作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

シューリヒト/ウィーンフィル1956年のモーツァルトライヴ

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今週の仕事もようやく終わりました。今日は前記事、前々記事とシューリヒトのロンドンを取り上げた勢いで、シューリヒトの好きなアルバムを取り上げます。

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1956年といえばモーツァルト生誕200年のアニヴァーサリー。ザルツブルクのモーツァルテウムで行われたモーツァルト週間のコンサートを収めたアルバム。オケはウィーンフィル!、録音は1956年1月26日モーツァルテウムの大ホールにて。収録曲目はモーツァルトの交響曲23番KV181(162b)、ピアノ協奏曲22番KV482(独奏:タチアナ・ニコラーエワ)、交響曲35番「ハフナー」KV385の3曲。レーベルはINTERNATIONALE MOZARTEUM STIFTUNG MOZUARTEUM SALZBURG(国際モーツァルテウム基金ザルツブルク)。センスのいいジャケットが印象的なアルバム。

このアルバムを手に入れたのは10年以上前。シューリヒトの凄さを思い知ったアルバムで、これ以降シューリヒトの演奏をいろいろ集めはじめたという思い出のアルバム。

今日はこの中から冒頭に収められた大好きなモーツァルトの交響曲23番を取り上げます。

いつもの大宮真琴さんの「新版ハイドン」と同じシリーズの海老沢敏さんの「モーツァルト改訂」を紐解くと、この交響曲23番は1773年にザルツブルクで作曲したもの。1773年といえばハイドンは41歳、エステルハージ家の楽長に就任し7年目と円熟期で、マリア・テレジアがエステルハーザを訪れた年。一方のモーツァルトは17歳。以前のイタリア旅行の際に依頼されていた「ルーチョ・シッラ」の初演のためにミラノを目的地とした3回目のイタリア旅行。この直後にザルツブルクでこの曲を書いたとのこと。

曲は鮮烈な響きから、スリリングな展開で主題に入る、天真爛漫なモーツァルトらしい1楽章から始まる曲。この曲は意外と名演奏が少なく、曲の本質を捉えた演奏にはあまりお目にかかれませんが、シューリヒトの演奏は曲のイメージにピタリとハマるテンポ、フレージング、粗さ。テンポも比較的自由度が高いですが、何といってもいいのは筆の勢いに溢れた草書の書のような風流な風情。しかもテンポを自在にゆらし、継ぎ目なく演奏される3楽章のこの小交響曲に非常に味わい深い印象を残していること。最初に聴いたときには、何と可憐なフレージングかと何度も聴き入ったものです。曲が始まってからフィナーレまで10分程度の小曲ですが、モーツァルトの玉が転がるような名旋律と深い闇をも垣間見せる情感、そして器楽の醍醐味を聴かせる快速なフィナーレまで一気に聴かせます。

1956年、そしてザルツブルクでの演奏という記念性、そしてウィーンフィルという素晴らしい組み合わせがこの日の感動を約束したようなコンサートの記録として、掛け替えのない価値をもつアルバムと言えるでしょう。

録音も鮮明さはほどほどながら、聴きやすい良い録音。拍手も演奏を盛り上げます。

今週もハードな一週間でしたが、最後にシューリヒトの名演奏をゆったりと楽しむ余裕くらいはとれました。平日更新できなかった分、週末には何枚か取り上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
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