作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ヤーノシュ・フェレンチクのハルモニーミサ

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風邪が治らず喉が痛いですね。仕事の心配もありませんので今日はのんびりとCDラック掃除といきましょう。今日手に取ったのは、ハイドン最後のミサ曲。

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ヤーノシュ・フェレンチク(János Ferencsik)指揮のスロヴァキア合唱団と管弦楽団の演奏で、ハイドンの最後のミサ曲「ハルモニーミサ」(XXII:14)。ソロはソプラノがイロナ・トコディ、コントラアルトがクララ・タカーチ、テノールがデニス・グリヤーシュ、バスがヨーゼフ・グレゴル。録音年やロケーションが記載されていませんが、Pマークが1982年ということで、このアルバムの初出は1982年ということになります。

このアルバムは最近入手したもの。ハルモニーミサは流石に名曲だけあって、良い演奏も多いんですが、今日とりあげたフェレンチク盤は、いつもメールをいただく横浜のYさんから薦められたのと、フェレンチクといえばハンガリーの大御所でいわば本場ものということで、いつかはフェレンチクの演奏を取り上げたいと思っていたため。

フェレンチクについてちょっと調べると、1907年にブダペストに生まれたハンガリーの指揮者。1984年に亡くなっているんですね。若い頃はブダペストの音楽院でオルガンと作曲を学び、20日でハンガリー国立オペラのリハーサル指揮者として登用されたとのこと。その後1930~31年にバイロイトでトスカニーニの助手を務めたりしてキャリアを磨き1930年代後半にはハンガリー国立オペラの首席指揮者となり、ブダペスト歌劇場やハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、ブダペストフィルハーモニー管弦楽団など、ハンガリーの主要な歌劇場やオケのポストを歴任。戦後1948年から50年にはウィーン国立歌劇場の主席客演指揮者に就任。また、バルトークやコダーイなどとも親交があり、彼らの音楽の演奏者としても有名なわけですね。

ハンガリーと言えば、ライナー、セル、オーマンディー、フリッチャイ、ショルティ、ケルテスなど名指揮者を多く排出する国ですが、彼らの名声の前に少し影がうすいというのが正直なところでしょう。ハンガリー国内の仕事を多くこなしてきたためなんでしょうね。

ハルモニーミサはハイドン最後のミサ曲で、天地創造や四季よりもあとのハイドン70歳を迎えた1802年の作曲。初演は1802年9月8日。エステルハージ公爵夫人の命名日の祝祭のため、貴族などを招待した演奏会で演奏されたとのこと。ハイドンのミサ曲の中でも最も大きな構成のオーケストラと4名の独唱、4声の混声合唱のための曲。ハルモニーミサの呼び名は、このミサ曲で管楽器の編成が最大級となっていることからつけられたニックネームとのこと。70歳のハイドンが残る力を振り絞って書いた傑作ミサ曲という位置づけでしょう。

さて、肝心の演奏です。

冒頭のキリエ。フンガロトン独特の録音の味を感じる冒頭の一音。ゆったり堂々として、一切の小細工なく、大音響のオケと合唱の塊が押し寄せます。冒頭から独唱の艶やかな声に圧倒されます。大音響の大迫力の魅力をたっぷり楽しめます。主題を繰り返すところで再度響き渡る音の塊! 繰り返される大波と余韻。

続くグロリアは3部構成。最初はソプラノのソロの艶かしい声色が魅力的。大規模オケの迫力によって押し出される演奏が続きます。相変わらず、落ち着いたテンポでゆったりと曲を進めていくフェレンチク。音量をあげるところでちょっとテンポを落とすことで迫力を増す感じがいいですね。中間部はコントラアルトのソロから。こちらも艶やかなソプラノに似た声ですが、低音部のふくよかな響きが特徴的。ちょっと陰のある美しい旋律をソプラノ、テノール、バスとつないでいきます。コーラスとオケの響きに飲み込まれて、混沌とした大音響に。最後はコーラスとオケが沈み込んで終わります。
終結部。ソロが今までのメロディ-を回想するようなメロディーを歌って最後はアーメン。

3曲目はクレド。ライナーノーツではトラックが次の曲と別れているんですが、実際のCDではトラックは一つにまとめられた13分近い大曲。開始からずっとコーラスがハイテンションで歌い続ける曲。途中にある男性2声の絡む美しいフレーズにはっとさせられます。続いて静かな曲調に変わり、ソプラノの美しいソロをゆったり楽しむ部分を経て、ファンファーレとまたもコーラスの渦に巻き込まれます。最後はフーガのような繰り返すメロディーに呑まれて終了。

4曲目はサンクトゥス。素晴らしい響きの洪水から一転透明感溢れるコーラスのハーモニー。3分少々の曲ですが大迫力の音響。

5曲目はベネディクトゥス。オケの変化に富んだメロディーからコーラスが重なり、千変万化するメロディーと響き。ソロ、オケ、コーラスが次々の変化する曲想を順番に奏でていきます。曲調が次々と変わりますが、フェレンチクの演奏は印鑑したテンションを保ちます。

最後のアニュス・デイは木管のアンサンブルにのって、各独唱の精妙なアンサンブルが加わります。ぐっと心にしみるメロディーラインが続きます。最後にかかって、ファンファーレとともにオケとコーラスが爆発。名残を惜しむようなメロディーが続いたあと、ふたたびファンファーレとともにオケとコーラスの大波。クライマックスの爆発を経て終了。

フェレンチクのハルモニーミサは、大規模オケの魅力を存分に味わえる、大迫力の演奏。本場物のハイドンは小細工なく曲に素直な演奏でした。評価はやはりコントロールが大味な分減点せざるを得ないでしょう。[++++]としておきます。音楽自体は十分濃いものです。
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