作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【年末企画】ブルーノ・ヴァイルの交響曲50番、64番、65番

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プレストンのミサ曲がつづきましたので、今日はシュトルム・ウント・ドラング期の交響曲を。

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こちらが手元にあるアルバム。ブルーノ・ヴァイル指揮のターフェルムジークの演奏で、ハイドンの交響曲50番、64番、65番。録音は1993年3月27日~29日、4月1日~3日、カナダのトロントにあるCBCグレン・グールドスタジオでのセッション録音。トロントといえばグールドの街ですね。スタジオの情報がありましたのでリンクを張っておきましょう。

CBCグレン・グールドスタジオ

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こちらが、SONY CLASSICALからリリースされているヴァイルのハイドンの交響曲をまとめてリリースした7枚組のアルバム。今手に入れるならこちらでしょう。

ブルーノ・ヴァイルは1949年ドイツ生まれの指揮者。トロントを本拠とするターフェルムジークの首席指揮者として有名ですね。指揮をハンス・スワロフスキーとフランコフェラーラに学びコンペなど有名になったようです。1987年カラヤンとウィーンフィルによって演じられる予定だったザルツブルク音楽祭のドン・ジョバンニの代役を急遽務めてメジャーデビュー。カラヤンは89年に亡くなってますので体調がすぐれなかったんでしょう。以降欧米の有名オケとの競演を重ね、N響にも客演歴があるようです。私はもっぱらハイドンの交響曲とミサ曲の録音で知った人です。

ヴァイルのハイドンは以前、最近録音が始まったザロモンセットの録音について記事を書いていますのでリンクを張っておきます。

ハイドン音盤倉庫:ブルーノ・ヴァイル、ザロモンセットへ

先日ニコラス・ウォードのラメンタチオーネを取り上げたときに、中野博詞さんの「ハイドン交響曲」を読んでシュトルム・ウント・ドラング期の交響曲のうち、交響曲26番「ラメンタチオーネ」、交響曲49番「受難」、交響曲64番の3曲が明らかに宗教的目的のために作曲されたことを知ったので、シュトルム・ウント・ドラング期の交響曲ならば、これまであまり触れられていない64番を含むアルバムを取り上げるべしと思っていました。64番の所有盤リストを眺めると、今までターフェルムジークとの演奏を取り上げていなかったブルーノ・ヴァイルの演奏があるではありませんか。こうした訳で今日はこのアルバムを取り上げるに至った訳です。

収録順にレビューしていきましょう。

交響曲50番の最初の2つの楽章は、ハイドンのマリオネット・オペラ「フィレモンとバウチス」の序劇「神々の怒り」の序曲を転用したものとのこと。1773年の作曲で自筆楽譜が残っているようです。また、1773年にマリア・テレジアがエステルハーザを訪れた際に御前演奏されたのは、交響曲48番「マリア・テレジア」ではなく、この50番だったとのこと。
出だしはまさにオペラの序曲のごとき劇的な導入。オケの力漲る素晴しい響きがグレン・グールドスタジオを満たします。荘重な序奏に続いて素晴しい推進力のオケが主題を奏でます。リズムの起伏が痛快で、特に低音弦のメリハリの利いた活躍が凄まじいです。ブルーノ・ヴァイルのコントロールは生気溢れるというより生気の塊のよう。エネルギーが飛び散りまくりです。なんという感興。
2楽章は厚みのある古楽器の弦セクションによるアンダンテ・モデラート。一転落ち着いてじっくりしたフレージング。しっかりコントロールされたデュナーミクがこの楽章の詩情溢れる旋律を情感豊かに表現。まさに極上のひととき。
3楽章のメヌエット、素晴しい推進力で一気に図太い筆で一筆書きにしたような展開。速めのテンポでも速さを感じないじっくりしたフレージング。オケが良く鳴っていることがよくわかります。
そしてフィナーレ。回想的な序奏に続いて、フルスロットルのオケ。1楽章同様低音弦セクションのキレが炸裂。素晴しいリズム感と響きのキレ。ハイドンが楽譜に込めた以上のエネルギーを放つ演奏。ヴァイル渾身のコントロールでシュトルム・ウント・ドラング期の素晴しい響きが我が家に出現。いやいや圧倒的なエネルギーに打ちのめされました。

