作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

モンドロシキェヴィツ/パウル・グルダのヴァイオリンソナタ

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今日はピアノ三重奏曲つながりで、また良いアルバムが見つかりました。

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HMV ONLINEicon / amazon

ヨアンナ・モンドロシキェヴィツ(Joanna Mądroszkiewicz)のヴァイオリン、パウル・グルダ(Paul Gulda)のピアノによる、ウィーンにゆかりのある3人の作曲家のヴァイオリンソナタを集めたアルバム。ハイドンはピアノ三重奏曲を編曲したヴァイオリンソナタ1曲、そしてウィーン生まれの現代の作曲家、エゴン・ヴェレスのヴァイオリンとピアノための曲4曲、最後にベートーヴェンのバイオリンソナタ4番の6曲を収めたもの。2007年2月14日、ウィーンのORF放送大ホールでのライヴ収録。レーベルはハイドンの良い録音の多いオーストリアのgramolaで、gramolaといえばマーキュリーが丁寧な解説をつけて国内にリリースしているんですが、手に入れたのは残念ながら輸入盤。

このアルバムのポイントは2点。

まずは奏者ですが、ピアニストのパウル・グルダは、あのフリードリヒ・グルダの長男とのこと。アルバムもいろいろでているようですが、私ははじめて聴きます。フリードリヒ・グルダはクラシックの枠にはまらないレパートリーの広さ、磨き抜かれた美音、そして抜群の鮮やかなタッチで好きなピアニストだけに息子にも期待がふくらみます。息子のパウルは1961年生まれで、ローラント・バティックやルドルフ・ゼルキンに師事。
ヴァイオリンのヨアンナ・モンドロシキェヴィツ方は、ポーランド生まれの女流ヴァイオリニスト。このアルバムを最初にかけた時、狂気を感じるほどの覚醒とゆったりとした美音。これはどこかで聴いたことがあると脳をフル回転して思い起こすとグリュミオーの美音とそっくりなんです。ライナーノーツに慌てて目を通すとやはりベルギーでグリュミオーに師事していたんですね。これほどまでにグリュミオーと似た音を出す人ははじめて聴きます。とりわけバッハのヴァイオリン独奏曲に興味をもち全曲を録音したそうです。この音色でのバッハも是非聴いてみたいですね。本人のサイトがありましたのでリンクを張っておきましょう。

Joanna Mądroszkiewiczのサイト(英文あり)

もう1点はハイドンのヴァイオリンソナタという珍しい曲。ライナーノーツによれば、1803年にエステルハージ家の皇太子から音楽好きの妻のためにピアノソナタの作曲を依頼され、既に作曲自体をほとんどしなくなっていた71歳という老年のハイドンは1795年に作曲されたピアノ三重奏曲(XV:31)もとにヴァイオリンとピアノのための曲に編曲したというもの。いつもの大宮真琴さんの「新版ハイドン」によれば、ハイドンは1803年に弦楽四重奏曲(III:83)を最後に創作活動を終え、その後は編曲や改訂などの作業をしながら余生を送ったとのことで、ハイドン最高潮の時期の作品を最晩年にアレンジした作品ということです。

さて、肝心な演奏ですが、グルダとグリュミオーの霊気が乗り移ったような演奏と言えばよいでしょうか。ハイドンのヴァイオリンソナタの演奏を通じて二人の魂が降りてきているようですね。

1楽章のアンダンテ・カンタービレはヴァイオリンの中低音部の痺れるような音色が、光り輝くピアノの美しくゆったりとした伴奏にのって絶妙の音楽。ライヴらしからぬ素晴らしい録音でリアリティも抜群。ヴァイオリンの音色は極上ですね。良い楽器を使っているんでしょうね。ピアノも父親譲りのタッチの軽さと右手の輝き感が素晴らしいですが、エキセントリックなほどのキレをみせる父親とは異なり、端正さを感じるフレージング。非常にゆったりと進む音楽。
2楽章はアレグロ。ピアノのディユナーミクの付け方が洗練されて音楽的な充実度が高いですね。軽さも適度な力感もあり、速いパッセージをさらりとこなしながら大きなメリハリをつけていくあたり、かなりの実力ですね。ヴァイオリンとの息もぴったりで、素晴らしい掛け合いです。ライヴですが拍手はありません。

ハイドンの響きがさめやらぬなか、エゴン・ヴェレスの峻厳な音響のソナタに突入。こちらも磨き込まれた美音による素晴らしい演奏。時代を超えてウィーンという街に流れる音楽のパースペクティヴを表現する好企画。なかなか良い選曲です。ヴェレスとベートーヴェンもハイドンと同様素晴らしい演奏です。

ハイドンの評価はもちろん[+++++]です。グリュミオーとグルダの演奏を聴いているような気にさせる絶妙の演奏ということで、室内楽好きなかたにはおすすめ盤です。

今週も忙しかったので毎日更新はままなりませんでした。今日はゆっくりできそうですので、スポーツクラブで泳いだらもう一組ぐらいレビューしたいと思います。そろそろ花粉が舞い始める季節となりましたね。花粉症の皆さんには辛い季節となりますが、お互いに辛い季節を励まし合って乗り切りましょう(笑)
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