アンヌ・ケフェレックのピアノソナタ集(ハイドン)

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アンヌ・ケフェレック(Anne Queffélec)の弾くハイドンのピアノソナタ集。収録曲目は収録順にピアノソナタ(XVI:52)、アンダンテと変奏曲(XVII:6)、ピアノソナタ(XVI:34)、ピアノソナタ(XVI:40)の4曲。録音は2001年9月30日、10月1日、スイスのモントルー東方の街、シオンのティボール・ヴァルガホールでのセッション録音。レーベルはフランスのMIRARE。
ピアニストのアンヌ・ケフェレックは私は初めて聴く人。1948年パリ生まれのフランスのピアニスト。パリ音楽院でピアノを学び、その後パウル・バドゥラ・スコダ、イェルク・デームス、ブレンデルにピアノを学び、ミュンヘン国際音楽コンクールで優勝したとのこと。ということで、現在63歳、このアルバム収録時は53歳ということになります。意外なところでいうと映画「アマデウス」でマリナーの指揮でピアノ協奏曲の演奏を担当していたということ。
ケフェレックの演奏は一言で言うと女流ブレンデルという感じです。ブレンデルのハイドンは既に何度か触れていますが、ハイドンのピアノソナタの響きの変化を自在に表現し、PHILIPSの名録音による静寂の空間にピアノの美音を響き渡らせるもの。特に左手の力感はハイドンの演奏においても重要な役割を担っており、ハイドンのソナタに潜む力感を抜群の起伏で聴かせると言うもの。ブレンデルにピアノを学んだこともあるというケフェレックですが、その響きの本質にはブレンデルのソナタのイメージが大きく影響しているように聴こえます。ただし、ピアノのならし方は女性ならではというか、女性の力感の限界も感じさせてしまいます。悪い意味ではなく、やはり感じるのはブレンデルの線の太さに対し、繊細さ。そう、あのブレンデルの純度の高い響きが繊細さを伴って表現されているんですね。
1曲目はハイドンのピアノソナタの最高峰XVI:52。
ピアノを存分にならしきった冒頭の入り。速いパッセージの指のキレも十分で、ブレンデルより少し低音の厚みというか、響きの揺るぎなさが弱いように感じますが、純度ではもしかしたら上回るような非常に磨き抜かれた響き。弱音のフレーズの線の細い繊細さがもしかしたら一番の特徴かもしれません。テンポは結構ゆらして、特に休符を効果的に使ってフレーズの変化を付けていきます。2楽章は女性ならではの優しい、けれどもどこか厳しさのあるタッチが美しい演奏。後半の音量を落としたところの詩情は、ケフェレックの良さがとてもでていますね。3楽章はピアノの響きの自在さをフルに使った名演。ブレンデルが太い指で弾く音だとすれば、ケフェレックは細い指で奏でる繊細さと、鋼のような強さをみせる音もあり、音色上の面白さが際立ちます。特に最高音分のキラメキ感はブレンデルの演奏を上回るもの。この曲、存分に楽しめる名演だと思います。
続いてアンダンテと変奏曲。
冒頭からピアノの美音に打たれる名演奏。最初の入りの旋律は氷の微笑のような厳しさと暖かさを兼ね備えたもの。この曲はケフェレックの表現にマッチしていますね。フレージングは弾き進むうちにケフェレックの個性が徐々にでてきます。ゆったりとしたフレーズの最後をちょっと早めにたたむ感じです。変奏がすすむにつれ険しさが増す感じも悪くありません。美しいメロディーラインを抑制した表現を旨く使いながら絶妙の間で表現していきます。トレモロで弾かれるメロディーのちょっと不安を含む表情が素晴らしい。途中から右手の奏でるメロディーが宝石のごとき輝き。この曲はケフェレックの良さが存分に発揮されていますね。右手の美音の連なりは息を飲むほど。後半の盛り上がりも曲の構造をよく把握してうまくこなしています。この曲は私はブレンデル以上の感動を覚えました。
つづいてピアノソナタXVI:34。この曲はいつもコメントをいただくyoshimiさんがいろいろな奏者の演奏を比較した含蓄に富んだ記事を書かれていますのでそちらもご覧いただいた方がいいと思います。
気ままな生活:ハイドン ~ 短調のピアノ・ソナタ(1) Hob.XVI:34
この曲はブレンデルのアルバムでも最もよく聴くアルバムの冒頭を飾る曲だけにその刷り込みの印象も大きいんですね。そのアルバムを紹介した記事もリンクを張っておきましょう。
ハイドン音盤倉庫:絶品、ブレンデルのピアノソナタ
この曲でケフェレックの個性がよくわかりました。起伏よりもメロディーの線の美しさの表現の表現が彼女の特徴なんでしょう。特に右手のキラメキ感を主体としたガラス細工にも似た繊細さが持ち味。もちろん師であるブレンデル同様の響きの変化、純度の高い音という共通する要素があるものの、その中でもケフェレックの魔法のような右手のキラメキ感の存在感は際立ちます。
つづくXVI:40でも同様。このアルバムを聴いて感じるのは曲ごとの出来、不出来の差が極めて小さいこと。セッション録音でも曲ごとにかなりムラのある演奏も多いもの。最後のXVI:40まで緊張が張りつめているのもこのアルバムの良いところですね。これまでの3曲とは異なるくだけた曲想ですが、その曲想を旨く表現できていると思います。
このアルバム、非常に気に入りました。評価は全曲[+++++]です。ハイドンのソナタの美しいキラメキ感を旨く表現した佳演という位置づけでしょう。このアルバムもいままで聴いていなかったのが、ハイドンのアルバムを聴き通す当ブログの主旨から言うと惜しまれるもの。もっと早く手に入れているべきすばらしいアルバムでしたね。ピアノ好きな方には是非聴いていただきたい良い演奏です。
今日はスポーツクラブで泳いでから家でのんびり。

夕食は鳥のハムと、スペイン産のムール貝の缶詰をつまみにビールから。(後で確認したら、メキシコ産でした)

いろいろつまんで、今日はスペインTORRESの白ワインで。

伊勢丹で豚の良い肉を見つけたのでいつものように塩、胡椒、強力粉をはたいてソテー。厚みがあったので弱火でじっくりソテーのうえ、ファイアー、もといフランベです。

今日はいつものセージではなくたっぷりとタイムの香りを油に移して、爽やかな香りでいただきました。明日からまた仕事が忙しいです。なるべく更新したいんですが、ちょっと間が空くかもしれませんのでよろしくお願いいたします。
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