デニス・ラッセル・デイヴィスの火事
本日はデニス・ラッセル・デイヴィスの交響曲全集から。今日の展開を予想できた人、当ブログ通です(笑)

一昨日、アダム・フィッシャーの交響曲全集から、昨日、アンタル・ドラティの交響曲全集からとくれば、今日はデニス・ラッセル・デイヴィスの交響曲全集に触れざるを得ません。ただしこの全集。もしかしたら中古以外では手に入らないかもしれません。販売時には限定発売とのふれこみでしたので。HMV ONLINEでは現在カタログにありません。
1人の指揮者によって作られたハイドンの交響曲全集としては史上3番目の交響曲全集ですが、前ぶれなく突然彗星のように現れた全集。デニス・ラッセル・デイヴィス(Dennis Russell Davies)指揮のシュトゥットガルト室内管弦楽団の演奏によるハイドンの交響曲全集。CD37枚組のこの全集からCD13の交響曲59番「火事」を取り上げましょう。収録年の表記はありませんがPマークが2009年ですので最近の録音でしょう。シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツセンターでのライヴ収録。
デイヴィスのハイドンの交響曲の録音は一度CD-R盤を取り上げており、その際デイヴィスの情報をまとめてありますので、リンク先をご覧ください。
ハイドン音盤倉庫:デニス=ラッセル・デイヴィス/ライプツィヒゲヴァントハウスの2009年ライヴ
さて、デイヴィスの全集の中の1曲、どのような演奏でしょうか。
交響曲59番「火事」はおそらく1768年頃の作曲。1774年にエステルハージ家で上演されたヴァール一座の上演した「大火事」が上演された際に、この交響曲が伴奏音楽として流用されたもの。1768年といえばハイドンがエステルハージ家の楽長に就任して2年後のことで、ハイドンの創意が漲っていた頃。そして大宮真琴さんの「新版ハイドン」巻末の年表には「アイゼンシュタット初の大火」との表記が。いずれにせよ火事をモチーフにしたか火事のモチーフにふさわしいコミカルな表情を持つ曲なことは確かです。
1楽章は最新の録音らしく、ライヴながら鮮明な音響。小編成の現代楽器オケらしくタイトな響き。フレーズの流れの流麗さよりは、律儀に刻むリズムを重視しているような演奏。テンポは遅めです。弦楽器の響きはおそらくノンヴィブラートの透明感のある響き、ほとんど溜めもなくキチッキチッとリズムを刻んでいきます。ただし、ちょっと気になるのはリズムの重さ。デイヴィスの交響曲全集の最大の課題がリズムが重いこと。これはハイドンの交響曲の演奏上、私は最大の魅力を削いでいるように聴こえてしまいます。デイヴィスは現代音楽やブルックナーを得意としている指揮者故、音符を正確に表現することに感心が払われているように思われますが、これでテンポが快活でリズムがキレていたらさぞかし素晴らしい録音となったことと想像しています。
2楽章は焼け落ちた家をみて途方に暮れる人の心情を描いたような曲想に聴こえてしまいます。2楽章も几帳面なリズム感は基調をなしています。
3楽章もリズムがちょっとスタティックな印象がつきまといます。フィナーレはホルンの号砲から。盛り上がるところでも冷静なリズムを刻むためいまいち覚めた印象を伴ってしまいます。この曲はホルンのキレは非常にいいです。最後は拍手に迎えられます。
デニス・ラッセル・デイヴィスのハイドンの火事の演奏、現代楽器の小編成オケの演奏ですが、期待されたキビキビ感が弱く、リズムが重いのが魅力を少々削いでいるのが惜しいところ。火事の演奏の評価は[+++]とします。
ハイドンの交響曲全集としては3種目のものですが、この曲以外にもいろいろ聴いた感想でとしては、偉大な前2者を超えるというものではありませんでした。デイヴィス盤の特徴はクリアな音響による均質な演奏。ただしハイドンの交響曲にはそれ以上の魅力もあり、歴史上の多くの演奏によって光が当てられてきました。ハイドンの全交響曲を演奏するという壮大な取り組みを成し遂げたという偉業という意味ではすばらしいアルバムですが、逆に交響曲全集としての前2者の偉大さを浮き彫りにする結果ともなってしまったというのが正直なところでしょう。

