しいだけに、この曲の特徴的なメロディーをクッキリ浮かび上がらせて、なかなかいい感じです。1楽章の後半に不思議なアクセントをつけてちょっとトランス状態に入りそうな規則的なアクセントの繰り返し。面白い解釈です。期待の2楽章。クッキリとしながらゆったりとして期待通りの美しさ。抑えた部分もクッキリしながら音量を落とせるので変化の幅もいいですね。フィナーレも右手の輝きでクリアな響き。この人の演奏は色っぽい感じはしないんですが、健康的な響きの中にほのかなおしろいの香りのような優美さが感じられるというの特徴ですね。

3曲目のXVI:30、4曲目のXVI:46も基本的に同様の傾向の演奏ということで、ちょっと割愛。

最後の大曲XVI:52。これまでの曲とはスケール感の表現要求が一段階変わります。1楽章はこれまでの曲よりも起伏をつけているように感じます。聴き進めていくうちにちょっと感じたのが師であるワイゼンベルクの影響。すべての指の音をクリアに響かせるワイゼンベルクの音の特徴がゴルデラーゼの弾くピアノの特徴にもなっているように感じます。音色の特徴は感じるものの、曲のスケール感を表現するにはフレージングが若干平板な印象を与えてしまうのも正直なところ。2楽章のアダージョは持ち前の呼吸の良さが活きて良い演奏。フィナーレもアダージョの良い流れを受け継いで程よい流れ。

このアルバムの評価はXVI:6とXVI:52が[+++]、その他の曲が[++++]としました。全体にクッキリした響きとキレの良さが、そしてゆったりした部分にはうっすらと良い詩情を伴う演奏ですが、曲のメリハリと言うか、特に速い楽章のフレージングが若干単調さを感じさせるところがあり、そのあたりの音楽性が豊かになってくると評価も上がるのではないかと思います。
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