フリッツ・ライナー/シカゴ響のロンドンライヴ

フリッツ・ライナー(Fritz Reiner)指揮のシカゴ交響楽団の演奏でハイドンの交響曲104番「ロンドン」とベートヴェンの交響曲第4番を収めたアルバム。ハイドンの録音は1957年とだけ表記があります。レーベルはArlecchinoという昔はメジャーだったヒストリカルレーベル。最近あまり見かけなくなりました。このアルバムはおそらく10年以上前に手に入れたアルバム。
フリッツ・ライナーのハイドンは以前に一度取り上げていますので、リンクを張っておきましょう。
ハイドン音盤倉庫:フリッツ・ライナーの交響曲集
以前取り上げたライナーのハイドンは覇気漲るセッション録音。とくに88番は空前の出来と記憶しています。それらの録音が1960年代だったのに対して、今日取り上げるアルバムは1957年のライヴ録音。セッション録音なのに大爆発だったわけですから、このライヴにも期待が高まります。もちろん以前に聴いていますが10年以上お蔵入りゆえ、新着盤のような新鮮さなわけです(笑)
復習でライナーについて。ライナーは1888年12月生まれのハンガリー人指揮者で、1963年11月没ということで1957年のこの演奏は75歳前後でのコンサートということになります。ジャケットの写真が若い時のもののせいか壮年期の録音かとおもいきや、75歳ですからそこそこの年齢ですね。ただしそれより後年の録音が以前取り上げたとおりの覇気溢れる展開ですので、ライナーにとってはまだ上り坂の年齢なんでしょうね。ライヴで実力を発揮する指揮者とセッション録音の質の高い指揮者とタイプが別れますが、ライナーのライヴをあまり聴いていないので判断できません。ただし、セッション録音でも非常にライヴ感溢れる演奏ゆえ、もしかしたらセッション録音派なんでしょうか。
肝心のロンドンの演奏です。
1楽章は冒頭からティンパニが鋭く打ち込まれ、かなりのメリハリ。有名な序奏はかなり極端なデュナーミクをつけ、劇性を強調します。音質はすこし鼻づまり気味の音ですが、曲を楽しむのには問題なし。かなり極端にメリハリをつけ序奏の神々しさを強調。主題は柔らかい音で入りますが、すぐに楽器が重なっていきフルスロットルに。古い時代の演奏に共通する、1楽章の雄弁さとタイトなオケの響き。録音上オケの響きははデッドながらもうまく録れており、タイトなオケの感じがよく伝わります。
2楽章のアダージョはとぼとぼと進む感じの朴訥なアダージョ。起伏の大きいフレージングで、徐々に盛り上がっていきます。力の加減のダイナミックレンジが大きく、振り切れんばかりの音量の部分と抑えきった部分の対比が見事。流石ライナーと言うべきでしょう。ただし表情の緻密さはあまりなく、良い意味でも悪い意味でもライヴっぽい演奏であることは確かです。最後は非常に構えの大きいフレージングで楽章を閉じます。
3楽章はメヌエット。意外に大人しいメヌエットです。舞曲というよりは、かなり抑揚を抑えて特徴的な曲調を奏でます。冒頭と後半におかれた舞曲の部分は力強い音楽、中間部は大人しめという流れですね。
フィナーレは乾いた空間に突き刺さるオケの響きの勢いで進めます。やはり最後は畳み掛けんばかりのオケの迫力は聴き所。中間部のリラックス度合いもよく、再度盛り上がる際のキレもなかなかのもの。ただちょっとアクセントがきつすぎて誰もついていけないレベルの突き抜け感があります。くどくなる寸前。最後の2音に思い切り溜めとアクセントをつけて終了。場内の割れんばかりの拍手に迎えられます。
このライヴの演奏はセッション録音にない魅力を持っているかと言われれば、そうではなく、ライヴ感は楽しめるものの、粗さや癖が気になってしまう部分も少なくない録音。ライナーは基本的にセッション録音の素晴らしい品質を楽しむべき人というレッテルを貼りたくなってしまうようなアルバム。演奏自体はそれほど悪くないものの、このアルバムでのロンドンの評価は[+++]とします。やはりライヴは奇跡のような演奏の記録というところを期待してしまうのが性なんですね。
このアルバムは、ライナーファンならばおすすめといったところでしょうか。
ここ最近、twitterで新たにフォローいただく人が徐々に増えて参りました。たわいもないブログですが読者が増えることほどうれしいことはありません。中にはハイドン初心者という人もあり、よく考えてみると、これからハイドンを聴こうという人への配慮が十分でないことに気づきました。ついては、PC版のブログの左ペインにある「ユーザータグ」に「ハイドン入門者向け」というタグをもうけて、そのタグをクリックすると、ハイドン入門者向けにおすすめできるアルバムのレビューを表示させるように設定していこうと思います。
これから設定しますので、今週末くらいには、タグが有効になるようにしたいと思います。新たにフォローいただいた皆様、今後ともよろしくお願いいたします。
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