作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】トーマス・ファイのホルン協奏曲、ホルン信号

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今日はHMV ONLINEから今朝到着した新譜を紹介しましょう。

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現在、ハイドンの交響曲全集に取り組んでいるトーマス・ファイ(Thomas Fey)指揮によるハイデルベルク交響楽団の演奏でハイドンホルン協奏曲1番(VIId:3)、ホルン協奏曲2番(VIId:4)、交響曲31番「ホルン信号」の3曲を収めたアルバム。ナチュラルホルンをヴィルヘルム・ブルンスが担当。録音は収録曲順に2008年4月16日、2008年1月21日、2008年11月5~6日。ドイツマンハイム近郊のバートデュルケンハイムの国際ナチュラルホルンアカデミーでの録音。レーベルはhänssler CLASSIC。先月発売されたばかりの新譜です。

トーマス・ファイのハイドンについては以前も一度記事に取り上げていますのでそちらもご覧ください。

ハイドン音盤倉庫:トーマス・ファイの69番、86番、87番

ナチュラルホルンを吹くヴィルヘルム・ブルンズはライナーノーツによればヘルマン・バウマンに師事したとのこと。このアルバムで聴かれる、落ち着いて正確なテクニックはバウマン仕込みと聞いて納得です。ヘルマン・バウマンのホルン協奏曲も以前取り上げていますのでそちらもご参照ください。

ハイドン音盤倉庫:ヘルマン・バウマンのホルン協奏曲集

さて、1曲目はホルン協奏曲1番。作曲は1762年ということでハイドンがエステルハージ家の副楽長の地位にあった時代のもの。この曲はこの時期多く作曲されたハイドンの協奏曲のなかで唯一自筆譜が残っている作品です。

1楽章はファイ独特の音単位に様々な創意を凝らしたオケの序奏。オケの立体感というかフレーズごとの特徴付けや強調する部分の盛り上げ方はいつもながら見事ですね。弾むリズム感を強調して推進力を表現。ホルンはナチュラルホルンと感じさせない安定感。テンポ感もよく存在感もそこそこあるのですが、主役は完全にファイのコントロールするオケに奪われている感じ。オケの千変万化する表情のほうにどうしても耳を奪われてしまいます。1楽章のカデンツァに至ってようやく素晴らしいテクニックを披露し、ナチュラルホルンの美音を轟かせます。
2楽章はオケの、特にヴァイオリンの音色の美しさとチェンバロの繊細な響きが素晴らしい導入。この楽章はデニス・ブレイン盤の図太いホルンの圧倒的な存在感がトラウマのように脳内に響きますが、ブルンスのホルンは悠久を表現するような淡々としながら深く落ち着いたソロ。途中でホルンの音程が下がって低音をならす場面はブレイン張りの存在感も見せます。いやナチュラルホルンは絶妙のいい音です。ファイはこの楽章はホルンに主役を譲るように淡々と進めます。
3楽章はふたたびファイがイニシアチブを握って素晴らしい推進力で入ります。この楽章はオケとホルンががっぷり四つといった風情。ファイの踏み込んだアクセントが表現の幅を広げています。ホルンはカデンツァまでバリバリ吹き進んで短いカデンツァを経てフィニッシュ。この曲の古楽器のホルン協奏曲では一番の出来でしょう。

続くホルン協奏曲2番(VIId:4)はハイドンの作かどうか不明の曲。ミヒャエル・ハイドンの作風にも似ているとの指摘もあります。今日は詳しいレビューを割愛。前曲同様ファイの踏み込んだオケの表現とブルンスの正確なテクニックが十分表現された良い演奏です。

最後は交響曲31番「ホルン信号」。この曲は1765年、ハイドンがエステルハージ家の楽長に就任する前の年、副楽長最後の年の作曲。
冒頭の4本のホルンの号砲はファイらしく2フレーズ目を抑えて変化をつけるなど、変化に富んだフレージングにはこだわっているよう。相変わらず推進力は抜群です。新時代のハイドンを感じさせる斬新さを兼ね備えてます。時折レガートを効かせたりは相変わらずですが、初期に録音したものより表現が落ち着いて音楽に破綻をきたさないようになっていきているように聴こえます。1楽章はファイのコントロールによる圧倒的な音響で一気に聴かせます。
2楽章は比較的速めなテンポで、良い意味でごつごつした感触を残した演奏。各楽器が自在に装飾音をちりばめて変化を演出。全体的に足早にこなしていこうと言う雰囲気の展開。もうちょっとゆったり感があるような演奏の方に慣れてるので、ちょっと意外な感触。
3楽章のメヌエットは力の抜けた落ち着いたテンポで、一音一音のキレを重視した演奏。フレーズ単位の変化は少し抑え気味にして一定のテンポのもと淡々とメヌエットの演奏に集中。
フィナーレは7つの変奏とプレスト。10分近い大曲です。変奏部分は各楽器の装飾音の使い方がファイらしく生き生きとしています。かわるがわるいろいろな楽器のソロが変奏を奏でていきます。流石にソロは巧い奏者が多く聴き応えがあります。コントラバスのソロなどもハイドンが当時のエステルハージ家のオーケストラの奏者にスポットライト当てるよう工夫を凝らしたものなんでしょう。7つの変奏を経て最後はプレスト。最後に期待したファイの激しいオケの響きに満たされ痛快にフィニッシュ。

ホルン信号はファイに対する期待というか、ちょっと恐いもの見たさのようなこちらの期待と、ファイの表現のベクトルにちょっとしたズレを感じてしまうような微妙さも含む演奏かもしれません。1楽章のキレとフィナーレの最後を除くその後の楽章の表現の大人しさに少々ギャップを感じます。

評価はホルン協奏曲1番、2番は[+++++]、ホルン信号は[++++]としました。

有馬記念はブエナビスタの最後の追い込みの素晴らしさに興奮したもののハナ差、というかハナゲ差で敗れてしまいましたね(笑) 勝負の世界は厳しいものです。これからスポーツクラブでひと泳ぎ。サウナで一汗かいてきます。
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