作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ブルーノ・ヴァイルの天地創造

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ずっと未入手だったアルバムの一つですが、最近手に入れました。

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HMV ONLINEicon / amazon

ブルーノ・ヴァイル(Bruno Weil)指揮のターフェル・ムジーク、テルツ少年合唱団の演奏で、ハイドンのオラトリオ「天地創造」です。独唱はソプラノがアン・モノイオス、テノールがヨルグ・ヘリング、バスがハリー・ファン・デア・カンプ。録音は1993年8月31日から9月4日まで、ドイツミュンヘン南部の街バート・テルツにある教会でのセッション録音。

ソプラノのモノイオスは当ブログで取り上げるのは2回目。以前は歌曲のアルバムで取り上げています。

ハイドン音盤倉庫:魂の歌、今月2枚目

非常に透明感溢れる声が特徴。モノイオスは自身のサイトも立ち上げていますのでこちらもリンクを張っておきましょう。

Ann Monoyios(オフィシャルサイト、英文)

ヴァイルといえば、つい最近交響曲のアルバムも取り上げていますのでそちらもリンクをご参照ください。

ハイドン音盤倉庫:【年末企画】ブルーノ・ヴァイルの交響曲50番、64番、65番

前置きが長くなったので、早速演奏のレビューに入りましょう。

いつものヴァイルの力強いオケの響きですが、本拠地のトロントではなくドイツ、ミュンヘンまで遠征しての録音という緊張感も感じます。割と速めのテンポで序奏をぐいぐいと進めます。力感は十分ながら、ほとんど溜がないというか、あえて溜をつくらないように速めの入りを旨としているという感じで進めます。音響は教会らしく素晴らしい残響によって古楽器オケの薄さが補われ、分厚い響きに聴こえます。

いつもの独唱の第一声はラファエル役のファン・デア・カンプの艶のある声。代わってウリエル役のヘリングの良く通る声。基本的にテンポ感よく、響きも良いため推進力は十分です。

前半の聴き所、トラック9のガブリエルのアリア。モノイオスの透明感溢れる声の魅力炸裂ですね。私は基本的にヤノヴィッツ(カラヤン盤)の声が最も好みなんですが、モノイオスの声もそれに負けず劣らず魅力的。高音の透き通るような声にノックアウトですね。

第一部の終曲(トラック14)は意外に凄いスピードで入ります。これまである意味普通より少し速いテンポでやってきて、終曲に来て一気にトップスピードですので、意表をつくとはこのこと。快速テンポでフィニッシュ。

第二部は速さを明確にしています。明らかに速めのテンポで曲の構造をつまびらかにしていきます。

トラック17のラファエルのレチタティーヴォを聴くと、ラファエル役のファン・デア・カンプのテンポよい歌唱が全体の進行を推進していることがわかります。曲全体に感じられる楽天的な展開の一要因でしょう。

CDを換えて、トラック5、第二部第24曲のウリエルのアリアの素晴らしい推進力とメロディーラインのコントロールは見事。夢のようないつものメロディーを素直に楽しめる流れ。

第二部の終曲のトラック9はヴァイルのコントロールが冴え渡り、これまでの第二部の総まとめ的な盛り上げかたが功を奏してすばらし盛り上がり。

最後の第三部。アダムとエヴァのデュエットはこのアルバム一番の聴き所でしょう。テンポよいオケ伴奏に乗って素晴らしいデュエット。速いテンポならではの緊密な掛け合い。ここでヴァイル盤の神髄に出会えるとは思っていませんでした。これは素晴らしい。

つつづくトラック12も快速テンポで曲の構造をレントゲン写真でみせるような素晴らしい見通し。第三部に入って速めのテンポのメリット炸裂。もしかしたら第三部はこのくらいの速めのテンポによて演奏されるのが本来の姿ではないかとの想いもよぎるほどの説得力。このトラックの盛り上がりは最高。全曲中の聴き所でしょう。合唱もふくめて素晴らしい集中力。

トラック14は後半山場。残響豊かな教会での録音ということで軽い響きで聴かせますが、なかなかの演奏。

トラック16の終曲は児童合唱の魅力をたっぷり聴かせてもらえる演出。いつも録音で聴く際には第一部の盛り上がりと比べて盛り上がり不足に聴こえる第三部のフィナーレですが、ヴァイルのコントロールは第三部に焦点を合わせてきていることが明確なので、盛り上がりも最高潮に。すばらしいフィニッシュ。

この演奏の評価は[++++]とします。古楽器の天地創造としてはなかなか良い演奏ですが、ちょと前半が楽天的に過ぎるという印象です。第三部の快速テンポによる素晴らしい演奏がこのアルバムの聴き所でしょう。素晴らしい残響の教会での録音故、音響面では良い演奏ですが、第一部をはじめとして、より踏み込んだ演奏を期待したのも正直なところ。

ヴァイルは古楽器によるハイドンの録音をいろいろ残していますので、まだまだ取り上げなくてはならないアルバムがあります。ミサ曲も交響曲もまだまだ紹介すべき素晴らしい録音があります。

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