ハルトムート・ヘンヒェンの哲学者

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ハルトムート・ヘンヒェン(Hartmut Haenchen)指揮のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ室内管弦楽団の演奏による、ハイドンの交響曲集。CD6枚に疾風怒濤期やパリセット、ザロモンセットから選んだ交響曲18曲を収めたもの。ここから交響曲22番「哲学者」をセレクト。哲学者の録音年は記載がありませんが、Pマークが1994年となっていますのでそのすぐ前の録音と想像できます。録音サイトの記載はありません。
このアルバムを選んだのは、もちろん皆さんに紹介する価値があるからです。旧東独圏の演奏は素朴ながら音楽の濃さが印象に残る録音が多いんじゃないかと思います。先日取り上げたペーター・レーゼルしかり、ピアノソナタの全集を出しているオルベルツしかりです。
指揮者のハルトムート・ヘンヒェンは戦中の1943年にドレスデンに生まれたドイツの指揮者。最初はドレスデンの合唱団の団員からはじまり、1966年にドイツのライプツィヒ近郊の街ハレのハレ・フィルの音楽監督となり、1971年にはドレスデンで開催されたウェーバーコンペティションで優勝、以後世界の舞台で指揮者として活躍するようになったようです。優勝直後にはベルリン国立歌劇場にボリス・ゴドノフを振ってデビュー。その後1985年からオランダフィルハーモニー管弦楽団、1986年からオランダオペラの首席指揮者などを勤めています。ヘンヒェンのオフィシャルサイトがありましたのでリンクを張っておきましょう。ただしドイツ語です。
ハルトムート・ヘンヒェンオフィシャルサイト(独文)
このアルバムも手に入れたのはだいぶ昔ですが、その演奏の素晴らしさからよく聴くもの。今日はあまり取り上げていない、交響曲55番「校長先生」を取り上げようと思ったのですが、CDでその前におかれた交響曲22番「哲学者」があまりに素晴らしいので、哲学者でいくこととしました。帰りが早く時間があれば3曲くらいレビューするところですが、毎日10時過ぎの帰りなので1曲程度しかむずかしいということでお許しください。
さて、哲学者の演奏。
1楽章は冒頭のホルンの芯のしっかりしたホルンの朗々とした響きからただならぬもの。シンプルな曲想だけに演奏のメリハリによって音楽性が際立ちます。現代楽器のオケによるオーソドックスな演奏なんですが、特に素晴らしいのが指揮者がしっかりと音楽をコントロールしていることと、オケの生気。やはりハイドンの演奏はオケのエネルギー感というか、活き活きとしたフレージングが非常に重要なことがわかります。
2楽章はプレスト。音量は抑え気味にしながらも弦主体の弾むリズムに乗ってかなり起伏の大きいデュナーミクをつけながら進めます。
3楽章のメヌエットはドラティの時と同様、必要十分なメヌエットというか、センスのいいメヌエットというかは別として、非常におさまりの良いメヌエットとなっています。
最後のフィナーレは少々個性的。ここにきてリズムの刻みを強調してエッジを明確にした演奏。ただ、その程度が適度な範囲に収まっているため違和感はありません。終楽章のリズムの細かい刻みは機械式時計の歯車がちゃんと回っているということを自己主張するために音色のようにも聴こえます。フレーズの面白さを聴かせるために力感は控えめにして、余裕を持った演奏。悪くありませんね。録音も自然なもので聴きやすいです。
ヘンヒェンの哲学者は哲学者という単独曲の演奏例としても素晴らしい出来。もちろん[+++++]を進呈です。現代楽器の演奏でのハイドンの交響曲の隠れた名盤のひとつ。やはり旧東独エリアの音楽、なかなかのものです。
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