カラヤン/ベルリンフィルのロンドン旧録

今日はメジャーどころです。twitterでカラヤンのロンドンがちょっと話題になっていたのを見て、カラヤンのロンドンで取り上げていないEMI盤を取り上げようと思った次第。

KarajanEMIold2.jpg

こちらが手元のアルバム。EMIの初期のCDの廉価盤シリーズ。このデザインのCDはもう見なくなりましたね。

KarajanEMIcurrent.jpg
HMV ONLINEicon / amazon

こちらは現行盤。現行盤は国内盤でHi Quality CDのようですので、手持ちのアルバムより音質面ですぐれているかもしれません。手持ちのものも音が悪いと言うレベルではありません。

ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan)指揮のベルリンフィルの演奏でハイドンの交響曲83番「雌鶏」、101番「時計」、104番「ロンドン」を収めたアルバム。今日は時間の関係で恐縮ですが、このなかからロンドンのみ取り上げます。後年のDeutsche Grammophoneの録音と同様ベルリンフィルの演奏ですが、こちらは1975年1月、12月にベルリン・フィルハーモニーでのセッション録音。

カラヤン自体はきらいではないため、これまで交響曲の演奏についていろいろ取り上げてきています。

2010/02/10 : ハイドン–交響曲 : カラヤンのハイドン再考
2010/12/16 : ハイドン–交響曲 : カラヤン/ウィーフィルの太鼓連打
2011/01/18 : ハイドン–交響曲 : カラヤン/ウィーフィルのロンドン

カラヤンのハイドンの名演はと聞かれれば、Deutsche Grammophoneの天地創造の素晴らしい録音について触れない訳にはいきません。天地創造もいろいろ取り上げました。

2010/05/22 : ハイドン–オラトリオ : カラヤンの天地創造比較1
2010/05/22 : ハイドン–オラトリオ : カラヤンの天地創造比較2
2010/05/22 : ハイドン–オラトリオ : カラヤンの天地創造比較3

これらの演奏から見えてきているのは、カラヤンの演奏は晩年になるほど、カラヤンの磨き抜かれた人工的な感触が強くなってくるというもの。今回取り上げる75年の演奏は、時期としては既に晩年のレガートを効かせたスタイルの萌芽がみられる演奏ですが、晩年の行き過ぎたカラヤンスタイルの弱点を感じる寸前の演奏といって良いでしょう。

1楽章の入りはベルリンフィルの分厚い音響が印象的。これ以上堂々とした演奏が難しいほどに覇気にあふれた響き。序奏は壮大さに溢れてます。主題に入ると巨大な音塊が転がり出すような迫力ある展開。抑えた部分のデリケートさと音塊の噴出の繰り返しのような1楽章。ただ、リズムのキレが若干重く最近多く見られる鮮烈なキレをみせる演奏と比べると若干スタイルに古さを感じさせるのも正直なところ。
2楽章はカラヤンの演出の巧さを素直に味わえる楽章。曲全体を構造的にとらえ、楽章間の対比を巧みに表すところはカラヤンの真骨頂。穏やかなアンダンテの優しい表情の中、盛り上がる部分の堂々としたダンディズムは流石。レガートを効かせた分厚いベルリンフィルの弦セクションがゆったりと安定したテンポで描くメロディーは大きな視点でのメリハリが見事。
3楽章は2楽章がゆったり目のテンポに感じたのに対し、少し速めに感じるテンポ設定でスピード感で聴かせるメヌエット。颯爽としたメヌエットと言った趣。
4楽章はベルリンフィルの音響の迫力を味わえる楽章。精度はほどほどながら特に低音弦の唸るような迫力ある音響はカラヤン時代のベルリンフィルの魅力のひとつ。ハイドンの交響曲をこれほどまでに堂々とした大理石の彫像のように仕上げるあたりは、カラヤンだから出来ることでしょう。ただの迫力とは異なり、帝王の余裕と美学を感じさせるところは他の指揮者と一線を画すところですね。

1975年とカラヤンが名声を欲しいままにしていた時代のロンドン。帝王として君臨していたベルリンフィルを自身の美学に合わせて磨き込んだスタイルを徐々にみせていっているように感じます。交響曲を自身の美学に合わせて素晴らしい迫力で聴かせるという部分については、素直に素晴らしいと思います。ただ、この後の同じベルリンフィルとのDeutsche Grammophoneとの録音ではカラヤンのスタイルの弱点も感じさせてしまうところもあるだけに、この演奏はベルリンフィルとのハイドンという意味では、カラヤンの覇気を感じさせる貴重な録音ということができるでしょう。あらためて聴き直して、評価は[+++++]と以前と同様の評価としました。以前とりあげたウィーンフィルとの1959年の演奏に次いでおすすめといったところでしょうか。
関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : ロンドン カラヤン おすすめ盤

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

最新記事
カテゴリ
ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものはリスト冒頭に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

登録曲数:1,365
登録演奏数:11,529
(2019年3月31日)
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