一昨日、アダム・フィッシャーの交響曲全集から、昨日、アンタル・ドラティの交響曲全集からとくれば、今日はデニス・ラッセル・デイヴィスの交響曲全集に触れざるを得ません。ただしこの全集。もしかしたら中古以外では手に入らないかもしれません。販売時には限定発売とのふれこみでしたので。HMV ONLINEでは現在カタログにありません。
1人の指揮者によって作られたハイドンの交響曲全集としては史上3番目の交響曲全集ですが、前ぶれなく突然彗星のように現れた全集。デニス・ラッセル・デイヴィス(Dennis Russell Davies)指揮のシュトゥットガルト室内管弦楽団の演奏によるハイドンの交響曲全集。CD37枚組のこの全集からCD13の交響曲59番「火事」を取り上げましょう。収録年の表記はありませんがPマークが2009年ですので最近の録音でしょう。シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツセンターでのライヴ収録。
デイヴィスのハイドンの交響曲の録音は一度CD-R盤を取り上げており、その際デイヴィスの情報をまとめてありますので、リンク先をご覧ください。
ハイドン音盤倉庫:デニス=ラッセル・デイヴィス/ライプツィヒゲヴァントハウスの2009年ライヴ
さて、デイヴィスの全集の中の1曲、どのような演奏でしょうか。
交響曲59番「火事」はおそらく1768年頃の作曲。1774年にエステルハージ家で上演されたヴァール一座の上演した「大火事」が上演された際に、この交響曲が伴奏音楽として流用されたもの。1768年といえばハイドンがエステルハージ家の楽長に就任して2年後のことで、ハイドンの創意が漲っていた頃。そして大宮真琴さんの「新版ハイドン」巻末の年表には「アイゼンシュタット初の大火」との表記が。いずれにせよ火事をモチーフにしたか火事のモチーフにふさわしいコミカルな表情を持つ曲なことは確かです。
1楽章は最新の録音らしく、ライヴながら鮮明な音響。小編成の現代楽器オケらしくタイトな響き。フレーズの流れの流麗さよりは、律儀に刻むリズムを重視しているような演奏。テンポは遅めです。弦楽器の響きはおそらくノンヴィブラートの透明感のある響き、ほとんど溜めもなくキチッキチッとリズムを刻んでいきます。ただし、ちょっと気になるのはリズムの重さ。デイヴィスの交響曲全集の最大の課題がリズムが重いこと。これはハイドンの交響曲の演奏上、私は最大の魅力を削いでいるように聴こえてしまいます。デイヴィスは現代音楽やブルックナーを得意としている指揮者故、音符を正確に表現することに感心が払われているように思われますが、これでテンポが快活でリズムがキレていたらさぞかし素晴らしい録音となったことと想像しています。
2楽章は焼け落ちた家をみて途方に暮れる人の心情を描いたような曲想に聴こえてしまいます。2楽章も几帳面なリズム感は基調をなしています。
3楽章もリズムがちょっとスタティックな印象がつきまといます。フィナーレはホルンの号砲から。盛り上がるところでも冷静なリズムを刻むためいまいち覚めた印象を伴ってしまいます。この曲はホルンのキレは非常にいいです。最後は拍手に迎えられます。
デニス・ラッセル・デイヴィスのハイドンの火事の演奏、現代楽器の小編成オケの演奏ですが、期待されたキビキビ感が弱く、リズムが重いのが魅力を少々削いでいるのが惜しいところ。火事の演奏の評価は[+++]とします。
ハイドンの交響曲全集としては3種目のものですが、この曲以外にもいろいろ聴いた感想でとしては、偉大な前2者を超えるというものではありませんでした。デイヴィス盤の特徴はクリアな音響による均質な演奏。ただしハイドンの交響曲にはそれ以上の魅力もあり、歴史上の多くの演奏によって光が当てられてきました。ハイドンの全交響曲を演奏するという壮大な取り組みを成し遂げたという偉業という意味ではすばらしいアルバムですが、逆に交響曲全集としての前2者の偉大さを浮き彫りにする結果ともなってしまったというのが正直なところでしょう。
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