交響曲64番は最新のゲルラッハの研究により1773年秋頃の作曲とされているようです。先に触れたように宗教的目的のために作曲された交響曲。前曲の余韻もさめやらぬ中、1楽章はニコライミサのキリエと似た節まわし。前曲同様オーケストラに殺気が漲るような集中力。強奏にはいるところの間を取る息づかいが聴こえてくるような素晴しい一体感。
2楽章は、宗教的目的のために作曲されたという特定の状況が感じられないようなあっさりとした旋律。全体的にゆったりした流れ。途中から大きなため息のような強い慟哭にちかい深い呼吸が曲想を深めます。
3楽章のメヌエットは前曲よりも軽めながら、リズミカルさは変わらず。
フィナーレは弦楽器による特徴的な下降するメロディーと推進力溢れるオケの主題がかわるがわる現れるおもしろい構成。意外とあっさり気味に曲を閉じます。
ラメンタチオーネや受難のようにほの暗い雰囲気はなく、宗教的な目的とはどういったシチュエーションだったのでしょうか。

最後は交響曲65番。作曲は少しさかのぼって1767年とされています。シュトルム・ウント・ドラング期の初期のもの。出だしはなぜか前曲のフィナーレと不思議な一体感をもつ、覚えやすいメロディーが支配する曲。この曲もオケの音響は素晴しいエネルギーの表出。畳み掛けるように特徴的なメロディーを重ねていくうちに曲の構造を浮かび上がらせ、圧倒的な感興をもたらします。特にヴァイオリンセクションの充実は見事。
2楽章は、弦と木管の掛け合いが見事。掛け合いというよりエネルギーの交換にちかい生気溢れるやりとり。ダイナミックレンジの広いコントロール。抑えた部分と強奏の部分の対比をこれだけ有機的なメロディーにのせてメリハリをつけて聴かせるのは流石。木管と弦の解け合いも最高。最後は弦が消え入るように抑えながらも楽章のテーマの余韻を明確に残します。
メヌエットは3曲共通の素晴しい生気で聴かせきります。弦楽セクションの面目躍如。コンサートマスターはジーン・ラモン。素晴しいボウイングで演奏を支えます。古楽器の弦楽セクションがこれだけ雄弁で生気溢れるデュナーミクというのは類いまれなものでしょう。
フィナーレはこちらも素晴しい生気。ホルンの余韻と弦の交錯。エネルギーのぶつかり合いと言った風情。オケの強奏とその余韻が消え入らぬうちに次のメロディーの波にまた襲われ、そのまた次の波も見えるようなまさに畳み掛ける展開。オケの生気がこれだけ素晴しいと聴き応えがまるで違います。最後は次の波がくるエネルギーもかき消して終了。超凄級のエネルギー感で聴かせるフィナーレでした。

評価はもちろん3曲とも[+++++]。古楽器によるハイドンの交響曲では図抜けたエネルギー感をもつ演奏。強さと情感の深さ、音楽性ともに一級の演奏といっていいでしょう。この時期の交響曲の演奏では、私はヴァイルが一押しです。

今日は、年賀状の仕込みなどをしながらのんびり過ごして、スポーツクラブでひと泳ぎ。その後さきほど近所の中華料理店で食事をしてかえりました。いよいよ本当に年の瀬となってきましたね。

ぐるなび:中国名菜 麟嘉

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安くて美味しいのでよく立ち寄る近所のお店。まずはプレミアムモルツ。

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定番、ピータンと春巻。熱々の春巻きが美味。

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本格派のカニチャーハン。

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最後は海鮮麺。野菜の甘みと海鮮の出汁がよく出たスープが絶品。至福の一時(笑)

さてさて、シュトルム・ウント・ドラング期の名曲を集中的に取り上げた年末企画は本記事でひとまず打ち止めとして、通常の流れに戻ります。明日は何を取り上げましょうか、、、
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