ピアノ協奏曲XVIII:4軍隊ヒストリカル交響曲93番交響曲70番ピアノ協奏曲XVIII:11交響曲80番交響曲81番トランペット協奏曲ヴァイオリンとピアノのための協奏曲XVIII:6悲しみロンドンオックスフォードモーツァルト交響曲4番ヨハン・クリスチャン・バッハピアノソナタXVI:51豚の去勢にゃ8人がかりピアノ三重奏曲十字架上のキリストの最後の七つの言葉スカルラッティヘンデルラモーバッハ驚愕ショスタコーヴィチシェーンベルク弦楽四重奏曲Op.76ドヴォルザークベートーヴェン交響曲75番チェロ協奏曲ホルン協奏曲古楽器時計弦楽四重奏曲Op.50アンダンテと変奏曲XVIII:6弦楽四重奏曲Op.54弦楽四重奏曲Op.64弦楽四重奏曲Op.20天地創造ヴォルフレスピーギヨハン・シュトラウスリヒャルト・シュトラウスタリスリゲティ交響曲10番ピアノソナタXVI:49迂闊者交響曲54番ネルソンミサバリトン三重奏曲トマジーニピアノソナタXVI:52交響曲2番ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:46日の出皇帝弦楽四重奏曲Op.71交響曲88番ブルックナーベルリオーズナッセンベンジャミンウェーベルンメシアンシェルシグリゼーヴァレーズOp.20弦楽四重奏曲交響曲67番交響曲65番交響曲9番交響曲39番狩り交響曲73番交響曲61番リームピアノソナタXVI:6ピアノソナタXVI:20ピアノソナタXVI:48アンダンテと変奏曲XVII:6四季交響曲全集ラヴェルリムスキー・コルサコフピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:44ピアノソナタXVI:45第九太鼓連打交響曲99番ボッケリーニシューベルト交響曲5番ストラヴィンスキーチャイコフスキーライヴ弦楽四重奏曲Op.2序曲ヴィヴァルディオペラ序曲パイジェッロアリア集ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6すみだトリフォニーホールピアノソナタXVI:34ブーレーズサントリーホール弦楽四重奏曲Op.74騎士オルランド無人島哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ変わらぬまことアルミーダチマローザ英語カンツォネッタ集ピアノ協奏曲XVIII:1ピアノ協奏曲XVIII:3交響曲3番ラメンタチオーネアレルヤ交響曲79番チェロ協奏曲1番交響曲27番交響曲19番交響曲58番紀尾井ホールドビュッシーミューザ川崎協奏交響曲オーボエ協奏曲LPヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:38ピアノソナタXVI:29スタバト・マーテルピアノソナタXVI:39マーラー告別交響曲90番交響曲97番交響曲18番奇跡ひばりフルート三重奏曲交響曲102番交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者ミサブレヴィスニコライミサ小オルガンミサ交響曲95番交響曲78番ピアノソナタXVI:23王妃武満徹ライヴ録音SACDマリア・テレジア交響曲21番クラヴィコードBlu-ray東京オペラシティ交響曲11番交響曲12番交響曲15番交響曲37番交響曲1番ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:3ディヴェルティメント東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:35ロッシーニドニぜッティライヒャ弦楽三重奏曲東京文化会館フルート協奏曲弦楽四重奏曲Op.9弦楽四重奏曲Op.17剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ピアノソナタXVI:26ファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:31アレグリバードモンテヴェルディパレストリーナ美人奏者ピアノ協奏曲XVIII:7アコーディオンスコットランド歌曲ヴェルナーガスマンピアノソナタXVI:24交響曲51番交響曲35番交響曲46番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28アリエッタと12の変奏XVII:3ラ・ロクスラーヌ帝国ハイドンのセレナード五度ラルゴラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.1騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス時の移ろい交響曲42番ベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番リュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲チェチーリアミサラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン東京国際フォーラム雌鶏冗談ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2ロンドン・トリオモテットドイツ国歌カノンオフェトリウムよみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難パリセット交響曲84番ベルク主題と6つの変奏オペラアリアピアノソナタXVI:41スクエアピアノ交響曲57番交響曲68番リラ・オルガニザータ協奏曲交響曲50番交響曲89番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲34番交響曲77番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生ピアノソナタXVI:47bisピアノ小品音楽時計曲ピアノソナタXVI:11カートリッジ雅楽プロコフィエフサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲91番交響曲66番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭変奏曲XVII:7ピアノソナタXVI:22天地創造ミサジャズ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場サルヴェ・レジーナテ・デウムカッサシオン室内楽曲ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲62番交響曲108番交響曲107番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲声楽曲カンタータ戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽ピアノソナタ

タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
11 | 2019/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
117位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
11位
アクセスランキングを見る>>
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

大家さんFC2のクラシックブログランキング。

おすすめ(音楽)
当ブログが発掘した超名演盤
ViventeR.jpg
衝撃の爆演(記事1 記事2

PetersenQ.jpg
Op.1の超名演(記事

Destrube.jpg
美音の饗宴(記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック


クラシックの独自企画・復刻盤は要注目


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実
HMVジャパン
HMV & BOOKS ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV & BOOKS ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

おすすめ(音楽以外)






twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